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M&Aの手法10選!それぞれのメリットやデメリット、流れを詳しく解説

2023年09月04日

競争が激化している現代社会では、企業が成長し続けるための一つの戦略としてM&A(Mergers and Acquisitions)が注目されています。M&Aは単に企業を買収するだけの行為ではなく、目的や戦略に合わせたさまざまな手法が存在しています。

そこで、M&Aの代表的な手法10選を紹介し、それぞれのメリットやデメリットについて解説します。

M&Aの手法の一覧表

M&A(Mergers & Acquisitions、合併・買収)とは、企業が組織を再編することを目的として行う行為の総称です。以下は、M&Aの手法を一覧にしたものです。

 

買収:他の会社の株式や資産を取得すること。

M&Aの手法 内容
株式譲渡 株式を他の会社や個人に譲渡すること。
株式交換 二つの会社が相互に株式を交換すること。
株式移転 子会社の株式を親会社に移転すること。
第三者割当増資 新たに発行する株式を特定の第三者に割り当てること。
MBO(Management Buyout) 経営陣が自社の株式を取得し、非上場化すること。
TOB(Takeover Bid) 他の企業の株式を株式市場を通じて買い取ること。

 

合併:二つ以上の企業が合同して一つの会社になること。

M&Aの手法 内容
吸収合併 一方の企業が他方の企業を吸収すること。
新設合併 全ての合併当事企業が新しい会社を設立すること。

 

提携:様々な目的で企業間での協力関係を築くこと。

M&Aの手法 内容
資本提携 株式を相互に保有することで提携関係を築くこと。
業務提携 特定の業務での協力関係を築くこと。

 

M&Aの手法は、企業の戦略や目的に応じて適切に選択され、実施されます。

 

M&Aの手法【買収】

M&Aの手法の中の買収とは、対象の会社から株式や事業を取得するM&A手法です。

以下のような方法があります。

【買収】

①株式譲渡
②株式交換
③株式移転
④第三者割当増資
⑤MBO(Management Buyout)
⑥TOB(Takeover Bid)

 

ここからは、上記で挙げたそれぞれの手法について詳しく解説していきます。

 

①株式譲渡

株式譲渡は、ある企業が対象とする企業の株式の一部または全部を購入し、それによって経営権を取得する手法です。株式譲渡の大きな特徴として、手続きの容易さが挙げられます。株式譲渡は他のM&A手法と比較して、比較的簡潔に実施することができるため、M&Aの中でも多く活用されています。

メリットとしては、迅速な経営権の取得が可能であり、目的とする企業との協力体制をすぐに築けることです。さらに、対象となる企業の経営方針やビジネスモデルを変更することなく、自社の戦略に組み込むことが可能です。

一方、デメリットとしては、株式を譲渡される企業の負債や隠れたリスクをそのまま引き受ける可能性があります。十分なデューデリジェンス(事前調査)を行わないと、後に大きな経済的損失をもたらす可能性があるため、注意が必要です。

株式譲渡は経営権を迅速に取得する上での魅力的な手法ではありますが、リスクも伴うため、慎重な判断が求められます。

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②株式交換

株式交換とは、完全親子会社関係の形成を目的としています。具体的には、買い手企業が売り手企業の株式を取得し、その対価として自社の株式を売り手企業の株主に交付します。

この方式での主なメリットは、現金での買収に比べ、直接的な買い取り資金の準備が不要という点です。自社の株式を交換対象企業の株主に交付することで、現金支出を抑えられます。

しかし、この手法にはデメリットや考慮すべきポイントも存在します。最も大きなデメリットとして、株式交換により、買い手企業の株主構成が変わることが挙げられます。株主構成が変われば、株主総会での影響力が変わることになります。したがって、企業の経営方針やビジョンに影響を及ぼす可能性があることに注意が必要です。

また、株式交換の手続き自体が複雑であり、関連する法的・税務的な課題も多いため、十分な準備と専門的な知識が求められます。総じて、株式交換は買い取り資金を準備する必要がないというメリットがありますが、その反面、経営や株主構成に影響を及ぼす可能性があるため、十分な検討と準備が必要です。

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③株式移転

株式移転は、M&Aの中でも特殊な買収方法として位置づけられるものです。

株式移転では、新しい親会社を設立し、既存の会社はその親会社に自社の株式をすべて移転します。その結果として、既存の会社は、新しくできた会社の子会社となる形態を取ります。株式移転での買収が選択される背景には、経営の独立性を保ちつつ、グループ全体の経営資源を効果的に活用する意図があります。

また、株式移転のメリットとして、PMI(Post-Merger Integration、合併後の統合)の負担が少ない点が挙げられます。直接的な経営の統合や業務プロセスの変更を伴わないため、従業員や業務に対する混乱や摩擦が少なくなります。

