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M&Aにおける基本合意とは?意味や目的、基本合意書の作成方法を専門家が解説

2023年09月01日

今回は、「M&Aにおける基本合意とは?」について、解説します。

基本合意を分けてみると、「基本」と「合意」となります。ここで言う基本には、「契約における基本となる諸条件」と言うことであり、合意には「売主・買主間における意志・認識の一致」と言う意味合いがあります。

つまり、基本合意とは「契約における基本となる諸条件について、売主・買主間の意志・認識が一致している」と言うことになります。

契約とは、契約書にサインする当事者が契約内容に合意しなければ、当然締結されません。そのためには、契約における基本となる諸条件を売主・買主間で調整し、かつその内容を明らかとし、それに合意する必要があります。

それゆえ、M&Aにおける基本合意とは、重要な意思決定であり、その内容に売主・買主が署名・捺印する「基本合意書」の締結は、M&A上、最終契約書の締結に次ぐ重要プロセスと言えます。

今回のラインナップは、M&Aにおける基本合意についての、

①M&Aにおける基本合意の意味
②M&Aにおける基本合意書の意味
③M&Aにおける基本合意書を締結する目的
④M&Aにおける基本合意書を締結する時期
⑤M&Aにおける基本合意書に記載する項目
⑥M&Aにおける基本合意書の作成方法と注意点
⑦M&Aにおける基本合意書を締結する際の注意点

 

を中心に、解説していきます。

※今回の記事のワンポイントアドバイスでは、「【実例】基本合意書のテンプレートをみたい!」も解説していますので、是非、ご覧ください!


【監修者プロフィール】


合同会社アジュール総合研究所 / 代表社員
スモールM&Aアドバイザー/ M&A支援機関登録専門家
伊藤 圭一(いとう けいいち)

「小規模企業と個人事業の事業承継を助けたい!」そんな想いから、2019年7月に小規模事業専門のM&Aアドバイザー「スモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所」を設立。
合同会社アジュール総合研究所」の紹介ページ

【必見!】巻末にスモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所 代表 伊藤氏よりM&A実務に即したワンポイントアドバイスや注意点も掲載しています!是非、最後までご刮目下さい!

M&Aにおける基本合意の意味

M&Aにおける基本合意とは、M&A交渉において売主・買主間で取り決めた契約内容の骨子となる基本条件に合意することです。

基本条件は、「譲渡価額」、「譲渡スキーム(株式譲渡や事業譲渡など譲渡形態の事)」、譲渡後の役員、従業員の待遇、取引先との関係性維持、連帯保証の変更などの「諸条件」などであり、契約内容の根幹を成します。

M&Aプロセス上、基本条件の内容は口頭ベースではなく、合意事項として、買主より提示する「意向表明書」、または、売主・買主間で締結する「基本合意書」をもって書面にすることが一般的です。

 

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M&Aにおける基本合意書の意味

M&Aにおける基本合意書とは、M&A交渉において売主・買主間で取り決めた契約内容の骨子となる基本条件に合意し、その合意事項を書面にしたもののことです。

前のセクションでも触れたとおり、合意事項は書面にし、売主・買主間で基本合意書として締結されることになります。

 

M&Aにおける基本合意書を締結する目的

M&Aは、最終的に売主・買主が最終契約書に署名・捺印し、クロージング手続きを完了した時点で成約となります。

それまでには、秘密保持契約の締結や、トップ面談、条件交渉、基本合意書の締結、デューデリジェンス、最終条件への合意、最終契約書の作成・確認など、M&Aプロセスは多岐にわたり、長い期間も要します。そのためM&Aプロセスを進行する上で、どこかで中間点を設ける必要があります。

それが、基本合意書の締結です。基本合意書の主な目的としては、長期にわたるM&Aプロセスの折り返し地点として認識する意味合いもありますが、買主サイドの視点では、もう一つあります。

それは、「売主からの独占交渉権の付与」です。M&Aにおける独占交渉権とは、買主が売主とのM&A交渉を独占できる権利のことで、独占交渉期間中、売主は他の買い手候補との交渉は禁止されます。

独占交渉権を付与されたことにより、買主は売主と一対一の交渉が可能となり、買主側の費用負担となるデューデリジェンス(買収監査)も集中して実施することができます。

そういう面でも売主サイドとしては、どの買い手候補に独占交渉権を付与するかを吟味する必要があるため、M&Aにおいて、基本合意書の締結は、重要なプロセスと言えるのです。

 

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基本合意書を締結する時期

基本合意書の締結は、意向表明書同様、買主と売主のトップ面談も終了し、両者が前向きにM&Aを進めたいという意思を口頭レベルで確認できた時点で締結されるのが一般的です。

意向表明書は買主から売主へ差し入れる書面となりますが、基本合意書は買主・売主の双方が合意書に記名・捺印し締結する形式を取ります。

基本合意書の締結後、デューデリジェンス(買収監査)に入るのが一般的なM&Aプロセスとなるので、成約に向けM&A交渉も佳境に入ることになります。

 

M&Aにおける基本合意書に記載する項目

基本合意書に記載する一般的な項目は以下の通りとなります。

【基本合意書の記載項目】
・契約当事者
・目的
・譲渡スキーム
・最終契約について
・基本日程
・デューデリジェンス(買収監査)
・善管注意義務
・解除権
・有効期間
・独占交渉権
・譲渡禁止
・法的拘束力
・秘密保持義務
・費用
・協議事項

