（左・売り手友人、現スタッフ　中央・代表：大河原氏　右・元売り手、現スタッフ）

透明性の高い取引で、良好な人間関係を築く。
大河原雄剛経営経理研究所

―まずは大河原さんのご経歴や、現在の事務所設立の背景を教えてください。

私はもともと不動産業界の出身で、その後、投資コンサルタントと不動産仲介業を営む会社を設立しました。創業4年で取引高100億円、従業員数16人まで拡大させることができ、それに伴い私自身の業界内での知名度が向上したこともありM&Aによる買収のご提案をいただきました。

様々なことを考えた結果、最終的に社員全員に保有株式をすべて売却し、その会社を退社しました。なので、一度セミリタイヤしたかたちですね。その後は、お金はもちろん大事だけれどそれ以上に人間関係のいい環境で時間や心に余裕がある仕事をしたいという思いから、埼玉県の熊谷市にある古民家を買い取ってそこを拠点にM&Aアドバイザー業やアセットマネジメントを行っています。

買い取りの相談をしている時から売主さんには非常に良くして頂いていて、買取後も庭園や家の手入れを手伝ってくださるとのことだったので現在ではお仕事として管理をお願いしています。事務所のスタッフを含めて定期的に食事をしたり、地域の方々との交流をしたりと、とても穏やかで豊かな環境で仕事をしています。

―大河原雄剛経営経理研究所の、理念はどのようなものですか？

一番は、お金よりもなによりも人間関係を大切にした仕事をする、ということですね。特に現在のM&A業界には、高い報酬を目的として様々な企業が参入してきています。そんななかで、金銭ではなく人間関係に重きをおいた取引を増やしていきたいという思いからM&A仲介に取り組むようになりました。M&Aも不動産取引でも、仲介の立場にたつと金銭的な利益を重視するとどうしても利益相反になってしまいがちです。

いかに自分が得をするかということではなく、買い手、売り手のどちらにとっても納得感のある透明性の高い取引になるよう心を尽くします。そして、透明性の高い取引をすればこそ、その後の人間関係の良い方向に導き、人間関係が良ければ、大抵のことはいい方向に向かうケースが多いです。

M&Aであれば、買い手側からすると多少コストがかかったとしても売り手が完全に納得して、喜んでくださるような状況であれば成約後のサポートにも快く応じてくれ、結果的に利益が最大化されるという例をたくさん見てきました。結局は人間同士の付き合いですから、誠実に向き合い、大事にすることで金銭的な利益も最大化される、ということは常に心にとどめています。

―M&Aを成功に導くためには、どのようなことが大事だと思われますか？

これまでにバトンズを通して多種多様な業種・業態のM&Aに携わってきましたが、一番重要なのは透明性の高い取引をすることだと思います。売り手側の会社の、隠し事が出来るだけない状態まで踏み込んだ情報を取りに行くことが、仲介をする立場の重要な役割です。買い手側の立場として、財務諸表に載っている数字だけでなく会社の状況や個性に至るまで、きちんと調べていく。そうするためには、結局徹底的に話し込むしかないと思います。

買い手側は、目先の利益で一円でも安く、というところを重要視するのではなく、M&Aをした後のビジョンを明確に描いて、売り手との関係性を重要視することが利益拡大の一番の近道になると思います。