公開日 | 2023/10/08 |
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記載者 | 株式会社Yunite |
M&A
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 デューデリジェンス編~
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《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 デューデリジェンス編~
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 デューデリジェンス編~
まず、M&A/事業承継の大まかなプロセスは以下のとおりです。
M&A/事業承継のプロセスとスケジュール感:https://batonz.jp/learn/expert_articles/3303
①案件化
《M&A成功への秘訣》 M&A/事業承継で気を付けるべきポイント~売り手 案件化編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3298
《M&A成功への秘訣》 M&A/事業承継で気を付けるべきポイント~買い手 案件化編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3308
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②マッチング
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 マッチング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3302
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 マッチング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3317
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③トップ面談・基本合意契約の締結
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 トップ面談・基本合意編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3299
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 トップ面談・基本合意編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3327
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④デューデリジェンスの実施
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 デューデリジェンス編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3300
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 デューデリジェンス編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3335
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⑤契約締結・クロージング手続き
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~売り手 契約・クロージング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3346
《M&A成功の秘訣》M&A/事業承継において留意すべきポイント~買い手 契約・クロージング編~
https://batonz.jp/learn/expert_articles/3348
今回は、買い手側における「④デューデリジェンスの実施」について解説していきますが、その前にデューデリジェンス業務自体について解説していきたいと思います。(ほぼ売り手と同じ記載です。)
デューデリジェンス(DD)とは、買収に際して企業を調査することで、M&Aを実行する前に対象となる企業の価値やリスクなどを調べる行為を指します。
買い手のリスクを減らすことを目的として行われるため、買い手によっては実施しない場合があります。バトンズ等で専門家が間に入らない場合、デューデリジェンス業務の存在を知らないことがあるため実施されないことがあります。
つまり、デューデリジェンスとは、買い手が買い手のために売り手企業を調査することです。
その具体的な目的(=買い手のメリット)として、以下が挙げられます。
・ 買収のメリットとリスクを、実態に即して把握する
・ 売主・買主間でリスクを配分し、M&A契約書に反映させる
・上記事項を企業価値と買収価格へ反映させる
