譲渡
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2026/10/30

事業を譲るとき、会社の名前は買い手に引き継げるのか

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名前は引き継げる。事業譲渡で使い続けるなら手当てが要る
会社の名前は買い手に引き継げます。ただし事業譲渡で名前をそのまま使う場合は、買い手が元の会社の債務まで負わないように、譲り受けたあと遅滞なく登記か通知をしておくことが条件です。 取引先が長年その名前で発注してきた会社なら、譲るときに名前を残せるかどうかは気になる点です。ただ、名前の扱いは譲る形で大きく変わります。株式譲渡なら名前は何もしなくても残ります。事業譲渡なら名前を使うかどうかを買い手と決め、使うなら法律上の手当てを日程に組み込みます。 ですから、先に決めるのは名前よりも譲る形です。形が決まらないまま「名前は残したい」とだけ伝えると、名前を使うことに付いてくる債務の扱いや、許可の移し方を詰めきれず、条件の話が進めにくくなります。
株式譲渡は会社ごと、事業譲渡は事業だけが移る
株式譲渡では、会社の持ち主が替わるだけで、会社そのものは変わりません。名前も、借入などの債務も会社に残ったままで、その会社ごと買い手のものになります。 事業譲渡では、事業だけを買い手の会社に移し、借入は売り手の会社に残せます。当社が扱う譲渡案件は9割を超えるものが事業譲渡で、借入を売り手の会社に残し、事業だけを買い手に移す形をとっています。借入が少なく会社ごと渡せるなら株式譲渡、借入が重く事業だけを移したいなら事業譲渡が候補になります。 許認可も、形によって扱いが分かれます。許可は名前ではなく、許可を受けた会社に付いているからです。運送業では、一般貨物自動車運送事業の譲渡しと譲受けは、国土交通大臣の認可を受けなければ効力を生じません(貨物自動車運送事業法30条)。株式譲渡なら許可を持つ会社が変わらないため、この認可は要りませんが、役員変更などの届出は別に確かめます。 建設業では、建設業の全部を譲る場合、譲渡人と譲受人があらかじめ認可を受けていれば、買い手が譲渡の日に建設業者としての地位を承継します(建設業法17条の2)。譲ってから認可を取る順番では間に合いません。名前と許可は別々に確かめ、認可の期間を日程に見込んでおきます。
名前を続けて使うと、買い手も元の会社の債務を負う
会社法には、事業を譲り受けた会社が譲渡した会社の商号(会社の名前)を引き続き使うとき、譲り受けた会社も、譲渡した会社の事業で生じた債務を弁済する責任を負う、という決まりがあります(会社法22条1項)。この条文が問題になるのは、名前をそのまま使う場合です。 名前が同じなら、取引先や金融機関からは同じ会社が続いているように見えます。借入を元の会社に残すつもりで事業譲渡をしても、名前をそのまま使うだけで、この前提が崩れかねません。 これを避ける方法も、同じ条文に書かれています。事業を譲り受けたあと遅滞なく、本店の所在地で「債務を弁済する責任を負わない」旨を登記するか、譲り受けた会社と譲渡した会社の双方から、取引先などの相手方に通知することです(同条2項)。 なお、名前を続けて使い、買い手も責任を負う場合の、売り手側の責任は、譲渡の日から2年以内に請求か請求の予告をしなかった債権者に対しては、その期間が過ぎた時点で消えます(同条3項)。名前を残すなら、登記か通知のどちらで手当てするかを決め、譲渡の日程の中に組み込んでおきます。
免責の登記をすれば、借入も税金も置いていけるわけではない
社長が誤解しやすいのはここです。免責の登記さえすれば、借入も税金もすべて元の会社に置いていける、と考えてしまう方がいます。 実際には、別の決まりがあります。譲渡した会社が、引き継がれない債務の債権者を害すると知りながら事業を譲った場合、その債権者は買い手に対して、引き継いだ財産の価額を限度に支払いを求めることができます(会社法23条の2)。ただし、買い手が譲渡の効力が生じた時点でそのことを知らなかったときは、この請求はできません。登記で外せるのは、名前を続けて使うことから生じる責任です。 税金の滞納がある会社では、譲る相手も確かめます。生計を一にする親族など特殊な関係のある個人や、納税者が支配する会社に事業を譲り、譲り受けた側が同一または類似の事業を営んでいる場合、滞納処分をしても足りないときは、譲り受けた側が譲受財産の価額の限度で滞納税を負います(国税徴収法38条)。譲渡が法定納期限より1年以上前なら対象外です。第三者の買い手に適正な対価で譲るなら、この規定の対象にはなりません。 そのため、譲渡の前に、元の会社に残す借入・未払い・滞納の一覧をつくり、残る債権者への支払いをどう進めるかを整理しておきます。譲渡代金が事業の中身と釣り合っているかも、この段階で確かめておく点です。
