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2025/03/10

コーヒーブレイクストーリー::上層部と現場の対立::

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コーヒーブレイクストーリー::上層部と現場の対立::
会議室のドアが閉まると、張り詰めた空気だけが残った。  「……お疲れ様でした」  営業部の三浦が重いため息をつきながら、隣の椅子に崩れ落ちるように座った。  「部長、今のはちょっとキツすぎませんか?」  主人公の長谷川は腕を組んだまま、無言で窓の外を見ていた。会議は散々だった。営業戦略の見直しを求める経営陣に対し、上層部は「現場の努力が足りない」と突き放した。責任を押し付けられた形の営業部は、黙るしかなかった。  「お前が『キツい』なんて言ってるうちは、まだ甘いな」  長谷川の低い声に、三浦は苦笑する。  「そうっすか。でも、上の連中は現場のこと、何も分かってないですよ」  「分かってないのは、今に始まったことじゃない」  重い沈黙。長谷川は静かにコーヒーを口に運んだ。  「それで、お前はどうする?」  三浦は一瞬、動きを止めた。  「……え?」  「上を見上げて愚痴を言うだけか。それとも、何か変えるつもりか?」  突き放すような口調だった。だが、それは長谷川自身にも向けられた問いでもあった。  三浦は戸惑いながらも、考え込むように俯いた。  「変えたいですよ。でも……」  「でも、何だ?」  「……どうせ俺たちが何言っても、上は変わらないじゃないですか」  言った瞬間、三浦はバツが悪そうに口をつぐんだ。長谷川は小さく笑った。  「そうかもしれんな」  自分自身、何度そう思ったことか。報われない努力、理不尽な評価、現場を知らない上層部の命令。しかし、だからといって何もしなければ、ただの駒で終わる。  長谷川はスマホの画面を開き、未読のメッセージに目を落とした。  『お前が正しいと思うなら、やれ。お前にはその権利がある』  昔の上司からのメッセージだった。信頼していた人だったが、役員会議で上層部と対立し、結局会社を去った。その後も、時々こうして短い言葉を送ってくる。  長谷川はコーヒーを飲み干し、静かに立ち上がる。  「お前にチャンスをやる」  「え?」  「来週の会議で、お前がプレゼンしろ」  「ちょ、ちょっと待ってください。俺が?」  「そうだ。上が変わらないなら、下からぶつかるしかない。文句を言う前に、やれることをやってみろ」  三浦の顔に緊張が走る。だが、その奥には、確かな闘志が宿っていた。  「……分かりました」  長谷川は頷き、会議室のドアを開けた。  組織は簡単には変わらない。それでも、変えようとする者がいなければ、何も変わらないままだ。  会議室の外には、いつものオフィスが広がっている。だが、長谷川の視界に映るその景色は、少しだけ違って見えた。
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