 

次のセクションでは、上記記載項目の内容について見ていきます。

 

M&Aにおける基本合意書の記載項目の内容

M&Aにおける基本合意書の記載項目の内容を、ひとつずつ見ていきましょう。

契約当事者

売主名、買主名、株式譲渡であれば、対象となる企業名が記載されます。以降は、売主は「甲」、買主は「乙」、対象となる企業は「対象会社」と表記されることが一般的です。

 

目的

基本合意書の目的として、最終契約書(株式譲渡契約書や事業譲渡契約書)の内容の草案となる基本条件と、基本合意書締結から最終契約書の締結及びクロージング(M&Aの成約)までの手続きについて定められている旨、記載されます。

 

譲渡スキーム

まずは、株式譲渡や事業譲渡などの譲渡形態が記載されます。

株式譲渡であれば、対象会社の株式の全てか一部か?
事業譲渡であれば、譲渡対象となる事業は何になるのか?

を、それぞれ特定したうえで記載されることになります。

また、基本合意書締結段階で取り決めた、譲渡価額、諸条件についても記載されますが、デューデリジェンス(買収監査)の結果によっては、売主・買主が協議の上、変更が可能の旨も記載されます。

 

最終契約の締結について

基本合意書を締結したことを受けて、最終契約書を締結することを前提にM&Aプロセスを進行させる旨記載されます。しかし、基本合意書に記載された内容が実行できない場合などは、売主・買主ともに、最終契約書を締結する義務を負わない旨も記載されます。

逆説的にみると、基本合意書を締結したからと言って、必ずしもM&Aが成約するとは限らないと言うことになります。

 

基本日程

基本合意書締結後の大まかなスケジュールが記載されます。

内容としては、

①デューデリジェンス(買収監査)の開始日
②最終契約書の締結日
③譲渡実行日(クロージング・成約日)

 

の3つとなりますが、譲渡スキームが株式譲渡の場合、②と③は同日に行われることもあります。

また、あくまで予定スケジュールとなるため、譲渡実行を急がない場合は、余裕を持ったスケジュール感で記載しても問題ありません。

 

デューデリジェンス(買収監査)

デューデリジェンス(買収監査)の実施方法や期間、そして、費用については買主が負担する旨、記載されます。また、売主は、資料や事実関係の開示や、監査人への質疑応答など、デューデリジェンスに協力する旨も記載されます。

 

善管注意義務

基本合意書の締結からM&Aのクロージング(成約)にかけて、対象会社における重要な資産の譲渡や処分、新たな設備投資、従業員の大幅な採用・解雇、他社への勝手な譲渡など、資産・財務内容に重大な影響を与える行為を行わない旨、記載されます。

要は、譲渡対象となる企業や資産について、大幅な変更をしないことを趣旨としています。

 

解除権

基本合意書を締結したとしても、売主・買主ともに解除権が与えられている旨、記載されます。

内容としては、両者において、基本合意書に違反した場合や、最終契約書の締結(またはクロージング)が困難な事象が発生した場合に発動される趣旨となります。

 

有効期間

基本合意書の有効期限が記載されます。おおむね半年から1年間となりますが、小規模M&A(スモールM&A・マイクロM&A)の場合、1〜2カ月程度になることが一般的です。

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また、最終契約書の締結(またはクロージング)が完了した時点でも自動的に失効となります。

基本合意書における有効期限は、独占交渉権の有効期限でもあり、M&A交渉・プロセス上、非常に重要な意味合いがあります。

独占交渉権については、次のセクションで解説します。

 

独占交渉権

売主より独占交渉権が付与される旨、記載されます。前述のとおり、M&Aにおける独占交渉権とは、買主が売主とのM&A交渉を独占できる権利のことで、独占交渉期間中、売主は他の買い手候補との交渉は禁止されます。

売主が買主へ独占交渉権を付与したことにより、相互に集中し、本腰を入れた交渉が開始され、いよいよM&A交渉は佳境に入っていくことになります。

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譲渡禁止

当然の話ですが、お互いの承諾を得ることなく基本合意書によって生じた権利義務を第三者に譲渡してはいけない旨、記載されます。

 

法的拘束力

基本合意書の記載内容については、法的拘束力のある事項とない事項が記載されます。

一般的には、譲渡価額や諸条件は、今後の交渉やデューデリジェンスの結果によって内容が変更される可能性があるので、法的拘束力は持たせず、善管注意義務以下の事項については、一般条項となるため、法的拘束力を持たせる内容となります。

 

秘密保持義務

売主・買主間の秘密保持義務についても記載されます。交渉に差し当たって秘密保持契約書も締結済みですが、基本合意書においても改めて記載し、締結されるのが一般的です。

 

費用

売主・買主間の費用負担について記載されます。デューデリジェンス費用については、前述の通り、買主が負担しますが、その他、M&Aアドバイザーへの中間金や、その他専門家への旅費交通費が発生する場合などは、各当事者が負担することになります。

 

協議事項

基本合意書に記載のない事項や、内容について疑義が生じた場合は、売主・買主間で誠実に協議し解決する旨、記載されます。(つまり、誠実協議のこと)

 

M&Aにおける基本合意書の作成方法と注意点

まずは、M&Aマッチングサイトなどで基本合意書のひな形をダウンロードしてみて下さい。

 

