M&A
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2021/07/15

中小M&A、安全性の向上とリスク軽減の仕組み作り

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安心安全な中小M&Aを目指しての仕組み作り
昨今、広まる中小M&Aの波に、より安心安全にM&Aが成約できるよう、また、リスクを軽減できるよう、業界・政府で改革が進んでいます。 後継者不在のため事業承継を検討される方、また、事業転換や新たな分野への進出などの経営転換の選択肢として、M&Aを検討される方もいらっしゃると思いますが、M&Aは多額の資金がかかり、専門的な知識を必要とする部分もあることから、リスクを懸念される方も少なくないと思います。 数ある改革の中でも、注目頂きたい下記項目をお伝えしていきます。 ・準備金の積立 ・M&A向けの表明保証保険 ・M&A支援機関の登録制度
準備金の積立
経営力向上計画の認定後、計画に基づくM&Aを実施した場合に、措置が受けられる『経営資源集約化税制』。 なかでも、”準備金の積立”は、M&A実施後のリスクへの備えとして、据置期間5年の準備金を措置し、M&A実施時に、株式等取得額の70%以下の金額を損金算入することができます。 簿外債務が発生した場合等には、この準備金を取り崩し充てることができます。
M&A向けの表明保証保険
譲渡契約書等にほとんどの場合盛り込まれている”表明保証”の条項。 きちんと確認していたとしても、思わぬトラブルとして損失に繋がることもあるため、現在、表明保証保険が出てきています。 ※表明保証とは・・・ 契約に関する事項について、真実且つ正確であることを表明し、また、その内容を保証するというものです。一定の事項について表明保証していたにもかかわらず違反した場合には、先方に生じた損害について補償等を行うことになります。 東京海上日動や損保ジャパンなど、数社で取り扱いがあり、補償内容や条件・価格なども様々出ていますので、自身のM&A条件にあった保険を選ばれることをお勧め致します。
M&A支援機関の登録制度
M&Aの広まりにより、近年支援業者数も増加、なかには残念ながら悪質な業者も含まれてしまっているのが現状です。 そんな悪質業者をけん制し、業界の健全化に向け、官民で仕組み作りが始まっています。 中小企業庁は、近くM&A支援機関の登録制度を導入する予定とし、毎年の実績報告の義務も検討してます。 また、自主規制団体を設立し、支援業者へセカンドオピニオンの導入を促すよう求めたり、適切なルールの徹底、人材育成などを目指しています。 登録制度は今夏、自主規制団体の設立は21年度中を目標としています。 M&A業界はここ数年で急進化しています。 今後の動きにも是非注目頂きたいです。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
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