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2019.11.07

「経営権を取り戻す方法」MBOとは?経営者が知っておくべき3つの種類とメリット・デメリットを解説!

会社の経営陣が自社の株式を買収して、経営権を取り戻す方法をMBOと呼びます。MBOを行うと会社の経営体制を見直すことができる、または上場廃止にすることで経営陣が意思決定しやすくなる等のメリットがあります。

ただしMBOを実行する際は株主からの反発を買いやすく、留意しておくべき点もいくつかあります。今回はどのようにしてMBOを行うのか、その方法や実施後に期待できる効果を詳しく見ていきましょう。

 

MBOとは

経営陣が自社企業の株主から株式を買収して、独立した経営権を取得する方法が“Management Buyout(MBO)”です。M&Aの一種であり、資金調達してから経営陣は株式を買収します。

MBOを実施する目的は、会社を独立させてより自由な経営を行うことや、後継者問題を解決することです。また、上場を取りやめることができ、これにより株主からの圧力や諸費用を減らす目的もあります。

「経営陣による企業の買収」がMBOであり、買収する陣営や目的によって選択すべき手法は異なります。買収を検討している経営者が知っておくべきMBOの手法は、以下の3つです。

●MBI:外部のマネジメントチームが会社や事業を買収する方法
●MEBO:経営陣と一部の社員がお金を出資して企業を買収する方法
●EBO:会社の社員が自社を買収して、経営側に移る方法

経営の悪化や上場することのメリットが減ったことで、毎年いくつかの企業がMBOを実施しています。過去にはすかいらーくやカルチュア・コンビニエンス・クラブといった有名企業がMBOを行った実例があります。

 

MBOのメリット

「わざわざ自社の株式を買収してまで、経営権を取り戻す意味が分からない」とMBOのメリットが理解できないと感じる方もいるかもしれません。

確かに経営陣が株主から株式を買収するには、面倒な手間や費用がかかるものです。それでもなぜMBOは実施されるのでしょうか。上場企業の経営陣にとって、MBOには主に以下の利点があります。

1.経営体制の見直しができる
2.倒産の回避につながる
3.上場を廃止し意思決定しやすくなる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

 

1. 経営体制の見直しができる

経営陣がMBOを実施することで会社の株主が減り、企業の経営体制を見直せるというメリットがあります。株主がいなくなることで経営陣の自由度が増えて、より長期的な視野で事業を行えるようになります。

上場企業は多数の株主を抱えているため、経営陣は株主からのプレッシャーに応え続ける必要があります。ここで株価や配当ばかりを重視していると、短期的な利益を求めた経営に陥りやすくなります。

また、市場が成熟した今、企業はIT化やグローバル化といった経営戦略の転換が必要なフェーズにきています。こうした企業全体の経営を見直す際は、短期利益を重視する株主が弊害となり、戦略を変更するのは簡単ではありません。

そこで、MBOによって経営陣や少数株主に経営権を集中させることで、長期的な視点で経営戦略を打ち立てることが可能となり、業界の変化に適応しやすくなるのです。

 

2. 倒産の回避につながる

証券市場における株式会社の透明性が重視されている昨今、上場を維持するためにさまざまなコストが発生します。昔に比べてコストが増大しており、今では上場するメリットが弱まっている傾向すらあります。

例えば、上場企業は四半期ごとに決算を報告したり、内部統制報告書を作成したりといった作業を求められます。さらに、幅広い株主から資金を集めるために複数の制度を守らなければならないなどが、上場のデメリットになっています。

企業によっては、こうした社内情報を公開するには高額なコストが発生して、財務を悪化させる原因になることもあります。MBOにより上場を阻止することで、上場を維持するために発生する莫大なコストをを減らせるというメリットがあります。

 

3. 上場廃止により意思決定しやすくなる

ネット証券や非課税制度によって投資しやすくなった今では、短期利益を重視する投資家が増えています。企業の長期的な戦略を投資家から理解されにくくなり、適切な意思決定のハードルは高くなっているのが現状です。

MBOによって上場を阻止できれば、短期的な利益しか求めない株主がいなくなり、経営陣は適切な意思決定をしやすくなります。変化の早い市場で長期的な成長戦略を実施するためには、株主の数を減らすこともひとつの手段です。

 

MBOのデメリット

経営陣にはさまざまな利点があるMBOですが、実はデメリットもあります。

1.株主と対立してしまう
2.資金調達が必要になる

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

 

1. 株主と対立してしまう

会社の経営陣が自社株式を買収する場合、既存の株主と対立してしまうという難点があります。株主はなるべく株式で利益を得たい一方で、経営陣はなるべく安く買収を済ませようとするためです。

利益相反を防ぐために経営陣が株式を公開買い付けして、プレミアム分を上乗せした価格で株式を買収する手法はあります。

しかし実際には経営陣が提示した買収価格を認めず、株主が訴訟したり株式を売却しなかったりするあることもあります。MBOでは株主と経営陣の対立は避けられないため注意しましょう。

 

2. 資金調達が必要になる

株主から大半の株式を買収するには多額の資金が必要であり、経営陣が保有する資金だけでは不足するケースが多いです。MBOを実施するには金融機関から資金を調達する手間がかかります。

例えば金融機関にMBOの協力を相談したり、ビジネスローンの融資を受けたりすることが必要です。民間の金融機関から融資を受けるだけでなく、日本公庫を活用する方法もあります。

 

MBOを成功させるポイント

会社の経営陣がMBOを成功させるために注意すべきポイントは、主に以下の内容です。

1.問題なく株式を買収するためのキャッシュフローを意識しておく
2.収益性が高く、将来的に継続するであろう会社や事業である
3.会社の外部にいる専門家と相談して、知識や情報を集めておく

また、実際にMBOを実施した企業の事例も参考になるはずです。まずは情報を集めて資金繰りを確保しましょう。そして、MBOを行うことで得られるメリットとデメリットを十分に把握した上で、いつ実施すべきかといった具体的な行動に移していくべきでしょう。