・ 買収実行後、スムーズに経営の引継ぎを行う
デューデリジェンスの種類も以下のようにたくさんあります。しかし、全てを実施することはありません。買い手の要望に応じて必要なデューデリジェンスを実施します。
・ビジネスデューデリジェンス:対象企業・事業のビジネスモデルや強み・弱み・機会・脅威、市場・競合・収益性・事業計画などを分析して、買収に見合う企業・事業かどうかを判断するために行われます。
・財務デューデリジェンス:実態純資産、正常収益力、簿外債務の有無、キャッシュフローの状況、内部統制の状況、買収後に生じるリスクなどの把握を目的に行われます。
・税務デューデリジェンス:対象企業の過去の税務申告内容や納税状況を調べ、税務リスクを洗い出すことを目的に行われます。
・法務デューデリジェンス:譲渡対象企業・事業の法務を対象とした調査です。想定されるリスクの把握を目的に行われます。
・人事労務デューデリジェンス:人材面からのリスクを分析するため、対象会社の人事体制や労使関係の状態などを調査します
・ITデューデリジェンス: 対象会社が導入しているITシステムについて、脆弱性や将来的なメンテナンスコストなどを調査します
・その他デューデリジェンス:上記以外にも必要に応じて買い手が調査すべきと判断した要因についてデューデリジェンスを実施します。
上記のようにデューデリジェンスは様々ありますが、中小企業のM&Aにおいては一般的に、財務デューデリジェンスを実施することが多いです。
これは、(税理士に頼んでいても)中小企業の決算書は実態と大幅に異なることがとても多いため、その決算書の数値をそのまま使って企業価値を算定したり、M&Aを実施すると、価格が高すぎたり、想定したM&Aの結果とならない恐れがあるからです。
また基本合意書にデューデリジェンス業務等に協力すると記載があることが一般的です。
上記を実施したのち、「⑤契約締結・クロージング手続き」に続いていきます。
★注意点とポイント
★注意点とポイント
デューデリジェンスは、買い手のために実施する作業でです。
買い手は、実際に手は動かさないものの、このプロセスも主体的に動くことがより良いM&Aに繋がります。
買い手においてデューデリジェンスを依頼する際の注意点とポイントは以下のとおりです。
⑴:デューデリジェンスの実施を検討する
まずは、そもそもデューデリジェンスを実施するか検討しましょう。基本的には実施した方が買い手にとって一定程度リスクを抑えることができます。
デューデリジェンスを実施した場合は、マイナス要素の何かが見つかりますので、その結果を踏まえて、価格交渉の材料とすることもできます。
一方で、時間と金銭的負担が買い手に生じますのでこの費用対効果を踏まえてデューデリジェンスの実施を検討する必要があります。
買い手の懸念しているリスクが移転しないようなM&Aのスキームを検討・実施して、デューデリジェンスを省くことも有効な選択肢の一つです。
加えて、スキームや業態によってはデューデリジェンスを実施した方がいい場合もあります。
例えば、株式譲渡のスキームを前提にM&Aを進めていたにも関わらず、実は交渉相手が株式の全部を持っておらず、大株主が他にもいる場合など(そしてそれを交渉相手の株主が知らない場合)は、そもそもM&A自体が実行不可能になってしまうリスクがあります。
このような場合は、(本来であれば事前にM&Aアドバイザーが最低限確認すべき事項ですが、)最終的にそのリスクを負うのは買い手になるので、信頼できるアドバイザーに依頼をするか、そのリスクを低減させるためにデューデリジェンスを適宜実施する必要があるでしょう。
一方で、デューデリジェンスを実施することは売り手にとってほぼメリットはありません。むしろデューデリジェンスに対応するための負担が増えて、価格交渉が不利になる可能性が高くなるので、売り手の心理を踏まえるとデューデリジェンスを避けた方がいい場合もあります。
そこはデューデリジェンスのメリットデメリット、双方の状況などを踏まえて、慎重に検討することをオススメします。
デューデリジェンスの結果、M&Aの交渉が失敗に終わることも在るという事は事前に把握しておきましょう。
結局は、M&Aで生じうるリスクを全て受け入れられるのであれば、デューデリジェンスを実施しなくてもM&Aは実行できます。
またリスク要因が実体化しても、影響が無視できるほど僅少であれば買い手にとって問題となりません。
具体的なイメージとして、売上が1兆円を超える大企業が、売上1百万程度の個人事業主の事業を買い取ったとしても、生じるリスク要因はほぼ無視できます。一方で、一般的な所得の個人が初めてM&Aをする場合、売上1百万程度の個人事業主の事業を買い取ったとしたら、生じるリスク要因が前述のそれと同じでも、買い手にとってはそれなりのリスク要因となりえます。
つまり、買い手の状況によってもデューデリジェンスを実施するかどうかは異なるということです。ただし、その生じうるリスクを全て把握することは不可能だということは理解しておきましょう。
⑵:どのデューデリジェンスを実施するか検討する
次に、どのデューデリジェンスを実施するかを検討します。
デューデリジェンスを実施することは決めた場合でも、どのように実施するデューデリジェンスを検討すればいいのでしょうか?
