M&A
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2026/10/01

M&Aの専門家費用に補助金を使うなら──契約と基本合意は交付決定の後に

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補助金を使うかどうかは、相手探しの前に決めます
M&Aの仲介やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の手数料、買収前の調査の費用には、国の補助金を充てられる場合があります。中小企業庁の「事業承継・M&A補助金」です。2026年10月2日に16次公募の申請受付が始まり、締切は11月6日(金)17時です。 ただし、この補助金は、申請すれば受け取れるというものではありません。採択の審査があり、専門家と契約する時期にも決まりがあります。順番を誤ると、採択されても補助の対象から外れます。 この記事では、売り手と買い手のどちらにも共通する注意点を、手続きの順に整理します。内容は、事務局が公表している16次公募の公募要領と「よくある質問」にもとづいています。
1|対象は、売り手・買い手それぞれの専門家費用です
M&Aの専門家費用を補助するのは「専門家活用枠」です。買い手と売り手で、補助率が違います。 ・買い手支援類型:補助率2/3以内 ・売り手支援類型:補助率1/2以内(営業利益率が下がっている場合や、直近の決算で営業利益か経常利益が赤字の場合は2/3以内) 補助上限額はどちらも600万円で、買収前の調査(デュー・ディリジェンス)を行う場合は200万円が加わります。補助額が50万円に届かない申請は受け付けられません。 小規模事業者などの売り手には「小規模売り手支援類型」もあります。補助率2/3以内・上限450万円で、下限はありません。 補助事業期間内にM&Aが成立しなかった場合(クロージングに至らなかった場合)は、上限額が下がり(専門家活用枠は300万円、小規模売り手支援類型は50万円)、対象になる経費も、原則として調査の費用などに限られます。 見落としやすいのは、仲介・FAの費用が対象になるのは、国のM&A支援機関登録制度に登録した業者の費用に限られることです。登録しているかどうかは、交付決定の時点で確認されます。依頼先を選ぶ段階で確かめてください。 このほか、承継に伴う設備投資などを補助する「事業承継促進枠」、承継後の統合を支える「PMI推進枠」、「廃業・再チャレンジ枠」があります。
2|専門家との契約と基本合意は、交付決定の後に置きます
この補助金でいちばん間違えやすいのが、契約の時期です。公募要領と事務局の予定にもとづく手続きの順番は、次のとおりです。 ・公募申請:Jグランツで電子申請(締切は2026年11月6日17時) ・採択の発表:2026年12月下旬以降に順次(予定) ・交付申請:2027年1月上旬から(予定) ・交付決定:2027年1月下旬以降に順次(予定) ・補助事業:交付決定日から2028年3月中旬まで(予定)。専門家との契約、相手との基本合意・最終契約、報酬の支払いは、この期間内に行う ・実績報告:事務局の確認で補助金の額が確定した後に、補助金を受け取る(精算払い) 採択の通知を受けただけでは、まだ契約はできません。採択の後に交付申請をして、交付決定通知書を受け取ってから、専門家との契約に進みます。 事務局のよくある質問は、交付決定の前に結んだ仲介・FAとの委託契約は、支払いを補助事業期間内に行っても対象にならないとしています。 中間報酬や成功報酬を対象にするには、支払いの根拠になる相手との基本合意書や最終契約書も、補助事業期間内に専門家の支援を受けて結ぶ必要があります。意向表明書は、基本合意書の代わりになりません。期間の前に結んだ最終契約の日付を、覚書で期間内に延ばすことも、原則として認められていません。 よくある質問は、専門家と契約する時期の目安も挙げています。売り手はティーザー(匿名の概要書)やIMを作る前、買い手はIMを検討した後で、基本合意の前です。 交付決定の時点でM&Aがかなり進んでいると、その後に専門家と契約しても、対象外とされる可能性が高いとしています。補助金を使うなら、相手探しを本格的に始める前に、申請の段取りを決めておきます。
3|負担は「補助金なし」でも計算しておきます
