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2026/09/24

「継がない」と言われた日から考えること──株主と社長を分ける承継と、個人保証の整理

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「継がない」の一言で決まるのは、社長を誰がやるかだけです
子どもから「会社は継がない」と言われると、多くの社長は廃業を考え始めます。けれども、その一言で決まるのは、子が社長をやらないということだけです。 株を誰が持つのか。借入の保証を誰が負うのか。社長を誰が務めるのか。事業承継には、この3つが重なっています。子が断ったのは、そのうちのどれなのかを確かめるところから始めます。 この記事では、株主と社長を分けて引き継ぐ形と、承継の場面での個人保証の見直しについて整理します。どちらも、業種や地域を問わず使える考え方です。
1|断られたのは、会社ではなく「役割」です
事業承継で渡すものは、大きく分けて3つあります。会社の株式、社長という役割、そして借入に付いた個人保証です。 中小企業では、この3つを同じ一人が引き受けるのが普通でした。そのため、子が社長を断ると、株も保証も行き場を失ったように見えます。 中小企業庁の事業承継ガイドラインも、後継者にとって経営者保証などが課題や障害になり得ると指摘しています。子の答えの裏に、仕事ではなく保証への不安があることもあります。 まず、子に何を引き受けたくないのかを尋ねてください。社長の仕事なのか、保証なのか、住まいや今の勤め先を離れることなのか。答えによって、次に打つ手はまったく変わります。 尋ねるときは、社長の側から結論を言わないことです。「継がないなら廃業するしかない」と先に言うと、子はそれ以上話さなくなります。
2|株主と社長を分けて引き継ぐ
子が社長の仕事を望まない場合でも、株は子が持ち続けるという形があります。所有と経営を分ける承継です。 株式会社では、取締役は株主総会で選ばれます(会社法329条)。株を持つ子は、社長を務める人を選び、また替える立場に立ちます。会社が稼いだ利益は、配当として株主に戻すこともできます。 社長には、社内の役員や従業員、あるいは外から迎えた人が就きます。この形が成り立つかどうかは、任せられる人がいるかどうかで決まります。先に人がいて、形はその後です。 株主と社長が別の人になると、決めておくことが増えます。役員の報酬と任期、配当の方針、どの範囲まで社長に任せ、何を株主の判断にするか。口約束にせず、書面にしておくことが肝心です。 会社法には、議決権の内容が異なる株式(種類株式)を発行できる仕組みもあります(会社法108条)。株を持つ人と、経営の意思決定を担う人の関係を調整する手段の一つです。定款の変更が必要になるので、専門家と相談しながら検討します。
3|個人保証は、承継のときに見直せます
子が保証を理由に断っているなら、保証そのものを先に整理します。この分野は、ここ数年で仕組みが変わりました。 2019年12月には、経営者保証ガイドラインに事業承継向けの特則ができました。先代と後継者の双方に保証を求める、いわゆる二重徴求は原則禁止とされました。後継者との保証契約についても、事業承継の阻害要因になり得ることを踏まえ、柔軟に判断するよう金融機関に求めています。 2020年4月には、事業承継特別保証の取扱いが始まりました。経営者保証を不要とする信用保証の制度です。使えるかどうかは要件によるため、取引のある金融機関か信用保証協会に確かめます。 国は、承継の際の保証解除に向けて、専門家が支援する取り組みも進めています。とはいえ、保証を外せるかどうかは、最終的には会社の財務内容と金融機関の判断で決まります。 保証の見通しが立つと、子にもう一度話をする材料になります。子でなくても、社内の役員や従業員に後を頼むときに同じ材料が使えます。
4|身内で難しいときは、社外にも同時に当たります
子も社内の人も引き受けられないなら、第三者への引継ぎを考えます。ただし、身内での検討がすべて終わってから始める必要はありません。 社内の候補に打診している間に、社外に相手がいるかを並行して調べておくと、時間を無駄にしません。第三者に譲る場合は、まず自社にいくらの値が付くかを確かめるところからです。 小さなお店や個人の事業なら、これから創業したい人に事業を渡すという方法があります。多くの都道府県の支援センターが「後継者人材バンク」を設けています。創業希望者と、後継者のいない事業者を引き合わせる仕組みです。 子が継がない場合でも、社長が亡くなれば株は相続の対象になります。遺言がないまま複数の相続人に分かれると、後から譲渡をまとめるのに手間がかかります。株の行き先は、生前に決めておくほうが安全です。
5|順番をまとめます
1つ目は、子が何を引き受けたくないのかを聞くことです。社長の仕事、保証、暮らし、株のどれかを確かめます。 2つ目は、答えに応じて形を選ぶことです。株主と社長を分ける、保証を先に整理する、社内に頼む、社外に譲る。一つに決め打ちせず、並べて比べます。 3つ目は、会社の値打ちを先に確かめることです。決算書と保有資産を確認すれば、おおよその水準が分かります。値が付くと分かれば、廃業以外の選択肢が現実になります。 子に継ぐ意思がなくても、会社を残す道が閉じたわけではありません。株式会社トマックは、決算書から企業価値の目安を無料で算定しています。全国どちらからのご相談もお受けしています。
ご相談・注記
北陸(富山・石川・福井)の数字と、県ごとの相談窓口は、当社サイトの記事にまとめています。 → 後継者がいない北陸の会社へ|子が継がないと分かった後の順番 https://tomac-gr.jp/news/kokeisha-inai/ 同じ内容を動画でも解説しています(約8分) https://www.youtube.com/watch?v=yCLJWra7hIY 出典:中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」/中小企業庁「事業承継に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」/中小企業庁「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」/会社法(329条・108条)/各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センター「後継者人材バンク」 ※ 事業承継に伴う登記は司法書士、税務は税理士の業務にあたるため、提携する各士業と連携して進めます。 ※ 本記事は2026年9月時点の法令・制度にもとづいています。制度は改正されることがありますので、お手続きの前にご確認ください。 株式会社トマック(中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録M&A支援機関/中小M&Aガイドライン遵守宣言)
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