労務相談
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2026/10/30

会社を譲ることを、従業員にはいつ、どう伝えればいいのか

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従業員に伝えるのは、いつがよいのか
従業員全員に伝えるのは、買い手と譲渡条件の大枠が固まってからが基本です。ただし、事業の要になっている人には、それより前に社長から直接話しておいたほうがよい場面があります。 従業員への伝え方で迷う社長は多くいます。早く伝えれば不安が広がり、遅く伝えれば「なぜ黙っていたのか」と信頼を失うかもしれません。どちらも避けたいと思うのは当然です。 判断の分かれ目は、その人が抜けたときに、買い手にとって事業を引き継ぐ意味が薄れるかどうかです。抜けても事業が回る人には、条件が固まってから全員そろって伝えます。抜けると取引や許可が続かなくなる人には、買い手との話が具体的になった段階で、個別に先に伝えます。この二段構えにすると、話す順番を決めやすくなります。
早すぎても遅すぎても困るのはなぜか
買い手が決まらないうちに全員へ話すと、「会社がなくなるらしい」という話だけが先に広まります。転職先を探し始める人が出れば、買い手が確かめたい「何人残るか」の見通しが立てにくくなります。 建設業なら、営業所技術者が辞めると許可の基準を満たせなくなるおそれもあります。誰が残るかが決まらないうちは、買い手も条件を詰められません。 反対に、遅すぎたときの問題は、事業譲渡の形で譲る場合にはっきり表れます。民法625条1項は、使用者は労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができないと定めています。従業員を買い手の会社へ移すには、一人ひとりの同意が要るということです。 契約の直前に初めて話を聞いた人が、その場で同意できるとは限りません。移ったあとの給与や勤務地を確かめる時間がなければ、断る人が出ても不思議ではありません。
買い手がいちばん多く尋ねるのは、従業員のこと
当社が仲介する譲渡案件44件について、2026年1月から10月に買い手から受けた質問999問を分類しました。いちばん多かったのは「従業員が残るか・雇用の条件」で、質問全体の16.6%を占め、7割を超える案件で聞かれています。決算・損益の中身(14.2%)や、車両・設備など引き継ぐ資産(13.4%)を上回る割合です。 具体的には、「ドライバー(職人)のうち、何人が残ってくれるか」「運行管理者や資格を持つ人に、譲渡後も働き続ける意思があるか」「雇用契約書や労働条件通知書はあるか。勤怠をどう管理しているか」といった質問を受けています。 この順位は質問の多さを並べたもので、譲渡の成否を決める順番ではありません。それでも、従業員のことは買い手がまず確かめたい点の一つです。社長が要になる人と何も話していなければ、「何人残るか」という質問には見込みすら答えられません。要になる人へ先に話しておく理由は、ここにあります。
株式譲渡か事業譲渡かで、伝える中身が変わる
株式譲渡は、会社の株主が入れ替わる形です。中小M&Aガイドライン(第3版)も、株式譲渡では譲り渡し側の法人格に変動がないと説明しています。従業員から見れば雇い主の会社はそのままで、雇用契約も続きます。伝えることは、株主と社長が替わること、今後の方針は新しい経営陣と話していくことが中心になります。 事業譲渡は、事業を買い手の会社に移す形です。従業員は会社を移ることになるため、先に書いたとおり本人の同意が要ります。移ったあとの給与、役職、勤務地、勤続年数をどう扱うかまで、説明に含める必要があります。 当社が扱う譲渡案件は、9割を超えるものが事業譲渡です。借入を売り手の会社に残し、事業だけを買い手に移す形です。つまり多くの場合、従業員一人ひとりの同意が要る前提で、伝える時期と中身を考えることになります。 なお、事業の全部や重要な一部を譲るときは、株主総会の決議による承認も要ります(会社法467条)。社長以外にも株主がいる会社は、従業員に話す前に、その点も確かめておいてください。
「社長が決めれば全員そのまま移る」わけではない
会社を譲ると決めれば、従業員は自動的に買い手のもとで働くことになる。これはよくある誤解です。事業譲渡では、同意しなかった人は買い手の会社へは移らず、元の会社に残ります。その人の処遇は、別に決める必要があります。 もう一つ見落とされやすいのが、許可を支えている人です。建設業の許可は、営業所ごとに専任の営業所技術者を置くことが基準の一つです(建設業法7条2号)。その人が辞めれば、許可の基準を満たせなくなるおそれがあります。また、建設業の全部を事業譲渡で引き継ぐには、譲渡人と譲受人があらかじめ認可を受ける必要があります(建設業法17条の2)。譲ってから認可を取ることはできないため、段取りの順番が結果を分けます。 運送業の案件でも、運行管理者が働き続けるかどうかを買い手から尋ねられています。資格を持つ人、主な取引先との窓口になっている人、現場をまとめている人とは、全員に説明する前に、社長が一対一で話す時間をとってください。「会社を続けるために、あなたに残ってほしい」と伝えられるのは、社長しかいません。
伝える前に、手元で確かめておくこと
従業員に話す前に次のものを手元にそろえておくと、説明の中身がぶれません。買い手の質問にもそのまま答えられます。 1. 従業員の一覧(担当業務・資格・勤続年数) 2. 残ってほしい人と、残ってくれる見込み 3. 雇用契約書または労働条件通知書と、勤怠の記録 4. 未払いの給与や残業代がないかの確認 5. 許認可の通知書の写しと、その許可を支えている人の名前 6. 誰に、いつ、誰の口から伝えるかの順番 1と2は、買い手から「何人が残ってくれるか」と聞かれたときに答える材料になります。3は、雇用契約書や勤怠の管理について尋ねられたときに、そのまま見せられます。5は、許可を引き継げるかを確かめる出発点です。 ご相談の時点で、これが全部そろっている必要はありません。そろっていなくても相談はできます。
あさひ国際会計なら、こう進めます
あさひ国際会計は、赤字・債務超過の会社のM&Aと、経営者の連帯保証の解除を専門にしています。中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録しており、中小M&Aガイドライン第3版に対応した登録支援機関です。業種が分かっている案件では、工事業(建設・設備・リフォームなど)がおよそ3割、運送業がおよそ2割で、2つで半分を超えます。 会社の譲渡とあわせて、連帯保証の解除を見据えたスキームを設計し、ご提案します。成約した案件で、保証が残ったままになった例はありません。ただし、解除には金融機関の同意が必要で、どの会社でも同じ結果になると言い切れるものではありません。 一般的なM&Aは半年以上かかると言われます。赤字・債務超過の案件は、おおむね2〜4週間で成約まで進むことが多く、相談した月のうちに成約することがほとんどです。期間が短いぶん、従業員に話す時期も早めに考えておく必要があります。ご相談の時点では、決算書(直近3期分)と借入の一覧があれば話を始められます。 報酬は成功報酬のみです。成約時に譲渡代金の中から精算するため、社長の手元からの持ち出しはありません。法的な手続きが必要な場面は、弁護士などの専門家が担います。
従業員への伝え方で迷っている社長は、一度ご相談ください
他社に断られた会社、赤字が続いている会社、借入が多い会社でも構いません。まだ誰にも話していない段階でご相談いただくほうが、打てる手は多く残っています。平日の営業時間内のご連絡には、最短で当日に対応します。 なお、状況によっては、破産などの法的整理のほうが適切な場合もあります。その場合も、従業員への影響を含めて、どの道がよいかを一緒に整理します。 ご相談から事業が引き継がれるまでの流れは、資料にまとめています。 相談してから、事業が引き継がれるまで(https://asahi-int.com/download/soudan-kara-hikitsugi/)
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