| 公開日 | 2023/04/30 |
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| 記載者 | 藤澤文太税理士事務所 |
財務・税務
【医療機関の損税問題にみる】飲食料品の消費税非課税改正の留意点
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はじめに
2月8日に行われた衆議院議員選挙において自由民主党単独で316議席となり、単独でも衆議院議員総数の3分の2以上の議席となりました。これは、与党が提出した法案が衆議院で可決されたものの参議院で否決されたり、参議院が法案を60日以内に議決しない(これにより衆議院がこれを否決したものとみなす)場合であっても、衆議院で再可決することにより、法案を成立させることが可能となります(日本国憲法59条)。
この自由民主党の公約の1つに「飲食料品は、2年間に限り消費税の対象としないことについて、今後「国民会議」において、財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速します。」というものがあります。
消費税を非課税にすることによる事業者の損税問題について、医療機関での損税問題を踏まえて確認してみたいと思います。
医療機関の損税問題にみる消費税非課税の問題点
消費税が非課税となることは消費者としては飲食料品について払う金額が下がるのでありがたいですが、消費税の申告納税を行う事業者にとっては「免税」になるのか「非課税」になるのかで大きな違いがあります。
医療機関の場合でその違いについて確認してみたいと思います。医療機関における主な収入である社会保険診療報酬は消費税は「非課税」なので患者は消費税を負担する必要がありません。しかしながら事業者である医療機関は診療のために入手した薬、材料、医療機器、医療施設等に対して消費税を支払っています。ここで、消費税の負担者は最終消費者であり、事業者は消費税の申告納税義務者であるという違いがあります。これが、消費税が「間接税」といわれるゆえんです。
・消費者:消費税の負担者
・事業者:消費税の申告納税義務者(モノの値段に消費税を上乗せして消費者から消費税を預かり、モノを売るために事業者自身が購入したモノに対して支払った消費税を差し引いて税務署に申告納税する)
したがって、本来であれば事業者である医療機関が患者から預かった消費税よりも医療機関自身が購入に対して支払った消費税の方が多い場合、超過額の還付を受けることになるはずです。
【例:間接税の考え方】
・医療機関が受け取った金額:診療報酬1万円(消費税0円)
・診療のために医療機関自身が支払った金額:薬品・材料他3,300円(消費税300円)の場合
⇒医療機関が支払った消費税300円を還付を受けることにより、全体で見て非課税となる(誰も消費税を負担していないという状態になる)
⇒医療機関が支払った消費税300円の還付を受けることができない場合は非課税となっていない(医療機関が消費税を負担してしまっているため、課税となっている)
しかしながら実際の制度上は、上記の事例でいう消費税300円の大半は医療機関が負担している状況となっています。これが「消費税の損税問題」です。(理解しやすいように厳密な説明は割愛しますが、)非課税売上の割合が高くなると、事業者が医療機器や薬材について支払った消費税額に課税売上割合(全体の売上のうちの非課税売上を除いた売上の割合)をかけることになるので、還付される金額が少なくなり、結果的に本来の消費税の負担者ではない事業者が消費税を負担することになります。
【例:保険診療が非課税であることによる損税の考え方】
・消費税300円×課税売上割合0%=0円の還付
診療報酬で損税部分は補填されてはいるものの、個々の医療機関で見ると実質的に診療報酬と損税は連動していません。これが社会保険診療報酬が「免税」であれば損税問題は生じません。なぜなら、免税売上は消費税の課税売上割合の分子・分母から除かないためです。
【例:保険診療が「免税」である場合】
・消費税300円×課税売上割合100%=300円の還付
消費者にとっては非課税であっても免税であっても消費税負担が減ることは変わりませんが、事業者にとっては上記のとおり大きな問題です。今後の税制改正で例えば飲食料品の消費税が「非課税」となった場合、食料品販売の割合が高いコンビニやスーパーマーケットなどでも消費税の損税問題が生じる可能性があります。
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