それは買い手が、その案件に関してどの領域にリスクを感じるかを元に判断します。
例えば、シナジーなどを得るためにM&Aをするのであれば、ビジネスデューデリジェンスを実施することで、よりそのシナジーを具体的に想定できるでしょう。あるいは、業種的に労務リスクが多い場合は、労務デューデリジェンスを実施することでそのリスクを把握することができます。
しかし、初めてM&Aをする方で中小企業が対象の場合は、最低限、財務デューデリジェンスは実施しましょう。
これは、前述のように(税理士に頼んでいても)中小企業の決算書は実態と大幅に異なることがとても多いため、財務デューデリジェンスだけは実施して、そのリスクを減らした方がいいからです。実態を適切に反映していない決算書をもとに価格を算定しても、間違った結果としかなりえません。
そして、M&Aでの大きなリスクとして投資回収できないような高値掴みをすることがあります。高値掴みをした場合は投資回収が厳しくなります。そして、高値掴みになる原因の一つが実態を反映していない決算書です。それを防ぐ意味でも財務デューデリジェンスは実施した方がいいでしょう。
それ以外は、適宜アドバイザーと相談して決めましょう。この時、売り手の業種業態に詳しいアドバイザーだと、売り手企業のリスクがどこにあるのかを適切に把握して評価することができるので、その業種に詳しいアドバイザーがおすすめです。
⑶:デューデリジェンスの作業を依頼する専門家を決めて、作業を依頼する
実施するデューデリジェンスを決定したら、次はデューデリジェンスをしてくれる専門家を決めて依頼しましょう。
選ぶポイントとしては、経験があることもそうですがその業種に詳しい方がベストです。業種ごとの業界慣行や特有の論点(=リスク)がありますので、その業種に詳しい人に頼むことが、より効果の高いデューデリジェンスを実施してくれます。
しかし、デューデリジェンスを依頼したくても誰に依頼すればいいのかわからないことも多いと思います。
その場合は、以下の方法で専門家を探しましょう。
①バトンズの支援専門家から選ぶ:
バトンズなどで支援専門家一覧から依頼するのも一つです。バトンズなどに登録している方は、M&Aに積極的に取り組んでいる方が多いので経験が豊富な可能性が高いです。しかし、士業(専門家)ではない方もいますのでその点は注意しましょう。士業でなくてもデューデリジェンスをできますが、どうしても知識は劣ることが多いでしょう。その代わり価格が安かったりします。士業でないなら、経験豊富な方がいいでしょう。
②士業に紹介してもらう:
デューデリジェンスは以下のように士業の業務領域と被ることが多く、士業がデューデリジェンス業務を受けている場合が多いです。これは、デューデリジェンス業務には一定程度専門知識が必要であり、士業にデューデリジェンス業務を依頼するのが圧倒的に多いためです。
そして士業は、士業同士でつながっていますので、顧問税理士などから紹介をしてもらうといいでしょう。
一般的に依頼する対象は以下のとおりです。
・ビジネスデューデリジェンス:その業種に詳しいコンサルタント等
・財務デューデリジェンス:公認会計士
・税務デューデリジェンス:税理士
・法務デューデリジェンス:弁護士
・人事労務デューデリジェンス:社労士
・ITデューデリジェンス:IT系のコンサルタント等
③インターネットなどで検索する:
○○デューデリジェンス業務と検索すると沢山出てくると思いますので、依頼したい方を探されるのも一つです。
ただしネット検索で出てくるのは大手が多く、その値段はとても中小企業が払える規模ではないことが大半ですのでご注意ください。
また売りと買い両方の仲介をしている場合は、その仲介にはデューデリジェンス業務を依頼しないほうがいいです。
売り手とも契約してますので、利益相反行為に該当する恐れがあります。また人間の心理として、仲介の受託者として売り手の機嫌を損ねないようにちゃんとデューデリジェンス業務を実施できなかったり、売り手から圧力を受けたりして適切な作業ができないことがあります。
⑷:デューデリジェンスのスコープを過不足なく確定させる
デューデリジェンス業務を専門家に依頼したら、専門家やアドバイザーと相談してスコープを過不足なく決定しましょう。
デューデリジェンス業務の満足度を高めるにはここも大きなポイントです。
スコープとは、調査範囲や調査対象のことです。
