| 公開日 | 2024/12/20 |
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| 記載者 | 大河原雄剛経営経理研究所 |
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コーヒーブレイクストーリー::上層部と現場の対立::
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コーヒーブレイクストーリー::上層部と現場の対立::
会議室のドアが閉まると、張り詰めた空気だけが残った。
「……お疲れ様でした」
営業部の三浦が重いため息をつきながら、隣の椅子に崩れ落ちるように座った。
「部長、今のはちょっとキツすぎませんか?」
主人公の長谷川は腕を組んだまま、無言で窓の外を見ていた。会議は散々だった。営業戦略の見直しを求める経営陣に対し、上層部は「現場の努力が足りない」と突き放した。責任を押し付けられた形の営業部は、黙るしかなかった。
「お前が『キツい』なんて言ってるうちは、まだ甘いな」
長谷川の低い声に、三浦は苦笑する。
「そうっすか。でも、上の連中は現場のこと、何も分かってないですよ」
「分かってないのは、今に始まったことじゃない」
重い沈黙。長谷川は静かにコーヒーを口に運んだ。
「それで、お前はどうする?」
三浦は一瞬、動きを止めた。
「……え?」
「上を見上げて愚痴を言うだけか。それとも、何か変えるつもりか?」
突き放すような口調だった。だが、それは長谷川自身にも向けられた問いでもあった。
三浦は戸惑いながらも、考え込むように俯いた。
「変えたいですよ。でも……」
「でも、何だ?」
「……どうせ俺たちが何言っても、上は変わらないじゃないですか」
言った瞬間、三浦はバツが悪そうに口をつぐんだ。長谷川は小さく笑った。
「そうかもしれんな」
自分自身、何度そう思ったことか。報われない努力、理不尽な評価、現場を知らない上層部の命令。しかし、だからといって何もしなければ、ただの駒で終わる。
長谷川はスマホの画面を開き、未読のメッセージに目を落とした。
『お前が正しいと思うなら、やれ。お前にはその権利がある』
昔の上司からのメッセージだった。信頼していた人だったが、役員会議で上層部と対立し、結局会社を去った。その後も、時々こうして短い言葉を送ってくる。
長谷川はコーヒーを飲み干し、静かに立ち上がる。
「お前にチャンスをやる」
「え?」
「来週の会議で、お前がプレゼンしろ」
「ちょ、ちょっと待ってください。俺が?」
「そうだ。上が変わらないなら、下からぶつかるしかない。文句を言う前に、やれることをやってみろ」
三浦の顔に緊張が走る。だが、その奥には、確かな闘志が宿っていた。
「……分かりました」
長谷川は頷き、会議室のドアを開けた。
組織は簡単には変わらない。それでも、変えようとする者がいなければ、何も変わらないままだ。
会議室の外には、いつものオフィスが広がっている。だが、長谷川の視界に映るその景色は、少しだけ違って見えた。
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