事業再生
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2026/10/29

事業を譲ったあと、借入が残った元の会社はどうなるのか

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元の会社は借入を抱えたまま残り、最後に整理が要る
事業を譲っても、元の会社は消えません。借入を抱えたまま残り、最後は解散・清算、または特別清算・破産といった手続きで整理します。どの道を通るかは、譲渡代金と手元に残る財産で借入を払いきれるかどうかで決まります。 事業譲渡では、設備や取引先、従業員など事業に必要なものを買い手の会社に移し、借入は売り手の会社に残します。当社が扱う譲渡案件は、9割を超えるものがこの事業譲渡です。ただし、買い手が元の会社の商号を引き続き使う場合は、買い手も元の会社の事業で生じた債務を払う責任を負います(会社法22条1項)。この責任を免れるには、譲り受けた後に遅滞なく、責任を負わない旨を登記するか、譲渡した会社と譲り受けた会社の双方から債権者に通知しなければなりません(同2項)。 当社が仲介する譲渡案件44件について、2026年1〜10月に買い手から受けた質問999問を分類しました。「借入・未払いのうち、どれを引き継ぐか」が8.5%を占め、約半数の案件で聞かれています。典型的なのは「金融機関の借入・税金・社会保険料・未払金は、買い手が引き継がないということでよいか」という確認です。 社会保険料の滞納をいつまでに解消するか、取引先への未払いをだれが払うかも、あわせて聞かれます。買い手が引き継がないと決めたものは、そのまま元の会社に残ります。
払いきれるなら、株主総会で解散して清算する
譲渡代金と残った財産で借入や未払いを全部払える見込みなら、通常の解散と清算で会社を閉じられます。株式会社は株主総会の決議で解散でき(会社法471条3号)、解散すると清算に入ります。 清算では、残った財産をお金に換えて債権者に払います。会社は解散後遅滞なく、債権を申し出るよう官報で公告し、分かっている債権者には個別に知らせなければなりません。申出の期間は2か月を下ることができません(会社法499条)。解散を決めた翌日に会社を閉じる、ということはできない仕組みです。 見落としやすいのが売掛金の扱いです。買い手からも「売掛金・未収金は譲渡の対象に入るか」と聞かれます。売掛金を元の会社に残せば、回収した分を返済に回せます。買い手に移すなら、その分を譲渡代金に反映させる必要があります。 どちらにするかで、払いきれるかどうかの計算が変わります。売掛金の一覧で取引先ごとの残高と入金予定日を見て、譲渡の日までにいくら回収できそうかを先に押さえておきます。
払いきれないなら、特別清算か破産で整理する
譲渡のあとも借入が残り、その額が会社の財産を上回る、つまり債務超過のままなら、通常の清算では終われません。裁判所が関わる手続きで整理することになります。 一つは特別清算です。すでに解散して清算中の会社に債務超過の疑いがあるときなどに、裁判所が開始を命じます(会社法510条)。まず株主総会で解散してから入る手続きで、そこが破産との違いです。もう一つが破産で、会社の財産は破産手続の中で処理されます。 中小M&Aガイドライン(第3版)は、事業再生の場面では事業を別の会社に移して再建を目指す方式が多く選ばれると説明しています。中小企業活性化協議会が関わって事業譲渡等を行い、その後に元の会社を特別清算で整理したり、特定調停手続を行ったりする例が見られるとしています。どの手続きが合うかは会社の状況によって変わり、ここで一つに決めつけることはできません。
事業を手放せば借入の話は終わる、というのは誤解
社長がもっとも誤解しやすいのは、事業を譲れば借入の話も終わる、という点です。元の会社に残った借入に社長が連帯保証をしていれば、会社が払えない分は、保証人である社長に請求が向かいます。 しかも連帯保証人は、「まず会社に請求してほしい」「会社の財産から先に取ってほしい」と求める権利を持っていません(民法454条)。普通の保証とは、ここが大きく違います。 保証債務の整理には、経営者保証に関するガイドラインの枠組みがあります。保証人が整理を申し出る要件の一つが、会社の側でも破産・特別清算などの法的整理か、中小企業活性化協議会の手続きなどの準則型私的整理を申し立てていることです(ガイドライン7.(1))。破産で配当するより多く回収できるなど、金融機関にとっての経済的な合理性も求められます。会社の整理と社長の保証の整理は、同時に検討します。
