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2026/10/29

会社を譲る相手は信用できるのか。買い手を見極めるときに見ておくこと

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買い手が信用できるかは、契約の前に見極められる
見極められます。代金を払う力があるか、保証の扱いを引き受けるか、従業員をどう迎えるか。この三つを契約の前に書面と面談で見ておけば、相手を判断する材料はそろいます。 会社を譲ると決めた社長が次に抱くのは、「この相手に任せて大丈夫か」という不安です。譲ったあとに代金の支払いが止まる。従業員が辞めさせられる。自分の連帯保証が外れないまま残る。契約の前に打てる手は、この三つのそれぞれにあります。 業界でも、この問題は表に出ています。M&A支援機関協会は2024年10月1日から、不適切な買い手の情報を加盟社の間で共有する「特定事業者リスト」の運用を始めました。M&Aの実行日から60営業日以内に経営者保証が解除されない場合、掲載の対象になりえます。
最初に見るのは、保証の扱いを契約に書き込めるか
判断の分かれ目は、保証の扱いを最終契約に書き込めるかどうかです。中小M&Aガイドライン(第3版)は、譲り受け側が経営者保証を解除または引き継ぐ義務と、それが果たされなかった場合の契約解除や補償を、最終契約で取り決める主要な項目に挙げています。買い手がこの取り決めを契約に入れることを渋るなら、その時点で立ち止まる理由になります。 ただし、契約に書いただけで、銀行との保証契約が消えるわけではありません。同じガイドラインは、解除は最終的に金融機関の判断によるもので、正式な解除はクロージングを経て登記簿上の代表者が変わった後になると説明しています。買い手の信用力が著しく低いと、円滑に外れないおそれがあるとも書いています。 当社が扱う譲渡案件は、9割を超えるものが事業譲渡です。借入は売り手の会社に残り、事業だけが買い手に移ります。この形で保証の扱いをどう組むかは、借入の中身や金融機関によって変わるため、要件は個別に確認します。どちらの形でも、外れなかったときにどうするかは、契約の前に買い手と話しておくことが欠かせません。
代金を払う力は、どこを見れば分かるのか
見るべきは、買い手の決算書と、代金の払い方です。M&A支援機関協会の自主規制ルール(2025年1月1日施行)には、譲受け事業者の資力について調べる義務が定められています。 社長の手元で見られるのは、買い手の会社の登記事項証明書と、直近の決算書です。あわせて、代金を一括で払うのか分割なのか、その資金をどこから出すのかを聞いてください。 一括か分割かで、支払いが止まったときの備えが変わります。一括なら、クロージングの日に入金があるかを通帳で見ます。分割払いや、引き継いだ事業の売上から払うという提案なら、残りの支払いが止まったときの扱いを契約で決めておかないと、事業だけを渡して代金が入らない、ということになりかねません。 条件の話は、買い手の側からも出てきます。当社が仲介する譲渡案件44件で、2026年1〜10月に買い手から受けた質問999問を分類すると、「価格・時期・契約の条件」は11.1%を占めました。代金の額だけでなく払い方と時期も、条件をすり合わせる早い段階で話に乗せておきます。
事業譲渡なら「借入を引き継がない約束をすれば、譲ったあとは何も起きない」は誤解
事業譲渡の場合、契約で「借入は引き継がない」と決めても、それだけでは債権者との関係が片づかない場面があります。株式譲渡は会社そのものが変わらず、借入も会社に残ったまま株主が替わる形なので、ここで挙げる二つの条文とは話が別になります。 買い手が今の会社の商号(社名)を使い続ける場合、買い手も元の会社の事業で生じた債務を払う責任を負います(会社法22条1項)。これを免れるには、譲り受けたあと遅滞なく「債務を払う責任を負わない」旨を登記するか、双方から債権者に通知する必要があります(同条2項)。社名をそのまま使うつもりかどうかは、早めに買い手に聞いておくことです。 代金の決め方にも注意が要ります。売り手が、残る債権者を害すると知りながら事業を譲った場合、債権者は買い手に対して、引き継いだ財産の価額を限度に支払いを求められます(会社法23条の2第1項)。ただし、買い手がそれを知らなかったときは適用されません。代金が相場から大きく離れていないかは、決算書と照らして見ておきます。
