| 公開日 | 2026/10/30 |
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| 記載者 | あさひ国際会計株式会社 |
労務相談
従業員に給料の未払いがある会社でも、事業は譲れるのか
赤字・債務超過の会社の再生型M&A。成約は年間60件以上、最多は運送・物流。経営者の連帯保証の解除まで見すえて進めます。成功報酬のみ・相談無料
専門分野
M&Aアドバイザー(全般相談)
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未払いの給料があっても、事業は譲れるのか
譲れます。ただし、従業員に払えていない給料を、だれが、いつ、どのお金で払うのかを、買い手と従業員の双方に説明できることが条件です。
当社が仲介する譲渡案件(2026年1〜10月・44案件)で、買い手から受けた質問999問を分類しました。もっとも多かったのは「従業員が残るか・雇用の条件」で、質問全体の16.6%です。7割を超える案件で聞かれています。「借入・未払いのうち、どれを引き継ぐか」も8.5%あり、約半数の案件で話題になりました。
給料の未払いは、この二つが重なる問題です。買い手から見れば引き継ぐ負債の話であり、従業員から見れば新しい職場へ移るかどうかを決める話です。どちらか一方だけを整えても、話は前に進みません。
株式譲渡か事業譲渡かで、未払いの行き先が変わる
未払いの給料がどこに残るかは、譲る形で決まります。
株式譲渡は株主が入れ替わるだけで、会社そのものは変わりません。中小M&Aガイドライン(第3版)も、株式譲渡では譲り渡し側の法人格に変動がないと説明しています。払えていない給料は会社の債務として残り、買い手が持つことになった会社がそのまま抱えます。同ガイドラインは、株式譲渡では簿外債務や偶発債務のリスクが比較的高くなりやすいとしており、そのぶん買い手の調査は細かくなる傾向があります。
事業譲渡は、移す財産を選べる形です。借入や未払いを売り手の会社に残し、事業だけを買い手に移す設計がとれます。当社が扱う譲渡案件は、9割を超えるものがこの事業譲渡です。ただ、未払いの給料を移すか残すかは契約で決めることで、決めないままでは従業員への説明もできません。
事業譲渡で従業員を買い手に移すには、本人の同意も要ります。民法625条1項は、使用者は労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡せないと定めています。社長が決めたから全員が移る、という仕組みにはなっていません。
借入が多く、会社ごと引き継ぐ買い手が見つかりにくいなら事業譲渡。財務が比較的整っていて、許認可や取引の契約を会社ごと残したいなら株式譲渡。これが一つの目安です。
「事業譲渡なら、未払いは買い手と関係ない」は誤解です
社長が誤解しやすいのが、事業譲渡で未払いを元の会社に残せば、買い手には関係がなく、従業員の移籍にも響かない、という考えです。買い手の側も従業員の側も、そう単純には切り離せません。
買い手が元の会社の商号を引き続き使う場合、買い手も元の会社の事業で生じた債務を払う責任を負います(会社法22条1項)。これを免れるには、譲り受けた後に遅滞なく、債務を払う責任を負わない旨を本店所在地で登記するか、買い手と売り手の双方から第三者に通知する必要があります(同条2項)。
もう一つは、元の会社が、残される債権者を害することを知って事業を譲った場合です。残された債権者は買い手に対し、引き継いだ財産の価額を限度として、支払いを請求できます(会社法23条の2第1項)。買い手が譲渡の効力が生じた時点でそれを知らなかったときは、この請求はできません。元の会社に残した未払いの給料も、元の会社の債務の一つです。
従業員の側に立つと、前の段落で触れた同意の判断が、未払いの給料と結びつきます。元の会社から受け取れていない給料が残ったまま、別の会社へ移ることに同意するか、という判断になるからです。
同意をお願いする前に、だれに、どの月の分を、いくら払えていないかと、それをいつ、どのお金で払うのかを紙に書き出し、本人に見せられるようにしておきます。
元の会社に残した給料は、いつまでに払うのか
事業譲渡にあわせて従業員が元の会社を退職する扱いになる場合は、元の会社に残した給料に、退職者への支払いのルールがかかわってきます。
労働基準法23条1項は、労働者が退職した場合、権利者の請求があれば、使用者は7日以内に賃金を支払わなければならないと定めています。金額に争いがあるときでも、異議のない部分は7日以内に払う必要があります(同条2項)。退職の扱いになる従業員から請求があれば、7日以内に払う義務が生じるということです。
賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を支払うのが原則でもあります(労働基準法24条1項)。一部を差し引くには、労使の書面による協定が要ります。
譲渡代金や手元の資金で払える見込みがあるなら、クロージングの時期と支払いの時期をそろえて決めておきます。払える見込みが立たないなら、元の会社をどう整理するかを先に考えます。
元の会社を整理するなら、未払賃金立替払制度がある
元の会社に払う力が残らず、破産などの法的整理に進む場合は、未払賃金立替払制度が関係してきます。労働者健康安全機構が、未払いの賃金の一部を事業主に代わって払う制度です。
立替払の額は未払賃金総額の8割で、退職日の年齢によって上限があります。45歳以上は未払賃金370万円まで(立替払額は296万円まで)、30歳以上45歳未満は220万円まで(176万円まで)、30歳未満は110万円まで(88万円まで)です。対象は定期の賃金と退職手当で、賞与や解雇予告手当は含まれません。未払いの総額が2万円未満のときも対象外です。
事業主の側は、労災保険の適用事業で1年以上事業を行っていたことが条件です。従業員の側は、破産手続開始等の申立て、または労働基準監督署長への事実上の倒産の認定申請の6か月前の日から2年の間に退職していることが求められます。要件は個別に確認します。
最初に手元でそろえておきたいもの
未払いの給料がある会社が譲渡を考えるときは、次のものを確かめておくと、買い手への説明が早くなります。相談の時点ですべてそろっている必要はありません。
1. 従業員の一覧(担当業務・資格・勤続年数)と、残ってほしい人・残る見込み
2. 未払いの給料の内訳(だれに、どの月の分を、いくら払えていないか)
3. 給与台帳と勤怠の記録
4. 雇用契約書や労働条件通知書
5. 借入・未払い・滞納の一覧(税金や社会保険料の滞納も含めて)
6. 決算書(直近3期分)と今期の月次試算表
当社が仲介する譲渡案件(2026年1〜10月)では、買い手から「雇用契約書や労働条件通知書はあるか。勤怠をどう管理しているか」という質問を受けています。未払いの額が勤怠の記録から計算した数字と合っていないと、買い手も従業員も納得しません。
移る人の顔ぶれも細かく聞かれます。同じく当社が仲介する譲渡案件で、「現場の中心となる職人の年齢・健康状態と、技術を引き継げる見通しはどうか」と聞かれたことがあります。一覧の1番は、この質問に答えられる形で作っておきます。
未払いの内訳は、給与台帳の支給額と、実際に振り込んだ額を月ごとに並べると作りやすくなります。
あさひ国際会計なら、こう進めます
あさひ国際会計は、赤字・債務超過の会社のM&Aと、経営者の連帯保証の解除を専門にしています。
未払いの給料がある会社の譲渡では、未払い・滞納・借入のうち、どれを買い手に移し、どれを元の会社に残すかの線引きが話の中心になります。借入・未払いのうち、どれを引き継ぐかという質問は約半数の案件で出ました(当社が仲介する譲渡案件・2026年1〜10月)。たとえば「金融機関の借入・税金・社会保険料・未払金は、買い手が引き継がないということでよいか」という確認です。
社会保険料の滞納をいつまでに解消するか、取引先への未払いをだれが払うかも、買い手から聞かれます。借入・未払い・滞納の一覧を項目ごとに見ながら、移すのか残すのか、残すならいつ、どのお金で払うのかを決めていきます。
この線引きとあわせて、連帯保証の解除を見据えたスキームを設計し、ご提案します。成約した案件で、保証が残ったままになった例はありません。ただし解除には金融機関の同意が必要で、すべての会社で同じ結果になると言い切れるものではありません。
赤字・債務超過の案件は、おおむね2〜4週間で成約まで進むことが多く、相談した月のうちに成約することがほとんどです。報酬は成功報酬のみで、成約時に譲渡代金の中から精算するため、手元からの持ち出しはありません。
給料の未払いを抱えて迷っている社長は、一度ご相談ください
他社に断られた会社、赤字が続いている会社、借入が多い会社でも構いません。未払いの額がまだはっきりしていない段階でも、決算書(直近3期分)と借入の一覧があれば話を始められます。平日の営業時間内のご連絡には、最短で当日に対応します。
なお、状況によっては、破産などの法的整理のほうが適切な場合もあります。その場合も、従業員への支払いを含めて、どの道がよいかを一緒に整理します。
給料が払えなくなりそうなときの考え方は、資料にまとめています。
給料が払えないかもしれない(https://asahi-int.com/download/kyuryo-haraenai/)
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