ざっと目を通していただき、内容の確認と最終的に出来上がる基本合意書をイメージしてみて下さい。

一般の方は、基本合意書を目にするのは初めてと言う方が殆どだと思うので、一通り目を通した方が、イメージが付きやすく、作成もスムーズにいきます。

基本合意書に記載される内容は、M&A交渉中に売主・買主間で合意した事項を掲載することとなりますが、効率的、且つ、抜け漏れなく作成するためには、トップ面談時の議事録作成は必須となります。

議事録は、トップ面談の際に交渉し、合意した内容を書き留めていく形式で作成します。その合意した内容を羅列し、売主・買主間で確認し、それをそのまま基本合意書に反映させるイメージです。議事録作成が難しい場合は、メモ書き程度でも十分です。

極論、当事者間で合意した事項に齟齬や誤解が生じないようにし、抜け漏れなく基本合意書に記載されれば問題ありません。また、面談が代表者ではなく、担当者レベルで行われる場合や、交渉が1年以上など長期にわたる場合は、タームシートを作成することも必要となります。

交渉の記録方法は、タームシート、議事録、メモ書きなど、状況に合わせて対応すれば問題ありませんが、交渉上、トラブルにならないよう必ず交渉記録は書き留めて、両者間で確認し合うと言うことを忘れないで下さい。

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M&Aにおける基本合意書を締結する際の注意点

経営者であれば、これまでに契約書を締結する場面を幾度となくご経験されてきたと思いますが、M&Aなどの重要な契約書を締結したことのない方も多くいることでしょう。

特に小規模M&A(スモールM&A・マイクロM&A)の場面では、経営している事業規模が小さいため、重要な契約書の締結に抵抗感のある方もいます。

当然のことですが、最終的には、株式譲渡契約書や事業譲渡契約書等の最終契約書を締結するわけですが、成約に向かうにつれて今までに感じたことのない緊張感も出てきます。

しかし、ここで尻込みしていては成約できません。どこかで重要契約の練習をし、これに対する免疫を付けておく必要があります。

その場面とは、基本合意書の締結時です。基本合意書の締結は、最終契約のプレ契約のような役割も担っているので、良い練習になります。

しかし、プレ契約とあなどり、雑になることは絶対にNGです。本番さながらに、締結前には売主・買主はしっかりと読み合わせを行い、書面に記名・捺印することが重要です。

基本合意書の締結を、最終契約とクロージングに向けての良い練習の場面としましょう。

 

まとめ

以上、「M&Aにおける基本合意とは?」を、解説しました。

今回の内容を、おさらいしましょう。

①M&Aにおける基本合意の意味

・M&Aにおける基本合意とは、M&A交渉において売主・買主間で取り決めた契約内容の骨子となる基本条件に合意すること。

②M&Aにおける基本合意書の意味

・M&Aにおける基本合意書とは、M&A交渉において売主・買主間で取り決めた契約内容の骨子となる基本条件に合意し、その合意事項を書面にしたもの。

③M&Aにおける基本合意書を締結する目的

・秘密保持契約の締結や、トップ面談、条件交渉、基本合意書の締結、デューデリジェンス、最終条件への合意、最終契約書の作成・確認など、M&Aプロセスは多岐にわたり、長い期間も要する。そのため、中間点として基本合意書を締結する。

また、売主から買主へ独占交渉権の付与することによって、一対一の交渉となり、買主側の費用負担となるデューデリジェンス(買収監査)も集中して実施することが可能となる。

④基本合意書を締結する時期

・基本合意書の締結は、意向表明書同様、買主と売主のトップ面談も終了し、両者が前向きにM&Aを進めたいという意思を口頭レベルで確認できた時点で締結されるのが一般的。

⑤M&Aにおける基本合意書に記載する項目

【基本合意書の記載項目(再掲)】
・契約当事者
・目的
・譲渡スキーム
・最終契約について
・基本日程
・デューデリジェンス(買収監査)
・善管注意義務
・解除権
・有効期間
・独占交渉権
・譲渡禁止
・法的拘束力
・秘密保持義務
・費用
・協議事項

 

⑥M&Aにおける基本合意書の記載項目の内容

・契約当事者:売主名、買主名、株式譲渡であれば、対象となる企業名。

・目的:最終契約書(株式譲渡契約書や事業譲渡契約書)の内容の草案となる基本条件と、基本合意書締結から最終契約書の締結及びクロージング(M&Aの成約)までの手続きについて定められている旨を記載。

・譲渡スキーム:株式譲渡や事業譲渡などの譲渡形態を記載。また、基本合意書締結段階で取り決めた、譲渡価額、諸条件についてと、デューデリジェンス(買収監査)の結果によっては、売主・買主が協議の上、変更が可能の旨も記載。

・最終契約の締結について:最終契約書を締結することを前提にM&Aプロセスを進行させる旨記載。

・基本日程:デューデリジェンス(買収監査)の開始日、最終契約書の締結日、譲渡実行日(クロージング・成約日)の大まかなスケジュールを記載。

・デューデリジェンス(買収監査):実施方法や期間、そして、費用については買主が負担する旨記載。

・善管注意義務:譲渡対象となる企業や資産について、大幅な変更をしないことを趣旨として記載。

・有効期間:おおむね半年から1年間となるが、小規模M&A(スモールM&A・マイクロM&A)の場合、1、2カ月程度になることが一般的。また、最終契約書の締結(またはクロージング)が完了した時点でも自動的に失効となる旨記載。