従業員の扱いは、買い手に何を聞けばよいか
売り手から買い手に聞くのは、引き継ぐ従業員の人数と範囲、移ったあとの給与と勤務地です。事業譲渡で従業員を買い手に移すには、一人ひとりの同意が要ります(民法625条1項)。同意を得るには、移ったあとの条件を従業員に示せることが前提になります。 給与が下がるのか、勤務地が遠くなるのかで、残ってくれる人の数は変わります。条件が書面で示されるなら従業員への説明に進めますが、口頭のままなら、示せる形になるまで話を詰める段階です。従業員と買い手が顔を合わせる場を設けてもらえるかも、このときに聞いておきます。 買い手の側も、人のことはよく聞いてきます。先の質問の分類で、もっとも多かったのは「従業員が残るか・雇用の条件」で16.6%、7割を超える案件で聞かれています。実際には「ドライバー(職人)のうち、何人が残ってくれるか」「雇用契約書や労働条件通知書はあるか。勤怠をどう管理しているか」といった質問が届きます。この集計は買い手が確かめたいことの順位であり、買い手の誠実さを測るものではありません。
契約の前に、用意するもの・聞いておくこと
買い手を見極める材料として、少なくとも次のものを手元に置きます。 1. 買い手の会社の登記事項証明書と、直近の決算書 2. 代金の額、支払いの時期と方法(一括か分割か)、資金の出どころ 3. 保証の扱いの段取りと、外れなかったときの取り決め 4. 引き継ぐ従業員の範囲と、移ったあとの給与・勤務地 5. 引き継ぐ借入・未払いと、引き継がないものの線引き 6. 今の社名を使い続けるか。使うなら登記か通知をどうするか 5の線引きは、買い手の側も気にしています。当社の案件では、借入・未払いのうちどれを引き継ぐかという質問が、約半数の案件で出ました。「金融機関の借入・税金・社会保険料・未払金は、買い手が引き継がないということでよいか」という確認は、その典型です。先に線引きしておくと、後の話し合いがぶれにくくなります。
あさひ国際会計なら、こう進めます
買い手の見極めは、売り手の会社の数字を整理するところから始めます。まず決算書(直近3期分)と借入の一覧を見て、どの借入を売り手の会社に残し、どこまでを事業として移すかを整理します。そのうえで、買い手候補に示す条件をまとめます。書類がそろっていなくても相談はできます。 買い手候補とは、代金の額と払い方、引き継ぐ従業員の範囲と条件、借入・未払いの線引きを、最終契約の前にすり合わせます。保証の扱いは、最終契約でどう取り決めるかまで詰め、会社の譲渡とあわせて、連帯保証の解除を見据えたスキームをご提案します。 成約した案件で、保証が残ったままになった例はありません。ただし、解除には金融機関の同意が前提で、すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。 当社は、中小M&Aガイドライン第3版に対応した、中小企業庁のM&A支援機関登録制度の登録支援機関です。報酬は成功報酬のみで、成約時に譲渡代金の中から精算するため、手元からの持ち出しはありません。
買い手を信用してよいか迷っている社長は、一度ご相談ください
他社に断られた会社、赤字が続いている会社、借入が多い会社でも、かまいません。すでに買い手の候補がいて、その相手でよいか迷っている段階でも、お話をお聞きします。平日の営業時間内のご連絡には、最短で当日に対応します。 なお、状況によっては、破産や清算などの法的整理のほうが適切な場合もあります。その場合も、どの道がよいかを一緒に整理します。 関連する資料:連帯保証をめぐって、いま何が変わったか(https://asahi-int.com/download/seido-henka/)
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