| 公開日 | 2026/10/23 |
|---|---|
| 記載者 | あさひ国際会計株式会社 |
譲渡
会社を譲るとき、買い手からは何を聞かれるのか。前もって用意しておくこと
赤字・債務超過の会社の再生型M&A。成約は年間60件以上、最多は運送・物流。経営者の連帯保証の解除まで見すえて進めます。成功報酬のみ・相談無料
専門分野
M&Aアドバイザー(全般相談)
事業再生
サーチ(譲渡案件発掘)
デューデリジェンス
PMI
海外対応
対応可能エリア
日本全国対応可能
海外全般
買い手がいちばん多く聞くのは、従業員が残るかどうか
買い手からいちばん多く聞かれるのは、従業員が残るかどうかです。決算の中身、引き継ぐ資産、取引が続くかについての質問もこれに続きます。借入についての質問は、それらより少なくなっています。
当社は、仲介する譲渡案件44件について、2026年1月〜10月に買い手企業からメールや面談で受けた質問を分類しました。別案件の紹介依頼などを除くと999問になります。いちばん多かったのは「従業員が残るか・雇用の条件」で16.6%でした。以下、「決算・損益の中身」が14.2%、「引き継ぐ資産(車両・設備・リース・借りている物件)」が13.4%、「取引先・売上が続くか」が12.3%と続きます。
当社の案件は赤字・債務超過の会社が中心で、そうでない会社も含まれます。それでも、借入や未払いについての質問は8.5%で、多さの順では7番目でした。順位は質問の多さを表すもので、譲渡がまとまるかどうかを決める順番とは違います。数字のうえでは、借入より、事業が続くかどうかの質問のほうが多いということです。
「借入が多いから、借入のことばかり聞かれる」は思い込み
赤字で借入が多い会社の社長は、買い手は借入の話ばかりしてくるだろうと考えがちです。実際には、借入や未払いを聞かれた案件は約半数にとどまります。
当社が扱う譲渡案件は、9割を超えるものが事業譲渡です。借入を売り手の会社に残し、事業だけを買い手に移す形です。質問の分類でも、この項目は「借入・未払いのうち、どれを引き継ぐか」という名前にしています。買い手から実際に受けた質問には、「金融機関の借入・税金・社会保険料・未払金は、買い手が引き継がないということでよいか」というものがありました。
ただし、事業譲渡なら債務とまったく無関係でいられる、とまでは言えません。買い手が売り手の商号を引き続き使うと、買い手も売り手の事業から生じた債務を払う責任を負います(会社法22条1項)。この責任を負わないためには、譲り受けたあと遅滞なく、その旨を登記するか、買い手と売り手の双方から債権者に通知する必要があります(同条2項)。社名や屋号を残したい買い手であれば、この段取りを契約の前に決めておきます。
従業員のことは、人ごとに残る見込みを答えられるようにしておく
従業員についての質問は、7割を超える案件で受けました。運送業や建設業の案件では、「ドライバー(職人)のうち、何人が残ってくれるか」と聞かれます。運行管理者や資格を持つ人が譲渡後も働き続けるかどうかも、よく確かめられます。
「たぶん大丈夫です」という答えでは、買い手は判断できません。まず、担当業務・資格・勤続年数を書いた従業員の一覧を作れるかを確かめてください。雇用契約書や労働条件通知書がそろっているか、勤怠をどう管理しているかも聞かれるので、書類の有無を先に見ておきます。そのうえで、事業に欠かせない人が誰かをはっきりさせておきます。建設業では、営業所ごとに専任の技術者を置くことが許可の基準になっています(建設業法7条)。こうした人が抜けると、許可そのものを保てなくなります。
事業譲渡で従業員を買い手の会社へ移すには、一人ひとりの承諾が要ります(民法625条1項)。社長は残る見込みを伝えるだけで終わらせないことが大切です。移ったあとの給与や勤務地をいつ、どう説明するかを、買い手と早めにすり合わせておきます。
決算と資産の質問は、書類があるかどうかで答えの速さが変わる
決算・損益の質問は約7割の案件で、資産の質問は6割超の案件で受けています。どちらも、書類がそろっていればすぐに答えられ、無ければ答えるまでに日数がかかる質問です。
決算については、「直近3期の決算書と、今期の月次試算表を見せてもらえるか」とまず聞かれます。売上総利益率が期ごとに大きく動いている会社は、その理由も尋ねられます。利益率が大きく動いた期があれば、顧問税理士と一度見直し、社長が自分の言葉で説明できるようにしておくと安心です。