・独占交渉権:売主より買主へ独占交渉権が付与される旨記載。

・譲渡禁止:お互いの承諾を得ることなく基本合意書によって生じた権利義務を第三者に譲渡してはいけない旨記載。

・法的拘束力:一般的には、譲渡価額や諸条件は、今後の交渉やデューデリジェンスの結果によって内容が変更される可能性があるため、法的拘束力は持たせず、善管注意義務以下の事項については、一般条項となるため、法的拘束力を持たせる内容となる。

・秘密保持義務:売主・買主間の秘密保持義務について記載。

・費用:売主・買主間の費用負担について記載。

・協議事項:誠実協議について記載。

⑦M&Aにおける基本合意書の作成方法と注意点

・まずはM&Aマッチングサイトなどで基本合意書のひな形をダウンロードし、内容の確認と最終的に出来上がる基本合意書をイメージ。

・その後、議事録などの交渉記録を雛形に反映させ書面を作成。

・交渉の記録方法は、タームシート、議事録、メモ書きなど、状況に応じて対応すれば問題ないが、交渉上、トラブルにならないよう必ず交渉記録は書き留めて、両者間で確認し合うと言うことを忘れずに。

⑧M&Aにおける基本合意書を締結する際の注意点

・基本合意書の締結は、最終契約のプレ契約のような役割も担っているため、良い練習機会となる。しかし、プレ契約とあなどり、雑になる事は絶対にNG。本番さながらに、締結前には売主・買主はしっかりと読み合わせを行い、書面に記名・捺印する事が重要。

 

短期間にM&A成約させる場合、意向表明書の提示や基本合意書の締結をショートカットし、最終契約書の締結を行う場合もあります。

M&Aアドバイザーとしては、プロセスに一区切り入れるためにも省くことは推奨しませんが、急を要する場合はやむを得ないとも思います。

しかし、デューデリジェンス(買収監査)だけは、省くことなく必ず実施して下さい。特に小規模M&Aの場合、取引金額が僅少となるため、手続きを端折ろうとする方も多くみられます。

ですが、買収する企業や事業のリスクを認識しないままM&Aを成約させることは、後々、紛争となる可能性が高くなります。

M&Aを安全に成約させるには、教科書通りのM&Aプロセスを踏み、M&Aアドバイザーに依頼しない場合でも、要所は必ず弁護士、税理士などの専門家に相談するようにして下さい。

基本の形式に忠実に進行させることが、M&A成約の一番の近道となるのです。

※ご自身での基本合意書の作成がお難しい場合、ご相談を受け付けてくれるM&A専門家もいます。気になる方は、下記URLより専門家に依頼しましょう!

【M&Aアドバイザーについてはこちらから】

 ▼M&A支援専門家一覧

 

【スモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所 伊藤氏からのワンポイントアドバイス!】

こんにちは!この記事を監修させて頂きました、スモールM&Aアドバイザー「合同会社アジュール総合研究所」代表の伊藤と申します。

ここからは、スモールM&A専門家である、わたくし伊藤が、M&A実務に即した、成約に大きく前進するためのアドバイスと注意点などを、なるべくわかりやすく(そして、くだけた感じで?)スモールM&Aの現場の経験をもとに解説していますので、是非、ご刮目下さい!

 


はいっ!

今回は、「M&Aにおける基本合意」について解説しました。

ちょっとここで一般手なM&Aの流れの全体像を売り手側・買い手側に分けてみてみますか。

【売り手側の流れ】

1.M&A専門家に相談
2.M&A専門家と契約
3.必要資料の準備
4.買い手先の探索・選定
5.買い手との交渉・トップ面談
6.基本合意書の締結
7. デューデリジェンス(買収監査)
8.最終条件の決定
9.最終契約の締結
10.クロージング(成約)

 

 

【買い手側の流れ】

1.M&A専門家に相談
2.秘密保持契約の締結
3.ノンネームシートでの検討
4.M&A専門家と契約
5.売り手との交渉・トップ面談
6.意向表明書の提示
7.基本合意書の締結
8.デューデリジェンス(買収監査)
9.最終条件の決定
10.最終契約の締結
11.クロージング(成約)
12.PMIの実行

 

これ見て何か気づきませんか?M&Aの流れを俯瞰してみると、大事なことが分かってきません?

大事なこととは、基本合意書の締結後に重要なM&Aプロセスが集中していることです!

