公開日 | 2023/08/12 |
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記載者 | 株式会社Yunite |
M&A
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 契約・クロージング編~
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《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 契約締結・クロージング手続き編~
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 契約締結・クロージング手続き編~
について注意点と実施時のポイントを以下、記載します。
まず、M&A/事業承継の大まかなプロセスは以下のとおりです。
M&A/事業承継のプロセスとスケジュール感:https://batonz.jp/learn/expert_articles/3303
①案件化
《M&A成功への秘訣》 M&A/事業承継で気を付けるべきポイント~売り手 案件化編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3298
《M&A成功への秘訣》 M&A/事業承継で気を付けるべきポイント~買い手 案件化編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3308
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②マッチング
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 マッチング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3302
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 マッチング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3317
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③トップ面談・基本合意契約の締結
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 トップ面談・基本合意編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3299
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 トップ面談・基本合意編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3327
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④デューデリジェンスの実施
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 デューデリジェンス編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3300
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 デューデリジェンス編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3335
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⑤契約締結・クロージング手続き
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 契約・クロージング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3346
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 契約・クロージング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3348
今回は、売り手側における「⑤契約締結・クロージング手続き」について解説していきたいと思います。
この段階における流れとしては、以下のとおりです。
スケジュール感としては、最終契約の締結からクロージングまでで大体1ヶ月から、数カ月程度を見ておきましょう。中小企業であればもう少し時間が掛からないことも多いです。
~売り手 契約締結・クロージング手続きの流れ~
⑴デューデリジェンスの実施の結果を踏まえて、最終条件交渉
↓
⑵クロージング条件の設定
↓
⑶最終契約の締結
↓
⑷クロージング準備
↓
⑸M&A対価の受領、クロージング
⑴デューデリジェンスの実施の結果を踏まえて、最終条件交渉について
買い手は、デューデリジェンスで発見したリスクに基づいて買収価格やM&Aスキームを見直し、売り手に対しリスク低減策の実行や表明保証などの設定を要求してきます。そのため売り手は、買い手の交渉内容に対して、事実関係の確認や譲歩する事項の範囲を慎重に検討しつつ、譲渡対価や従業員の待遇、事業の継続性など、売り手にとって大切な事項について最終確認・条件交渉をします。
⑵クロージング条件の設定