補助金は、事業が終わったあとの精算払いです。補助事業期間内に専門家費用をいったん全額自分で支払い、実績報告のあと、事務局の確認で補助金の額が確定してから受け取ります。消費税は対象外なので、金額は税抜きで考えます。 たとえば、専門家費用が税抜き150万円の場合、負担は次の3通りになります(交付決定を受け、期間内にM&Aが成立して、費用の全額が対象と認められた場合の計算です)。 ・補助金を使わない、または不採択:負担150万円 ・補助率1/2の場合:補助金75万円、実際の負担75万円 ・補助率2/3の場合:補助金100万円、実際の負担50万円 採択は審査で決まります。前回の15次公募では、専門家活用枠の申請312件に対して、採択は194件でした(すべての枠の合計では、申請551件・採択338件)。採択を前提に資金計画を組むと、不採択のときに承継の段取りが止まるおそれがあります。
4|待つ時間と、補助金の額を比べます
補助金を使うと、その分だけ成約の時期が後ろにずれます。16次公募の予定では、申請の締切(2026年11月6日)から交付決定(2027年1月下旬以降に順次)まで、少なくとも2か月半ほどあきます。専門家との契約と相手との基本合意は、その後になります。 相手探しや交渉は、待つ間に条件が変わることがあります。相手の事情が変わることも、業績が動くこともあります。 交付決定の後にも、守ることがあります。経費の内訳などの計画を変えるときは、事前に事務局の承認を受けます。補助事業が終わった後も3年間、事業化状況の報告が求められます。買い手の場合、相手に原因がないのに、自己都合でM&Aが実現しなかったと事務局が判断すると、補助の対象経費がすべて認められず、補助金の交付後でも交付決定が取り消されることがあります。 補助金の額と、待つ時間や手続きの重さを比べて決めてください。
5|申請までの手順をまとめます
1つ目は、GビズIDプライムのアカウントを先に取ることです。申請は電子申請のJグランツで行い、アカウントの発行には1〜2週間、混雑時は3週間ほどかかるとされています。 2つ目は、依頼する専門家がM&A支援機関登録制度に登録しているかを確かめることです。 3つ目は、見積りを取ることです。補助対象の経費は、原則として2者以上から見積り(相見積り)を取る必要があります。仲介・FAの費用がレーマン表で計算した額以下の場合など、相見積りが要らない場合もあるため、公募要領の別紙で確かめます。 4つ目は、専門家との契約と相手との基本合意を、交付決定の後に置く日程を組むことです。 5つ目は、補助金がなくても進められる金額かを、先に確かめることです。 都道府県や市町村にも、事業承継の専門家費用を補助する独自の制度があります。国の補助金と同じ事業には重ねて使えない場合があるため、所在地の窓口で併せて確かめてください。 株式会社トマックは、M&A支援機関登録制度に登録しています。決算書から企業価値の目安を無料で算定していますので、専門家費用が見合うかを考える材料にお使いください。
ご相談・注記
北陸(富山・石川・福井)の県の補助金と申請先は、当社サイトの記事にまとめています。 → 富山県の事業承継補助金|国・県の制度と申請の順番【2026年】 https://tomac-gr.jp/news/shokei-hojokin-toyama/ 同じ内容を動画でも解説しています(約10分) https://www.youtube.com/watch?v=nCkJJty7AAk 出典:事業承継・M&A補助金事務局「専門家活用枠 公募要領(16次公募・別紙を含む)」「専門家活用枠 小規模売り手支援類型 公募要領(16次公募)」「よくある質問(専門家活用枠・16次公募)」「16次公募 事業スケジュール」「お知らせ(2026年9月11日)」 ※ 株式会社トマックがご相談の窓口になり、提携する士業専門家と連携して進めます。 ※ 本記事は2026年10月時点の公募要領にもとづいています。補助金の内容や日程は変わることがありますので、申請の前に事務局の案内をご確認ください。 株式会社トマック(中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録M&A支援機関/中小M&Aガイドライン遵守宣言)
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