買い手は、取引先が続くかと、何を引き継ぐかを確かめる
当社が仲介する譲渡案件44件について、2026年1〜10月に買い手から受けた質問999問を分類すると、「取引先・売上が続くか」は12.3%を占め、約7割の案件で聞かれていました。実際に「赤字や債務超過だと分かって、取引を切られていないか」という質問を受けています。 この質問に答えるには、主な取引先の一覧とおおよその売上の割合を出し、1社に売上が偏っていないかを先に見ておきます。上位の取引先については取引基本契約を開き、相手の会社が替わるときや譲渡についての定めがないかを確かめます。 株式譲渡なら、取引先から見た契約の相手は同じ会社のままです。事業譲渡なら、取引先には買い手の会社と取引を続けてもらうことになり、名前を残すかどうかは、その切り替えを取引先にどう説明するかにも関わってきます。 借入・未払いのうち、どれを引き継ぐかを確かめる質問は8.5%で、約半数の案件で聞かれました。「金融機関の借入・税金・社会保険料・未払金は、買い手が引き継がないということでよいか」という質問が、その典型です。名前を引き継ぐ場合は、この答えの裏付けとして、免責の登記や通知をいつ、だれが行うかまで伝えられるようにしておきます。
最初に確かめておくこと
名前を残すかどうかを考える前に、手元で次のものを確かめておくと、話が早く進みます。 1. 登記簿に載っている正式な商号と、本店の所在地 2. 会社の名前が入った契約書(取引基本契約・賃貸借契約・リース契約など)の一覧 3. 許認可の通知書の写しと、許可の名義 4. 借入・未払い・滞納の一覧(金融機関の借入、税金、社会保険料、取引先への未払い)と、税金の法定納期限(納付書や申告書で確認) 5. 主な取引先の一覧と、おおよその売上の割合 6. 名前を残したい理由(取引先との関係か、看板への思いか) 滞納がある場合は、4.の法定納期限が国税徴収法の「1年」の判断に関わるので、日付まで書き出しておきます。相談の時点では、まず決算書の直近3期分と借入の一覧があれば足ります。すべてそろっていなくても、ご相談いただけます。
あさひ国際会計なら、こう進めます
あさひ国際会計は、赤字・債務超過の会社のM&Aと、経営者の連帯保証の解除を専門にしています。 名前の件は、次の順で進めます。まず決算書の直近3期分と借入の一覧を見て、借入を会社ごと渡せるか、元の会社に残すかを確かめます。そのうえで、株式譲渡か事業譲渡かを決めます。事業譲渡で許認可の引き継ぎが要る事業なら、認可の期間を日程に見込みます。 事業譲渡で名前を残すと決めたら、免責の登記か通知のどちらで手当てするかを決め、譲渡の日程に入れます。あわせて元の会社に残す借入・未払い・滞納の一覧をつくり、借入などを引き継がないことを確かめたい買い手に、書類で答えられるようにしておきます。登記などの法的な手続きは、依頼者が委任する弁護士・司法書士等の専門家が担います。 連帯保証については、解除を見据えてスキームを組み立てます。成約した案件で、保証が残ったままになった例はありません。ただし解除には金融機関の同意が前提で、すべての会社で同じ結果になると言い切れるものではありません。 赤字・債務超過の案件は、おおむね2〜4週間で成約まで進むことが多く、報酬は成功報酬のみです。成約時に譲渡代金の中から精算しますので、手元からの持ち出しはありません。
会社の名前を残したい社長は、一度ご相談ください
他社に断られた会社、赤字が続いている会社、借入が多い会社でも構いません。平日の営業時間内のご連絡には、最短で当日に対応します。 なお、状況によっては、破産や清算などの法的整理のほうが適切な場合もあります。その場合も、名前や取引先への影響を含めて、どの道がよいかを一緒に整理します。 債務超過の会社の譲渡について、資料を用意しています。 債務超過でも事業は譲れる(https://asahi-int.com/download/saimuchoka-demo-yuzureru/)
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