クロージングの前提条件とは、M&Aを実行する際におけるの譲れない条件のことを言います。つまり言い換えるとM&Aを実行するための前提条件です。
具体的には、クロージング日までの誓約事項が履行されていることや、各種法律上の手続きが完了していること、業務上の許認可の取得がなされていることなどがあります。それが実行されないとそもそもM&Aの意味をなさないためこのような条件を設定します。
一方の当事者がいずれかの前提条件に違反した場合、他方の当事者には契約を解除する権利が与えられることになります。
⑶最終契約の締結
各条件交渉が終了したら、最終契約を締結していきます。最終契約締結からクロージングまで、およびクロージング後についての売り手・買い手の義務が誓約事項として規定されます。
ここで売り手は、表明保証とよばれるM&A契約に関わる事実関係や法律関係について真実であること、正確であることの表明を求められます。
この売り手の表明保証は、主にデューデリジェンスで発見されなかった、あるいは発見したが具体的な対処ができなかった事項などについて、売り手の立場で保証し、買い手のリスクを減らすために行われます。
限られた期間で行わざるをえないデューデリジェンスでは重要な事実関係や法律関係を全てを網羅的に調査することは不可能であり、発見しても具体的な対処ができないこともあるため、買い手を保護する目的で表明保証が設定されます。そもそもデューデリジェンス業務は、あくまで調査であり事実関係を確かめるまでは実施しないことがほとんどです。
⑷クロージング準備
そのM&Aに沿った誓約事項や前提条件などの契約内容に従い、クロージングに向けた準備を行います。
具体的には、債権者保護手続きや株主総会の開催・決議、重要な従業員の転籍同意書の取得、重要な取引先の契約承継の同意、業法上の許認可の取得、非事業用資産の売主による買い取り、役員に対する借入金の返済などがあります。これを適切に達成しないとクロージングができませんので注意が必要です。
⑸M&A対価の受領、クロージング
M&Aにおけるクロージングとは、M&A取引の実行そのものを指します。
M&Aには様々なスキームがありますので、「M&A取引の実行」が具体的にどんな手続きを指すかは、スキームによって異なりますが、以下一般的なスキームの「株式譲渡」と「事業譲渡」の場合のクロージングを一例として記載します。
「株式譲渡」の場合のクロージング:売り手から買い手へ株式の譲渡がなされ、買い手から売り手へ株式の譲渡代金が支払われることを言います。
「事業譲渡」では、移管される資産・負債、権利義務について個別に移管手続を行い、資産によっては登記など第三者の承認を得ながら進めていく必要があるので、一定の日付でクロージングするものではないことが一般的です。買い手から譲渡対価の受領を以ってクロージングとなります。
つまり、最終契約書に基づくM&A取引が実行され、経営権の移転が完了し、その対価が支払われることをクロージングと言います。
前述の作業が全て完了し、譲渡対価の支払いや株式の譲渡などをすべて完了して、やっとクロージングを迎えます。
クロージング日においては、当事者間で、M&Aの実行・完了のために必要な書類の確認と、その書類の有効性などの確認、書類の署名押印の確認などが行われてから、譲渡の手続きとそれに対する譲渡代金の支払いが行われます。
最終契約日からクロージングまでは一定期間あけることも多いですが、契約日までにクロージングに必要な手続きがすべて終了している場合や、契約日後に必要な手続は適正に完結させることが前提で、契約日と同時にクロージングを実施する場合もあります。
★注意点とポイント
★注意点とポイント
各プロセスの注意点とポイントは以下のとおりです。
⑴デューデリジェンスの実施の結果を踏まえて、最終条件交渉
今後の従業員の雇用が継続されるかどうか、給与水準や保険、待遇など、売り手にとって買い手に守ってほしい事項について交渉で明確にしておく必要があります。
またこの段階での条件交渉ではあまりに多くの譲渡の条件を追加で提示することは避ける方がよいでしょう。なぜならこの段階での条件の追加は難しいことが多いためです。すでに基本合意でまとまっているにも関わらず、条件を追加したり、再度の譲渡価額の交渉は、譲受企業に不信感を与えることになりかねません。またこのような条件交渉は、対面でするのは双方言いたいことも言えず難しいことが多いので仲介やアドバイザーに頼む方が結果的に交渉がスムーズにいきます。
ここでの大事なポイントは、M&Aで自分が何を重視しているか、相手が何を重視しているか、何を得るためにこのM&Aを検討しているか、改めて考えて、双方の本音を知ることです。
⑵クロージング条件の設定、⑶最終契約の締結
ここでは、まず「クロージング条件」の設定が重要なポイントになります。
M&Aの最終契約の締結からクロージングまでは、クロージングの前提条件を満たすために必要な手続きを行う必要があるため、それに要する一定期間を空けるのが一般的です。ただし、最終契約締結日までにクロージングに必要な全ての手続きが完了している場合は、同日に実施することもあります。
クロージングと一口に言っても、実際にはさまざまな手続きが必要になります。具体的には、重要な取引先との契約を承継するための同意の取得、事業に必要な許認可の取得、役員に対する借入金の返済などを行ったりします。
両者が安心・安全なM&A/事業承継を進められるために、実際の契約書では、譲渡価格等の条件だけでなく、クロージング条件や相手方に対する表明・保証、誓約事項等、数多くの事項について、特約として追加して定める必要があるため、通常の売買契約書に比べボリュームのある内容になります。