資産については、車両の年式や仕様、自社で持っているかリースか、リースの残りの支払額、事務所や車庫の賃料と保証金などを聞かれます。事業譲渡では移す財産を選べるため、売掛金・未収金を譲渡の対象に入れるかどうかも確かめられます。リース契約書と賃貸借契約書は、名義、残りの期間、残額、中途解約や譲渡についての条項を見ておいてください。事業譲渡で借りている物件を買い手に引き継ぐには、家主の承諾が要ります(民法612条1項)。承諾が得られるかどうかで、買い手が事業を続けられる場所が決まります。
取引先と、社長が譲渡後にどう関わるかも聞かれる
取引先についての質問は約7割の案件で受けました。主な取引先、1社への売上の偏り、単価、協力会社との関係が中心です。赤字や債務超過だと知られて、取引を切られていないかを確かめる買い手もいます。
売上の多くを1社に頼っている場合は、その取引先との契約書を開いてみてください。事業譲渡では契約の相手が買い手に替わるため、取引先の了解を取りに行く場面が出てきます。株式譲渡なら会社は同じままです。ただ、代表者や株主が変わったときに通知や解約ができる条項が入っている契約もあるので、先に読んでおきます。
社長や役員が譲渡後にどう関わるかも、半数超の案件で聞かれました。引継ぎのために一定期間残るのか、すぐに離れるのか。取引先との関係が社長個人に付いている会社では、この点を聞かれやすいので、社長が何か月なら手伝えるのかを先に決めておくと答えやすくなります。
最初に用意するもの・確かめること
相談の前に、すべてをそろえる必要はありません。相談するときは決算書(直近3期分)と借入の一覧があれば話を始められますし、それがそろっていなくてもかまいません。買い手の質問に答える段階になったら、次のものを用意していきます。
1. 決算書(直近3期分)と今期の月次試算表
2. 借入・未払い・滞納の一覧(金融機関、税金、社会保険料、取引先への未払い)
3. 従業員の一覧(担当業務・資格・勤続年数)と、残ってほしい人・残る見込み
4. 車両・設備の一覧と、リース契約の一覧
5. 事務所・車庫などの賃貸借契約書
6. 主な取引先の一覧と、おおよその売上の割合
7. 許認可の通知書の写し
2の滞納については、社会保険料の滞納をいつまでに解消するか、取引先への未払いを誰が払うかを、買い手から問われます。いまの残高に加えて、納期限や督促の状況も書き添えておくと、話が早く進みます。
あさひ国際会計なら、こう進めます
あさひ国際会計は、赤字・債務超過の会社のM&Aと、経営者の連帯保証の解除を専門にしています。M&A仲介の成約は年間60件以上あり、なかでも運送業の支援経験が厚くあります。
会社の譲渡とあわせて、連帯保証の解除を見据えたスキームを設計し、ご提案します。これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし、解除には金融機関の同意が前提で、すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。法的手続きが必要な場合は、依頼者が委任する弁護士などの専門家が担います。どの手続きが合うかは一緒に整理します。
一般的なM&Aは半年以上かかると言われます。当社の赤字・債務超過の案件は、おおむね2〜4週間で成約まで進み、相談した月のうちに成約することがほとんどです。相談から最短5日でクロージングした例もあります。相談は無料で、報酬は着手金のない成功報酬のみです。成約時に譲渡代金の中から精算するため、手元からの持ち出しはありません。
買い手の質問にどう答えるか迷っている社長は、一度ご相談ください
他社に断られた会社、赤字が続いている会社、借入が多い会社でもかまいません。書類がそろっていない段階でも、決算書と借入の分かる資料があれば、どこから手をつけるかを一緒に考えます。平日の営業時間内のご連絡には、最短で当日に対応します。
なお、状況によっては、破産などの法的整理のほうが適切な場合もあります。その場合も、どの道がよいかを一緒に整理します。
買い手から受けた質問の分類は、https://asahi-int.com/kaite-shitsumon/ で公開しています。相談してから事業を引き継ぐまでの進め方は、資料にまとめています。
相談してから、事業が引き継がれるまで(https://asahi-int.com/download/soudan-kara-hikitsugi/)
関連コラム