文中でもお話ししましたけど、基本合意書の締結ってやっぱり重要なM&Aプロセスだと思うんですね。M&Aって、売り手側も買い手側もふんわりした感じで始まるんですね。

売り手側は、

ウチの会社、本当に売れるのかな~

買い手側は、

なんかイイ売り案件ないかな~

みたいな感じで、どちらもM&Aが成約することなんて到底イメージしていないんですね。

M&Aの流れを見ていただいても、基本合意書の締結前って、M&Aアドバイザーに相談とか、検討とかまだまだふわっとしてるし、トップ面談や交渉が始まったとしても、「ホントうまくいくのかね~」くらいにしか売り手も買い手も思えないんですね。

結構、疑心暗鬼な感じなんですわ。ですが、いざ基本合意書を締結してみると、

「ああ~!ウチもいよいよか~!」

って、急に実感が湧いてくるんですね。

 

それもそのはず。

今までは、単なる検討段階でしたが、ここからは、デューデリジェンスや最終条件の調整、譲渡契約、クロージング、そして、買い手側であればPMIと一気に重要なM&Aプロセスが怒涛のように続いてくるからなんですね。

M&Aプロセス的にも大きく動き始めますが、精神的にもハラハラドキドキが止まらないステージに入って行くわけですね。そういった意味でも、基本合意書を締結するって、ものすごく重大な意思決定なわけです。

まだまだプレ契約ではありますけど、契約当事者にとっては、重要なプロセスであり非常に緊張してくる場面になってくるんですよね。

なので、今回の記事で、基本合意についての正しい知識を身に着けて頂けたら嬉しいですね。

 

っと、ここでみなさんにご質問!

実際の基本合意書って見たことありますかね?

ほとんどの方はないと思うんですよね。

M&Aアドバイザーとしては、皆さんにも小規模M&A(スモールM&A・マイクロM&A)で使用されている基本合意書のテンプレートを実際に見て頂き、イメージを掴んでもらいたいんですよね。

と言うことで、今回のワンポイントアドバイスは「【実例】基本合意書のテンプレートをみたい!」を解説していきます!

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【実例】基本合意書のテンプレートをみたい!

今回ご紹介する基本合意書のテンプレートは以下の2つです!

①株式譲渡の基本合意書テンプレート
②事業譲渡の基本合意書テンプレート

それでは順に、見ていきましょう!

 

①株式譲渡の基本合意書テンプレート

基本合意書

●● ●●(以下、「甲」という)と株式会社●●●●(以下、「乙」という)とは、甲保有の●●●●株式会社(以下、「対象会社」という)の株式の譲渡に関し、本日、以下の内容で基本合意(以下、「本件基本合意」という)を締結する。

(目的)
第1条 本件基本合意は、甲乙間の株式譲渡に関する契約(以下、「本契約」という)の基本条件と本契約締結に至る手続を定めることを目的とする。

(株式譲渡)
第2条 甲と乙は、甲が乙に対しその保有する対象会社の発行済株式●●株(以下、「対象株式」という)を譲り渡し、乙がこれを譲り受ける(以下、「本件株式譲渡」という)ことを内容とする本契約の締結に向け、相互に誠実に協議する。
2 本契約における対象株式の譲渡価額は、対象株式1株あたり金●●●●円(合計金●●●●円。以下、合計金額を「本件譲渡価額」という)とする。ただし、第5条に定める本件調査の結果、対象会社に関し甲が乙に提供した従前の情報とは異なる事実が判明し価額調整を行うべき必要性が生じたときは、甲と乙は、協議の上本件譲渡価額を変更することができる。
3 本契約における基本合意事項は以下事項とする。ただし、第5条に定める本件調査の結果、対象会社に関し甲が乙に提供した従前の情報とは異なる事実が判明し、基本合意事項の調整を行うべき必要性が生じたときは、甲と乙は、協議の上、基本合意事項を変更することができる。
【基本合意事項】※基本合意例
・本件株式譲渡後、甲は対象会社の役員として残留する。
・乙は、本件株式譲渡価格の代金とは別に、金●●●●円を役員退職慰労金として、甲に支給するものとする。
・本件株式譲渡後の社員及びパート従業員についての待遇は現状維持とする。
・本件株式譲渡後、金融機関からの借入金(2件)についての連帯保証人を、甲から、乙の代表取締役●● ●●に変更するものとする。

(本契約の締結)
第3条 甲と乙は、本件株式譲渡に関する諸条件に合意した場合、その具体的内容を定めた本契約を締結する。ただし、本合意書に規定されたいずれかの事項が充足されない場合は、当該事項の確認・実施について権利を有する当事者が当該権利を放棄した場合を除き、甲または乙は本契約を締結する義務を負わないものとする。

(基本日程)
第4条 甲と乙は、以下の基本日程を目標とする。
202●年●月●日  次条に定める調査の実施
202●年●月●日  本契約の締結
202●年●月●日  対象株式の譲渡実行

(調査)
第5条 乙は、対象会社の事業及び財務内容の実在性・妥当性を検証するために、本件基本合意締結以降、乙又は乙の指定する第三者(公認会計士、弁護士等を含む。以下、「調査人」という)による対象会社の調査(事業計画の検証、実地調査、インタビュー、会計帳簿その他の書類の閲覧、調査を含む。以下、「本件調査」という)を実施することができる。なお、本件調査に関する費用は乙の負担とする。
2 本件調査の時期・項目・方法は、別途甲乙で協議の上決定する。
3 甲は、対象会社をして、本件調査に可能な限り協力させると共に、事実をありのままに乙又は乙の指定する調査人に開示・通知・回答させる。

(善管注意義務)
第6条 甲は、対象会社をして、本件基本合意に別段の定めのある場合を除き、本件株式譲渡が実行されるまで、善良なる管理者の注意をもって対象会社の業務を運営させ、対象会社において次の各号に掲げる行為その他対象会社の資産・財務内容に重大な変更を生じさせる行為を行わせない。
(1) 重大な資産の譲渡、処分若しくは賃貸借、又は新たな借入その他の債務負担、保証若しくは担保設定
(2) 新たな設備投資、非経常的な仕入、又は非経常的な契約の締結、解約若しくは解除
(3) 従業員の大幅な新規採用又は解雇
(4) 対象会社の株式の譲渡承認(ただし、本件株式譲渡の承認を除く)
(5) 増資、減資、株式分割、合併、会社分割、株式交換又は株式移転