それらのクロージング条件が満たされた場合のみ、譲渡がなされます。
そのためクロージング条件を漏れなく設定して達成することと、その内容を契約書へ反映させることがより良いM&A実現の大事なポイントです。
そして、その条件を反映させた最終契約書(Definitive Agreement、通称「DA」)とは、M&Aの最終段階において締結される、当事者間の最終的な合意事項を定めた最も重要な契約書です。
最終契約書は、これまでの当事者の交渉を通じて確定した合意事項をすべて盛り込んだものです。契約当事者の一方が最終契約書の内容に違反し、当該違反により他方当事者に損害が生じた場合には、当該違反をした当事者に対し、損害賠償請求ができる旨が定められた法的拘束力を持つ契約となります。
ここのポイントとして、必要な表明保証や各条件が適切に最終契約に反映されていることを必ず確認しましょう。契約書に記載がない条件はないものとされますので注意が必要です。
⑷クロージング準備
最終契約書の締結とクロージング日が同日となる場合は、前もって必要書類を取り揃えておく必要があり、印鑑証明などは、本業で忙しい中、役所や法務局に取りに行かなくてはなりません。これが結構大変です。
成約日ギリギリになってしまうと、書類の入手が間に合わなくなる可能性も出てきます。そのためチェックリストには、書類名だけではなく取得するスケジュールなども記載すると良いでしょう。
つまりここでのポイントは、クロージングをスムーズに行い、確実にM&Aを実行するため、クロージングに必要な事項を事前にスケジュールも併せて確認することです。そのためには事前に双方でクロージングに必要となる項目・手続き・スケジュールを洗い出し、お互いに認識をあわせながら作業を進めることが重要です。
また重要物品については、売主・買主間で、クロージング当日に何を引き渡すかを事前に協議する必要があり、これについてもスケジュールの中に盛り込む必要があります。小規模M&Aでは特にそうですが、従業員・取引先には事前告知しておくことをお奨めします。
クロージング後、キーパーソンとなる従業員や重要な取引先が離脱してしまっては、シナジー効果が大幅に削減されてしまう恐れがあります。可能であれば最終契約締結前後に、キーパーソンと重要取引先とは買主も交え面談し、グリップしておくことを推奨します。
⑸M&A対価の受領、クロージング
いよいよ双方でクロージング書類を確認し、問題がなければ売り手に対価が支払われます。
しかしクロージングにおいて、当事者間で署名押印も含めた必要な書類がちゃんとそろっているか等、実施すべきクロージング前提が達成されているかの確認をします。それらに漏れがあった場合、契約破棄しM&Aが失敗となる危険性があります。また、クロージング手続きは、法的有効性を示すものにもなるため細心の注意払って行いましょう。もしクロージング手続きに不備があると内容によっては、そもそもM&A自体が法的に無効、あるいはM&Aが失敗となってしまいます。
ここのポイントとして、クロージングでは、全ての手続・書類をまとめて丁寧に確認し、正確に抜け・漏れが無いように実施する必要があります。確認不足により後でトラブルになることを事前にしっかりと防止しましょう。
結果、最終契約書を調印する締結日からクロージング日までは、一定の期間を空けることが多くなっております。
上記をふまえても、クロージングの前提条件が満たされなかった場合には、M&A取引を実行しない、またはクロージングの前提条件を変更することになります。
ここを終えればM&Aが成立となります!最後まで気を抜かずに慎重かつスピーディーに対応していきましょう!
用語解説:
用語解説:
・意向表明書(LOI):
意向表明書(LOI : Letter of Intent)とは、買い手候補がM&A/事業承継の意向を示すために売り手に提出する書面のこと
意向表明書の提出は必須ではありませんが、譲受企業の意向を書面にして譲渡企業に伝えることで、より円滑なM&Aの成約につながります。つまり「譲受する意思と条件」を伝える書面です。
・基本合意書(MOU):
MOU( Memorandum of Understanding)とは、M&Aを進める上で交わされる書面のひとつです。基本合意書や了解覚書と訳され、M&A手続きの初期に交わされます。買い手と売り手の両社が基本的な事柄に同意し、M&Aの方向性を定めるために交わされるため、法的拘束力は持ちません。しかし、契約時の補完となるため、内容は細かく確認、理解しておく必要があります。また法的拘束力があるものもあり、特に独占交渉権等については慎重に確認する必要があります。
・デューデリジェンス(DD):
買収に際して企業を調査すること。
M&Aを実行する前に、対象となる企業の価値やリスクなどを調査することを指します。デューデリジェンスには、組織や財務活動の調査をするビジネス・デューデリジェンス、財務内容などからリスクを把握する財務デューデリジェンス、定款や登記事項などの法的なものをチェックする法務デューデリジェンス、税務リスクを把握する税務デューデリジェンス、人事労務面のリスクを調査する労務デューデリジェンスがあります。
買い手のリスクを減らすために行われるため、買い手によっては実施しない場合があります。バトンズ等で専門家が間に入らない場合、デューデリジェンス業務が実施されないことが多いです。
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