ノウハウ

2019.07.30

デューデリジェンス(DD)の意味と手順について

M&Aの意思決定に欠かせない「デューデリジェンス(DD)」をご存知でしょうか?

デューデリジェンスは、企業の買収や合併、組織再編を行う前に対象企業を調査する、M&Aにおいて必須のプロセスです。精度の高いデューデリジェンスを行うことが、引いてはM&Aを成功に導くと言っても過言ではありません。

今回はデューデリジェンスの意味とその手順について解説していきます。

 

デューデリジェンスって何?

デューデリジェンス(Due Diligence)は、直訳すると「然るべき努力」という意味です。M&Aでは企業間取引に際し、対象となる企業の価値や資産、リスクなどを調査する活動のことを指しています。

デューデリジェンスは買収及び合併する対象企業の価値やリスク・リターンを正しく把握するために、ビジネス、財務、税務、法務、人事といったさまざまな観点から、企業を総合的に査定・評価する目的のもと行われます。専門的かつ法的な知識を要するため、公認会計士や弁護士、経営コンサルタントに依頼することが一般的です。

 

デューデリジェンスの種類

前述の通り、デューデリジェンスはビジネス、財務、人事などさまざまな観点から企業を総合的に査定・評価する活動です。ここでは、代表的なデューデリジェンスの種類について解説します。

ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスでは、M&A対象企業が取り扱う商品やサービスを中心に、営業戦略、マーケティングといった事業に直結する内容を調査します。買収や合併の場合はシナジー効果の分析、事業統合で生じるリスクの評価もこれに含まれます。
譲受企業(買い手)が自身で行うケースも多いですが、大規模なM&Aの場合は経営コンサルタントに依頼するケースもあります。

財務・税務・法務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスは別名ファイナンシャルデューデリジェンスとも呼ばれます。対象企業の決算時の財務諸表、過去の業績推移、設備投資、簿外債務、収益性、キャッシュフローなど財務の分野のあらゆる観点から分析を行います。

税務デューデリジェンスでは、対象企業の法人税の未払いや債務超過など、過去の財務上のリスクを調査します。株式譲渡や株式交換を実施する際は税務リスクも引き継ぐことになるため、譲受企業が売買を判断する材料として極めて重要です。

法務デューデリジェンスは別名リーガルデューデリジェンスとも呼ばれ、法律や法務の観点から対象企業を調査します。大規模なM&Aの場合はチェック項目が多岐にわたるため、弁護士に依頼することがほとんどです。

人事デューデリジェンス

人事制度、人材教育、労使や採用など対象企業の人事全般に関する調査が人事デューデリジェンスです。M&Aの原動力となる社員に関する課題を解決しなければ、統合による相乗効果を生み出すことはできません。

ITデューデリジェンス

対象企業の情報システムに関する調査を行うのがITデューデリジェンスです。システムの有効性、既存システムとの統合にかかるコスト、新規システムの必要性など、将来的な影響について調査します。

 

デューデリジェンスの流れ

それでは実際に、デューデリジェンスはどのようにして実施されるのでしょうか。ここでは手続きの流れを解説します。

全体の流れ

デューデリジェンスの全体の流れは次のとおりです。一般的に、中小企業のM&Aでは基本合意後にデューデリジェンスを行い、最終合意の判断を行いますが、一連のプロセスが完了するまでは1週間~長ければ1ヶ月程度の期間がかかります。

1. チェックリスト作成
2. 専門家や専門機関に調査を依頼
3. 対象企業に資料開示を要請
4. 対象企業にインタビュー
5. 最終的な方針決定

事前準備

デューデリジェンスの事前準備として「1.チェックリスト作成」「2.専門家や専門機関に調査の依頼」を行います。なお、各種デューデリジェンスを実行する前に、各種書類を用意しておく必要があります。

次に、デューデリジェンスの分野に応じて適切な専門家、専門機関に依頼します。弁護士や会計士などの専門家はチェックリストを基に調査を行います。情報共有を随時行いながらアドバイスや提案を受けるなど、任せきりではなく密なコミュニケーションが重要です。

事前準備は、デューデリジェンス実施の1~2週間前を目安に進めていきましょう。

資料開示・インタビュー

デューデリジェンスの実務で最初に行われるのが、対象企業への「3.資料開示請求」です。入手した資料を精査し、その結果をもとにデューデリジェンスの調査内容の方針を検討します。

対象企業へのインタビュー

続いて行われる対象企業へのインタビューは、開示請求した資料では不足していた情報を補うために、M&A担当者や会社役員に対して行うものです。インタビュー終了後は対象企業へ出向き、実際に事業の現場を見て回る現地調査を行います。

法務や財務、人事など各分野のデューデリジェンスは、それぞれ半日~3日程度かけて行います。

最終的な方針決定

資料の確認、インタビュー、現地調査によって得た情報を報告書にまとめ、最終的な方針を決定します。M&Aを成功に導くために、買収価格や契約内容の見直し、M&A締結後の運営方針等を検討します。

 

デューデリジェンスの注意点

これまで実際の流れを解説しましたが、デューデリジェンスを実施するうえでもっとも注意すべきポイントが「実施のタイミング」です。一般的には最終的な条件交渉の前に行われますが、普段確認しない資料を棚の奥から引っ張り出すなど一見怪しい動きをしているように見えるため、実施時期が早すぎると対象企業の従業員や取引先の間で不安が広まるリスクがあります。

もうひとつの注意点として、デューデリジェンスの優先順位が挙げられます。前述した各分野のデューデリジェンスすべてを実施するとなれば、コストも時間もかかります。デューデリジェンスの目的を明確にし、どのデューデリジェンスを実施するか優先順位をつけることで、コストと時間の浪費を防ぐことが可能です。

 

スムーズなデューデリジェンスがM&Aを成功に導く

デューデリジェンスは、M&A最終決定前のタイミングで行う必要不可欠なプロセスです。各分野のデューデリジェンスそれぞれに明確な目的を定め、優先順位をつけて実施することが望まれます。信頼できる専門家や専門機関と連携し、スムーズなデューデリジェンスを実施することでM&Aを成功に導きましょう。