(乙の解除権)
第7条 本件基本合意の有効期間中といえども、甲又は対象会社が次の各号のいずれかの事由に該当し、乙から甲に対する書面による催告後10日以内にこれが是正されないときは、乙は、書面による通知により本件基本合意を解除することができる。
(1) 甲が本件基本合意に違反した場合(ただし、法的拘束力を有する条項に違反したときに限る)
(2) 甲の故意又は重過失により本件基本合意の目的が達成できない場合
(3) 重要な契約の変更、重要な取引先の倒産、係争事件の発生その他対象会社の事業に関する重要な事象、天変地異その他不可抗力等の外部的理由により対象会社の業務、財務内容、資産状態の悪化その他企業価値について重大な変動が生じ、その結果、本件株式譲渡の実行が明らかに不可能であると認められる場合
(4) 本件調査により対象会社の業務、財務内容、資産状態の悪化その他企業価値について重大な影響を及ぼす事象が判明した結果、本件株式譲渡の実行が困難と認められる場合

(甲の解除権)
第8条 本件基本合意の有効期間中といえども、乙が次の各号のいずれかの事由に該当し、甲から乙に対する書面による催告後10日以内にこれが是正されないときは、甲は、書面による通知により本件基本合意を解除することができる。
(1) 乙が本件基本合意に違反した場合(ただし、法的拘束力を有する条項に違反したときに限る)
(2) 乙の故意又は重過失により本件基本合意の目的が達成できない場合

(有効期間)
第9条 本件基本合意は、本件基本合意締結日から起算して1か月(以下、「専属交渉期間」という)以内に本契約が締結されなかったときは自動的に失効する。この場合、本件基本合意において法的拘束力を有することを確認した条項に違反した場合を除き、甲と乙は、相互に損害賠償責任を負わず一切の金銭等の請求を行わない。
2 甲と乙は、必要に応じ合意により前項の専属交渉期間を延長し又は短縮することができる。
3 本件基本合意が失効したときは、乙は甲に対し、本件基本合意の締結・履行に関して甲から受領した資料を速やかに返還する。

(排他的交渉権限)
第10条 甲は、専属交渉期間中は、対象株式の譲渡、第三者割当増資、減資、株式分割、合併、会社分割、株式交換、株式移転その他の本件株式譲渡の実行を困難とする取引又は当該取引に関する交渉、情報の交換若しくは連絡を第三者と行わないこと、本件基本合意締結時点でいかなる第三者ともこのような交渉、情報の交換又は連絡を行っていないことを保証する。

(譲渡禁止)
第11条 甲と乙はいずれも、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく、本件基本合意により生じた権利義務の全部若しくは一部又は本件基本合意上の当事者たる地位を第三者に譲渡、担保提供その他の方法で処分してはならない。

(法的拘束力)
第12条 甲と乙はいずれも、本件基本合意のうち第7条ないし第14条についてのみ法的拘束力を有し、その他の条項については法的拘束力を有しないことを確認する。

(秘密保持)
第13条 甲と乙はいずれも、次の各号に定める情報を除き、相手方の事前の書面による承諾なしに、書面、電子メール、電磁的記録、口頭その他方法の如何を問わず、本件株式譲渡の検討に関して相手方から開示された一切の情報、本件基本合意締結の事実及び本件基本合意の内容に関する一切の情報(以下、併せて「秘密情報」という)を本件基本合意の目的達成のため以外に使用し又は第三者に開示してはならない。ただし、甲と乙は、本件基本合意の目的達成のため合理的に必要な範囲で、役員若しくは本件株式譲渡の検討に関与する従業員又は弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、コンサルタントその他の専門家に本条と同等の秘密保持義務を課した上で秘密情報を開示することができる。
(1) 開示された時点で既に公知公用となっていた情報
(2) 開示された後受領者の責めによらないで公知公用となった情報
(3) 法令又は裁判所の命令により開示が要求された情報
2 乙が甲に対して差し入れた202●年●月●日付け秘密保持に関する覚書の効力は、本件基本合意締結の日をもって消滅する。
3 本条における義務は、本件基本合意の効力が失われた後も2年間は有効に存続する。

(費用)
第14条 本件基本合意に定める事項を実施するための一切の費用は、特段の合意がない限り各当事者の負担とする。

(協議事項)
第15条 甲と乙は、本件基本合意に定めのない事項又は本件基本合意の各条項の解釈につき疑義が生じたときは、誠意をもって協議の上解決する。

本件基本合意成立の証として基本合意書原本2通を作成し、甲乙が各自記名押印の上各1通保管する。

202●年●月●日

甲:

 

乙:

 

 

②事業譲渡の基本合意書テンプレート

基本合意書

●●●●株式会社(以下、「甲」という)と株式会社●●●●(以下、「乙」という)とは、甲の事業の譲渡に関し、本日、以下の内容で基本合意(以下、「本件基本合意」という)を締結する。