一方で、デメリットとして、株式移転はその手続きが法的に複雑である点や、関連する税務や会計の課題も伴うため、十分な専門的知識や対応が求められる場面もあります。また、新たに親会社を立ち上げることへのコストや、関係者への説明負担も増加する可能性があります。

株式移転は既存の経営体制を大きく変更しないまま、新しい企業構造を築くことができる手法であり、PMIの負担軽減というメリットを享受できる一方で、法的・税務面での複雑さを考慮する必要があります。

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④第三者割当増資

第三者割当増資は、特定の第三者に対して株式を新しく発行して割り当て、資本を増強する手法です。第三者割当増資によって、企業は、必要な資金を短期間で確保することができ、新しいプロジェクトの開始や経営改善、資金の調達などを行うことができます。

特定の第三者に株式を割り当てる」について、一般的には、取引先、取引金融機関、引退した経営者など、これまで企業と何らかの関係があった者となります。そのため、第三者割当増資は、縁故募集と呼ばれることもあります。

メリットとして、第三者割当増資は株式の譲渡とは異なり、資本取得に関する課税を受けない点です。これにより、企業は税負担を低減しながら資金調達を行うことができます。また、企業と投資家との関係性を強化する手段としても使用されることがあります。

デメリットとしては、第三者への新株の割り当てによって、既存の株主の持ち分が希薄化し、影響力が変わる可能性があることです。特に、大量の株を第三者に割り当てる場合、経営の方針や戦略に対する影響が大きくなるため、慎重な判断が必要です。

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⑤MBO

MBO(Management Buy Out)は、企業の経営陣が自社の株式を買収し、経営権を取得する手法です。MBOは、主に親会社からの独立、非中核事業の切り離し、または経営者の変更などのシチュエーションで行われます。

経営陣が事業の方向性や価値を熟知しているため、経営の安定性や継続性が保たれることがMBOのメリットとして挙げられます。また、経営者自身が資本を持つことで、経営意欲の向上や経営方針の実行に対するコミットメントが強まる効果にも期待できます。

デメリットとしては、資金調達の難しさが考えられます。MBOを成功させるためには大きな資金が必要となるため、外部資金の調達が必須となることが多いです。このため、利益追求のプレッシャーや返済の負担が大きくなるリスクがあります。

また、経営者が株主としても関わることで、経営判断に対するプレッシャーやコンフリクトが生じる可能性も考慮すべきです。

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⑥TOB

TOB(Takeover Bid)は、株式公開買付けのことを指し、上場企業の株式を市場外で買い取ることを目的とした手法です。

TOBのメリットは、経営権の迅速な取得が可能であることです。一定の割合以上の株式を取得することで、企業経営に影響を与える権限を有するようになります。また、公平性が求められるため、株主に対して一定のプレミアムをつけた価格での買取が行われることが多いです。

一方、デメリットとしては、高額な資金が必要となる点が考えられます。また、TOBの実施が市場に公表されることで、株価の変動が起きるリスクも存在します。特に、TOBが失敗すると、株価に大きな影響を及ぼす可能性があります。

TOBの特徴として、一般の投資家にも買取のオファーが行われ、それに応じて株式を売却するかどうかの判断が求められる点があります。これにより、多くの株主が意見を形成し、経営権の移行が進行します。

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M&Aの手法【合併】

ここからは、合併に分類される手法について解説します。

合併とは、複数の会社を統合する手法です。統合された会社のうち法人格が存続しない方は消滅することが特徴です。合併は、大きく以下の2つに分類することができます。

【合併】

⑦吸収合併
⑧新設合併

 

ここでは、それぞれの手法について詳しく解説していきます。

 

⑦吸収合併

吸収合併とは、複数の企業が一つとなる手法であり、特定の1社(存続会社)が他の会社を吸収し、その他の会社は解散する(消滅会社)形態を取ります。

具体的には、合併当事企業のうち1社のみが法的に存続し、他の企業の全ての権利義務はこの存続会社に移転されるという手法です。吸収される会社(消滅会社)はその全ての資産と負債を吸収する会社に移転します。その見返りとして、存続会社の株式を発行し、消滅会社の株主に割り当てなければなりません。

この手法のメリットとして、まず「シナジー効果」が挙げられます。企業同士の業務や技術の組み合わせにより、効率的な経営や新しいビジネスチャンスの発掘が期待されることから、多くの企業が吸収合併を選択します。

デメリットとしては、企業文化や経営方針の違いから生じる内部摩擦、また、統合後の組織の最適化や業務の重複排除に伴う人員削減の問題が考えられます。

 

⑧新設合併

新設合併とは、二つ以上の企業が全て解散し、その資産や負債、権利義務を新たに設立される会社に承継する形式の合併手法を指します。これまで存続していた企業は法的に消滅し、新しい法人が誕生することで、企業として新たなスタートを切ることができます。新設される会社は、消滅する企業の株主に対して株式を発行する必要があります。