どこを重点的に調べるかを事前に決めておかないと、やたらお金と時間をかけてデューデリジェンス業務を実施した結果、売り手の機嫌を損ねたうえで、大した成果が得られないことになりかねません。
ではどこをスコープに入れて、どこをスコープから外すかを検討しないといけないのですが、これはデューデリジェンス業務を依頼する専門家やアドバイザーと相談して決定しましょう。そのビジネスに詳しい方であれば、リスクが高いところとそうでないところを知っています。そのリスクが高いところをメインに作業依頼することで、金銭的・時間的負担が売り手買い手双方削減されつつ、必要はリスクは報告してくれますので、デューデリジェンス業務を低コストでかつ効果と効率を最大限発揮できるでしょう。
⑸:デューデリジェンスの結果を踏まえて、再度M&Aを検討する
デューデリジェンス業務が完了したら、専門家から報告を受けます。
デューデリジェンスの結果、どこにどのようなリスクがあって、それがどの程度金銭的影響や発生可能性等があるかなどを教えてくれます。
その結果を踏まえて、そのリスクに対して買い手がどうするかを検討します。
リスクへの対処方法は主に以下のとおりです。
①リスク回避:リスクを回避することを考えます。
例えば、未払い残業代などを請求されるのが怖いのあれば、株式譲渡ではなく事業譲渡のスキームを選択するなどです。
あるいは、M&A事態を取りやめることもあります。
②リスク低減:リスクの発生可能性や影響を減らすことを考えます。
例えば、訴訟潜在案件があった場合、訴訟に対抗する準備をしたり、そもそも訴訟にならないように仲裁を選択したり、対処法を考えたりすることで、訴訟が実現する可能性へ減らす場合があります。
③リスク移転:リスクを他へ移すことを考えます。
例えば、未計上の債務が多額にありそうな場合などで、その債務が買い手に請求された場合は、売り主に負担してもらうように表明保証条項に含めたり、譲渡代金にその分を反映させて、リスクを売り手に移転させることがあります。
④リスク保有:リスクを受け入れます。
例えば、将来的に税務調査が入った場合、指摘を受けて追徴課税を負担する可能性がある場合、買い手がそのリスクを受け入れて、なにも対処しない場合があります。前述のように、企業規模が大きく違う場合や、そのリスクの発生可能性が十分に低い場合などです。
また、リスクはあったとしても、その影響と発生可能性の観点からも検討しましょう。
例えば、未払残業代が多額にあったとしても、請求されなければ、そのリスクは実現しません。その観点でも考えると過大なリスク評価とならずにM&Aの実行を検討できます。
用語解説:
用語解説:
・意向表明書(LOI):
意向表明書(LOI : Letter of Intent)とは、買い手候補がM&A/事業承継の意向を示すために売り手に提出する書面のこと
意向表明書の提出は必須ではありませんが、譲受企業の意向を書面にして譲渡企業に伝えることで、より円滑なM&Aの成約につながります。つまり「譲受する意思と条件」を伝える書面です。
・基本合意書(MOU):
MOU( Memorandum of Understanding)とは、M&Aを進める上で交わされる書面のひとつです。基本合意書や了解覚書と訳され、M&A手続きの初期に交わされます。買い手と売り手の両社が基本的な事柄に同意し、M&Aの方向性を定めるために交わされるため、法的拘束力は持ちません。しかし、契約時の補完となるため、内容は細かく確認、理解しておく必要があります。また法的拘束力があるものもあり、特に独占交渉権等については慎重に確認する必要があります。
・デューデリジェンス(DD):
買収に際して企業を調査すること。
M&Aを実行する前に、対象となる企業の価値やリスクなどを調査することを指します。デューデリジェンスには、組織や財務活動の調査をするビジネス・デューデリジェンス、財務内容などからリスクを把握する財務デューデリジェンス、定款や登記事項などの法的なものをチェックする法務デューデリジェンス、税務リスクを把握する税務デューデリジェンス、人事労務面のリスクを調査する労務デューデリジェンスがあります。
買い手のリスクを減らすために行われるため、買い手によっては実施しない場合があります。バトンズ等で専門家が間に入らない場合、デューデリジェンス業務が実施されないことが多いです。
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