譲渡代金が安すぎると、買い手が追いかけられるおそれがある
譲渡代金が著しく低いと、買い手が、元の会社に残る債権者や税務署から追及される可能性があります。代金の決め方は、売り手だけでなく買い手にとっても大事な点です。 会社法には、残る債権者を害すると知って事業を譲った場合、債権者が買い手に対し、承継した財産の価額を限度に支払いを求められる規定があります(会社法23条の2)。ただし、買い手が譲渡の時点でそれを知らなかったときは対象になりません。 税金では、法定納期限の1年前の日以後に、無償や著しく低い対価で財産を譲ると、受け取った側が受けた利益の限度で滞納税の納付義務を負います(国税徴収法39条)。滞納税が残る会社の譲渡では、買い手もこの点を気にします。 第三者の買い手に適正な値段で譲ることが前提です。そのうえで、代金をどう決めたかの根拠と、受け取った代金を何の返済に充てるかを書面に残し、買い手にも見せられるようにしておきます。当社が仲介する譲渡案件で2026年1〜10月に買い手から受けた質問でも、価格・時期・契約の条件に関するものが11.1%を占めています。
最初に用意するもの・確かめること
元の会社をどう整理するかは、譲渡の話と同時に考え始めます。次のものを手元で確かめてください。相談の時点ですべてそろっている必要はありません。 1. 借入・未払い・滞納の一覧(金融機関ごとの残高、税金・社会保険料の滞納額、取引先への未払い) 2. 決算書(直近3期分)と今期の月次試算表。貸借対照表で資産と負債の差を見る 3. 保証契約書の写し。どの借入に社長が連帯保証をしているか 4. 売掛金・未収金の一覧と、回収できる見込み 5. 車両・設備の一覧と、リース契約の残りの支払額 6. 株主名簿。解散は株主総会の特別決議で行う(会社法309条2項11号)ため、議決権の割合を見て、誰の賛成が要るかを確かめる 7. 買い手が商号(会社名)を使い続けるかどうか。使うなら、債務を引き継がない旨の登記か通知の段取りが要る
あさひ国際会計なら、こう進めます
あさひ国際会計は、赤字・債務超過の会社のM&Aと、経営者の連帯保証の解除を専門にしています。 最初の相談では、決算書(直近3期分)と借入の一覧があれば話を始められます。そろっていなくても相談できます。法的手続きの実行は、依頼者が委任する弁護士等の専門家が担います。 事業譲渡で借入を元の会社に残す形では、譲渡によって社長の保証が自動で外れるわけではなく、金融機関との別の整理が要ります。そのため当社は、会社の譲渡とあわせて、連帯保証の解除を見据えたスキームを設計し、ご提案します。これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし解除は金融機関の同意が前提で、すべての会社で同じ結果になると言い切れるものではありません。 赤字・債務超過の案件は、おおむね2〜4週間で成約まで進むことが多く、相談した月のうちに成約することがほとんどです。報酬は成功報酬のみで、成約時に譲渡代金の中から精算するため、手元からの持ち出しはありません。
残った会社の整理で迷っている社長は、一度ご相談ください
他社に断られた会社、赤字が続いている会社、借入が多い会社でも構いません。平日の営業時間内のご連絡には、最短で当日に対応します。 なお、状況によっては、事業を譲るより破産などの法的整理のほうが適切な場合もあります。その場合も、どの道がよいかを一緒に整理します。 会社をたたむ道と譲る道の違いは、資料にまとめています。 自己破産しないで会社をたたむ・譲る方法(https://asahi-int.com/download/jikohasan-guide/)
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