譲渡
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2026/10/01

宿を畳むほかに道はあるのか。経営者が替わって続いている宿は年に何軒か

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「廃止2,817件」は、宿を畳んだ数ではありません
厚生労働省の統計では、令和6年度中に営業を廃止した旅館業施設は2,817件でした。この数字は廃業数として引用されがちです。ただ、旅館業の営業許可は施設ごとに出るもので、建て替え、法人成り、経営者の交代でも許可を取り直すことがあります。廃止届が出た施設のうち、本当に宿を畳んだのは何軒で、別の経営者に引き継がれたのは何軒なのか。この統計からは分かりません。
東京23区で「承継」を月ごとに公表していたのは目黒区だけでした
旅館業法には、譲渡・合併・分割・相続のいずれにも営業者の地位を引き継ぐ規定があります(第3条の2〜第3条の4)。都道府県知事等の承認を受ければ、許可を取り直さずに営業を続けられます。 この承認が下りた施設の一覧を、東京23区で月ごとに公表しているのは目黒区だけでした(2026年9月10日時点)。他の22区は、施設台帳を1本出しているのみです。 目黒区の旅館業施設は84施設で、取得できた15か月分の承継は6件でした。施設数に対して5.71%、20軒に1軒が、1年のうちに経営者を替えている計算になります。動いているのは大型ホテルではなく、マンションの一室や戸建てを使った小型の宿泊施設です。 ただし名簿だけでは、承継のすべてをM&Aと判定することはできません。第三者への譲渡のほか、相続や法人成りもここに入ります。
名簿から消えた宿の15〜23%は、廃業ではなく承継でした
目黒区以外の自治体は「承継」を公表していません。そこで、北九州市・静岡市・熊本県・那覇市の4つの自治体で、同じ名簿を年をまたいで突き合わせました。前年にあって当年にない宿は「消滅」、両年にあって営業者が変わっている宿は「承継」として数えています。 那覇市を除く3自治体・15年分を合計すると、消滅353・新規479・承継62。消滅の17.6%が承継でした。 北九州市では、コロナ前の2019年から8断面の名簿がそろっています。2020年に消滅が23件と跳ね、翌2021年に承継が5件と跳ねました。7年間で施設数は178→173とほとんど変わっていません。数は動いていないのに、中身は入れ替わっています。 那覇市では、個人事業主の宿が株式会社へ移った例もありました。統計上は「廃止1件・新規1件」に見えるかもしれませんが、宿としては続いています。
答えは、自治体の名簿を年またぎで突き合わせた先にあります
では全国で、宿の事業承継は年に何件くらいあるのか。方法の違う2つの計算で見積もると、どのくらいの幅に収まるのか。そして、引き継いでいるのはどのような相手なのか。70自治体の施設一覧と厚生労働省の統計を突き合わせて、日本財務戦略センターの一次調査にまとめています。 ホテル・旅館の事業承継は年に何件か|目黒区が唯一公表する「承継」から全国を推定した(https://jfsc.jp/research/hotel-succession-japan/)
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