新設合併のメリットとして、各会社の持つ強みや資源を一つの新しい組織の下で統合し、新しいビジョンや戦略を共有することが可能です。既存の企業文化や経営方針の摩擦を最小限に抑え、全く新しい組織文化を築くことができるのも特徴の一つです。

デメリットとしては、新しい組織の設立と運営には多くの時間と労力が必要とされ、短期的な混乱や生産性の低下が予想されます。また、組織の変更に伴う従業員の不安や抵抗も無視できない課題となります。

新設合併は、新しい市場やビジネスモデルへの参入、あるいは異なる業種や業態の企業同士の統合を目指す際に、特に有効な選択肢として検討されることが多いです。しかし、成功への道のりは複雑であり、十分な準備と戦略的な計画が必要です。

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M&Aの手法【提携】

買収・合併以外の方法で企業間が協力関係を取り結ぶ場合には、提携という形を取る場合もあります。ここでは、買収・合併以外のM&A手法としてまとめていきます。

買収・合併以外のM&A手法は以下の2つにまとめられます。

【提携】

⑨資本提携
⑩業務提携

 

ここでは、それぞれの提携について詳しく解説していきます。

 

⑨資本提携

資本提携とは、企業間の連携を深めるために相互の株式を取得し合う、または一方が他方の第三者割当増資により株式を取得する行為を指します。例としては、トヨタとマツダのような自動車メーカー間の提携や、ソフトバンクとウィーワークのような業界を超えた資本提携が挙げられます。

資本業務提携により、単にビジネス上の連携だけでなく、経済的な利益も共有することができます。

資本提携のメリットは、両社の経済的リスクを分散させ、新しい市場や技術へのアクセスを強化することです。また、企業が共同でプロジェクトを推進する際、その結束力が高まります。

一方、デメリットとしては、経営方針や企業文化の違いから生じる摩擦や、提携先の不祥事によるブランドイメージの低下リスクが考えられます。

近年の競争激化の中、企業同士の強固な絆を築く資本提携は、新しいビジネスチャンスを探求する手法として、ますます重要性を増しています。

 

⑩業務提携

業務提携とは、企業間が特定の業務領域での連携を目的とし、資本の移動を伴わない契約関係を結ぶ手法を指します。つまり、単純にお互いの強みやリソースを活用し、共同での事業展開やサービス提供を行う形態です。例えば、A社の技術力とB社の販売ネットワークを組み合わせて新製品を市場に展開するケースなどが考えられます。

業務提携のメリットとしては、資本を大きく動かすことなく、短期間での事業展開や新市場への参入が可能となる点が挙げられます。また、双方の企業が持つノウハウやリソースを効果的に活用することで、ビジネスチャンスを最大化できる可能性があります。

一方、デメリットとしては、業務提携における役割分担や利益配分についての認識の違いから摩擦が生じるリスクや、協力関係終了後の情報漏洩の可能性などが考えられます。

総じて、業務提携は速やかに市場環境の変化に対応する手段として、多くの企業が取り入れている戦略的な手法です。

 

M&Aの手法を活用する流れ

ここまで解説してきたように、M&Aには目的や戦略に合わせた様々な手法があります。いずれの手法を活用すべきかは、M&Aを実行する企業によって変わります。また、M&Aを行う際に、M&Aの流れを把握しておくことも重要です。

一般的にM&Aを行う際の流れは以下のようになります。

【M&Aの流れ】

  1. 目的と方向性の確認
  2. 専門家との相談
  3. 方針の検討
  4. M&A先の選定と交渉
  5. 基本合意の締結
  6. デューデリジェンス
  7. 最終条件の交渉
  8. 最終契約の締結
  9. クロージング
  10. 統合プロセス
  11. M&A後の展開

 

このように、M&Aは単なる企業の買収や合併ではなく、その前後の様々な手続きや戦略的な判断が求められる複雑なプロセスです。そのため、目的と方向性を確認したのち、M&Aの手法に関して適切なアドバイスができるM&A仲介会社に相談するのが一般的です。

バトンズは、売り手と買い手とのマッチングプラットフォームを運営しており、買い手と売り手のスムーズなM&Aを支援しています。

M&Aの流れについて詳しくは下記の記事をご覧ください。

【M&Aの流れ】

 

 

まとめ

M&Aは企業成長のための主要な戦略の一つとして注目されています。本記事では、その代表的な10の手法を取り上げ、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介しました。

M&Aは単に企業の統合を意味するだけではなく、それによるシナジーや新たな価値の創出を目指すものです。適切な手法と戦略を選ぶことで、企業の将来を大きく左右する可能性があります。最適なM&A手法がどの手法になるかは、企業のM&A戦略によって異なります。M&Aについて悩みがある際には、ぜひバトンズにご相談ください。

 

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