(目的)
第1条 本件基本合意は、甲乙間の事業譲渡に関する契約(以下、「本契約」という)の基本条件と本契約締結に至る手続を定めることを目的とする。

(事業譲渡)
第2条 甲と乙は、甲が乙に対し下記事業(以下、「本件事業」という)を譲り渡し、乙がこれを譲り受ける(以下、「本件事業譲渡」という)ことを内容とする本契約の締結に向け、相互に誠実に協議する。

事業範囲   ●●●●事業及びこれに附帯し又は関連する一切の事業
事業対象地域 ●●●●
2 本契約における本件事業の譲渡価額(以下、「本件譲渡価額」という)は、金●●●●円(消費税別途加算)とする。ただし、第5条に定める本件調査の結果、本件事業に関し甲が乙に提供した従前の情報とは異なる事実が判明し価額調整を行うべき必要性が生じたときは、甲と乙は、協議の上本件譲渡価額を変更することができる。
3 本契約における基本合意事項は以下内容とする。ただし、第5条に定める本件調査の結果、本件事業に関し甲が乙に提供した従前の情報とは異なる事実が判明し合意事項の調整を行うべき必要性が生じたときは、甲と乙は、協議の上、合意事項を変更することができる。
【基本合意事項】※基本合意例
・屋号の続用ついては、本契約の締結までに甲乙が協議し決定するものとする。
・従業員と取引先の引継ぎについては、甲の協力の下、甲乙が共同して行うものとする。
・業務オペレーションの引継ぎについては、甲の協力の下、甲乙が共同して行うものとする。尚、引継ぎの期間は本契約の締結後、おおむね1か月を目安とする。

(本契約の締結)
第3条 甲と乙は、本件事業譲渡に関する諸条件に合意した場合、その具体的内容を定めた本契約を締結する。ただし、本合意書に規定されたいずれかの事項が充足されない場合は、当該事項の確認・実施について権利を有する当事者が当該権利を放棄した場合を除き、甲または乙は本契約を締結する義務を負わないものとする。

(基本日程)
第4条 甲と乙は、以下の基本日程を目標とする。
202●年●月●日  次条に定める調査の実施
202●年●月●日  本契約の締結
202●年●月●日  本件事業の譲渡実行

(調査)
第5条 乙は、本件事業の財務内容の実在性・妥当性を検証するために、本件基本合意締結以降、乙又は乙の指定する第三者(公認会計士、弁護士等を含む。以下、「調査人」という)による本件事業及び本件事業を構成する財産の調査(事業計画の検証、実地調査、インタビュー、会計帳簿その他の書類の閲覧、調査を含む。以下、「本件調査」という)を実施することができる。なお、本件調査に関する費用は乙の負担とする。
2 本件調査の時期・項目・方法は、別途甲乙で協議の上決定する。
3 甲は、本件調査に可能な限り協力すると共に、事実をありのままに乙又は乙の指定する調査人に開示・通知・回答する。

(善管注意義務)
第6条 甲は、本件基本合意に別段の定めのある場合を除き、本件事業譲渡が実行されるまで、善良なる管理者の注意をもって業務を運営し、次の各号に掲げる行為その他本件事業又は本件事業を構成する財産に重大な変更を生じさせる行為を行わない。
(1) 重大な資産の譲渡、処分若しくは賃貸借、又は新たな借入その他の債務負担、保証若しくは担保設定
(2) 新たな設備投資、非経常的な仕入、又は非経常的な契約の締結、解約若しくは解除
(3) 従業員の大幅な新規採用又は解雇

(乙の解除権)
第7条 本件基本合意の有効期間中といえども、甲が次の各号のいずれかの事由に該当し、乙から甲に対する書面による催告後10日以内にこれが是正されないときは、乙は、書面による通知により本件基本合意を解除することができる。
(1) 甲が本件基本合意に違反した場合(ただし、法的拘束力を有する条項に違反したときに限る)
(2) 甲の故意又は過失により本件基本合意の目的が達成できない場合
(3) 重要な契約の変更、重要な取引先の倒産、係争事件の発生その他本件事業に関する重要な事象、天変地異その他不可抗力等の外部的理由により本件事業の業務、財務内容、資産状態の悪化その他事業価値に重大な変動が生じ、その結果、本件事業譲渡の実行が明らかに不可能であると認められる場合
(4) 本件調査により本件事業の業務、財務内容、資産状態の悪化その他事業価値について重大な影響を及ぼす事象が判明した結果、本件事業譲渡の実行が困難と認められる場合

(甲の解除権)
第8条 本件基本合意の有効期間中といえども、乙が次の各号のいずれかの事由に該当し、甲から乙に対する書面による催告後10日以内にこれが是正されないときは、甲は、書面による通知により本件基本合意を解除することができる。
(1) 乙が本件基本合意に違反した場合(ただし、法的拘束力を有する条項に違反したときに限る)
(2) 乙の故意又は過失により本件基本合意の目的が達成できない場合

(有効期間)
第9条 本件基本合意は、本件基本合意締結日から起算して1か月(以下、「専属交渉期間」という)以内に本契約が締結されないときは自動的に失効する。この場合、本件基本合意において法的拘束力を有することを確認した条項に違反した場合を除き、甲と乙は相互に損害賠償責任を負わず一切の金銭等の請求を行わない。
2 甲と乙は、必要に応じ合意により前項の専属交渉期間を延長し又は短縮することができる。
3 本件基本合意が失効したときは、乙は甲に対し、本件基本合意の締結・履行に関して甲から受領した資料を速やかに返還する。

(排他的交渉権限)
第10条 甲は、専属交渉期間中は、本件事業の譲渡、合併、会社分割、株式交換、株式移転その他の本件事業譲渡の実行を困難とする取引又は当該取引に関する交渉、情報の交換若しくは連絡を第三者と行わないこと、本件基本合意締結時点でいかなる第三者ともこのような交渉、情報の交換又は連絡を行っていないことを保証する。

(譲渡禁止)
第11条 甲と乙はいずれも、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく、本件基本合意により生じた権利義務の全部若しくは一部又は本件基本合意上の当事者たる地位を第三者に譲渡、担保提供その他の方法で処分してはならない。

(法的拘束力)
第12条 甲と乙はいずれも、本件基本合意のうち第7条ないし第14条についてのみ法的拘束力を有し、その他の条項については法的拘束力を有しないことを確認する。

(秘密保持)
第13条 甲と乙はいずれも、次の各号に定める情報を除き、相手方の事前の書面による承諾なしに、書面、電子メール、電磁的記録、口頭その他方法の如何を問わず、本件事業譲渡の検討に関して相手方から開示された一切の情報、本件基本合意締結の事実及び本件基本合意の内容に関する一切の情報(以下、併せて「秘密情報」という)を本件基本合意の目的達成のため以外に使用し又は第三者に開示してはならない。ただし、甲と乙は、本件基本合意の目的達成のため合理的に必要な範囲で、役員若しくは本件事業譲渡の検討に関与する従業員又は弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、コンサルタントその他の専門家に本条と同等の秘密保持義務を課した上で秘密情報を開示することができる。
(1) 開示された時点で既に公知公用となっていた情報
(2) 開示された後受領者の責めによらないで公知公用となった情報
(3) 法令又は裁判所の命令により開示が要求された情報
2 乙が甲に対して差し入れた202●年●月●日付け秘密保持に関する覚書の効力は、本件基本合意締結の日をもって消滅する。
3 本条における義務は、本件基本合意の効力が失われた後も2年間は有効に存続する。

(費用)
第14条 本件基本合意に定める事項を実施するための一切の費用は、特段の合意がない限り各当事者の負担とする。

(協議事項)
第15条 甲と乙は、本件基本合意に定めのない事項又は本件基本合意の各条項の解釈につき疑義が生じたときは、誠意をもって協議の上解決する。

本件基本合意成立の証として基本合意書原本2通を作成し、甲乙が各自記名押印の上各1通保管する。

202●年●月●日

甲:

 

乙:

 

 

今回記事の「まとめ」の「マトメ」

以上、「【実例】基本合意書のテンプレートをみたい!」を解説しました。

どうでしょうね?実際の基本合意書のテンプレートをみてもらって、イメージ持てましたか?

ご覧いただいてお気づきの通り、だいたいの雛形って決まってるんですね。

決まってないところと言うと、氏名・社名、日付あたりなんで、それはそのまま追記してもらえればと思いますけど、重要な部分は、「譲渡金額」「基本合意事項」ですね。

これについては、両者が提示する希望金額・諸条件と、交渉状況によって変わってくる部分になるんですね。なので、ここの部分は両者間で、よく話し合って決めていかなければいけないわけですね。

文中の基本合意書の作成方法でもお話ししましたが、交渉内容は必ず、交渉記録(議事録・メモ書き・タームシート)を取って下さいね。

くどいようですけど、両者の齟齬や誤解、抜け漏れ防止の一番の方法ってこれしかないんですね。人間の記憶って結構曖昧だし、自分の都合の良いように受け取るなんてことは、よくある話ですよね。

これって、人間の本能と言うか性と言うか・・・
これは、もう不変的なものなのでしょうがないです。

なので、それに対しての対策をとるしかないんですね。それが、交渉記録を取ることなんですよ。とってもアナログな対策ですけど、本当に大事!

逆に言うと交渉記録さえきちんと取っていれば、それをそっくりそのまま、「譲渡金額」と「基本合意事項」に当て込めば、基本合意書は簡単にできちゃうわけです。

最後に本当にくどいですが、あえて言いますよ!
交渉記録を取ることはゼッタイですよ!

冒頭お話しした通り、基本合意書の締結は重要なM&Aプロセスです。プレ契約だからって気を抜かず、本番さながらで臨みましょう!

 

今回のワンポイントアドバイスでは、「【実例】基本合意書のテンプレートをみたい!」について解説しましたが、今後もM&A実務に即したネタをご紹介しますので、これからもご覧いただけますと幸いです。

また、この記事が良かったなと感じたら、SNSでのご紹介をお願いします!

最後に、みなさまのM&Aが、安全にご成約されることを心よりお祈り申し上げます。

また次の記事でお会いしましょう!それでは!

 


【監修者プロフィール】


合同会社アジュール総合研究所 / 代表社員
スモールM&Aアドバイザー/ M&A支援機関登録専門家
伊藤 圭一(いとう けいいち)

「小規模企業と個人事業の事業承継を助けたい!」そんな想いから、2019年7月に小規模事業専門のM&Aアドバイザー「スモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所」を設立。
合同会社アジュール総合研究所」の紹介ページ
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