公開日 | 2023/06/04 |
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記載者 | 藤澤文太税理士事務所 |
財務・税務
【認定医療法人】優良な持分あり医療法人が抱えるリスク(納税者・顧問税理士)
バトンズ認定アドバイザー
認定バトンズDD調査人
医療法人の事業承継に特化した会計事務所です。 全国どこでも対応可能です。 お客様の親身になってお客様に寄り添うことを心掛けています。
専門分野
M&Aアドバイザー(全般相談)
企業/事業評価
企業/事業概要書作成
サーチ(譲渡案件発掘)
デューデリジェンス
PMI
経営支援
その他中小企業支援
対応可能エリア
日本全国対応可能
はじめに
皆さんこんにちは。税理士の藤澤文太です。
今回は、全国に約37,000件ある持分あり医療法人がなぜ将来困ることになるのかについてお話させていただきたいと思います。
▼藤澤文太税理士事務所ホームページ
https://fujisawa-taxaccount.com/
▼認定医療法人制度について
https://fujisawa-taxaccount.com/document/230329_nintei.pdf
持分あり医療法人が将来直面するリスク
持分あり医療法人で、特に優良な医療法人であればあるほど2つの問題に将来直面することとなります。
第1に、持分の承継時の相続税や贈与税等の「納税のリスク」です。
第2に、社員の退社時に持分の払戻請求を受けることにより資金繰りが悪化する「経営のリスク」です。
納税のリスク
株式会社でも株式を後継者や相続人に引き継ぐ際には相続税や贈与税等の納税が生じます。
医療法人でも同様に持分の承継時に納税が発生します。
これは、株式も持分も財産的価値を有するためです。
ただし、株式会社と異なり医療法人は配当ができないため、内部留保が厚くなりがちです。そのため持分の承継時の財産的価値が大きくなり、納税額も大きくなる傾向があります。
医療法人の持分そのものはそのままでは資金的裏付けはなく、優良な医療法人であればあるほど納税が困難となります。
例えば、持分の評価が5億円の場合、単純に相続税が半分課税されると仮定すると2.5億円の納税が必要になります。
納税資金を準備していれば納税できますが、財産の大半が医療法人の持分である場合、納税が困難となります。
また、仮に2.5億円納税することが出来る場合でも、本来ほかの投資等に回すお金を納税に回すことになります。
2回目、3回目と承継を繰り返すたびに納税も発生します。
経営が順調であれば持分の財産的価値も毎年上がっていき、承継時の納税額も年々増加していくこととなります。
経営のリスク
持分あり医療法人の出資者が社員でもある場合、社員の退社時に持分相当額の払戻請求を医療法人にすることが出来ます。
例えばA氏が1,000万円を出資して医療法人を設立し、40年後に医療法人の純資産が5億円となっている場合、A氏は1,000万円ではなく5億円の払戻請求をすることが出来ます。
医療法人に潤沢な資金が留保されていて、5億円くらい支払っても痛くもかゆくもないというのであれば問題ありませんが、多くの医療法人では設備投資をしており、純資産相当のお金を払ってしまうと経営が困難となります。優良な持分あり医療法人であるほど払戻額は大きくなります。
また、A氏が後継者のB氏と非後継者のC氏にそれぞれ500万円分の出資を贈与していた場合、贈与後に経営者であるB氏が頑張れば頑張るほど経営に無関係のC氏の払戻請求額は大きくなり、経営に関与していたB氏と無関係に財産が増えたC氏とに不均衡が生じ、B氏とC氏の仲違いの原因にもなりかねません。
持分あり医療法人の経営者のリスク
上記の2つのリスクを解決するために認定医療法人制度で持分なし医療法人に移行する方法があります。
持分がないということは、持分に対する納税も払戻もなくなるということになります。
もちろん持分ありのまま存続させるという判断も正しい知識と判断に基づくものであるならば問題はございません。
しかしながら、持分あり医療法人の本当のリスクは、経営者がその部分について正確な情報を得ることができておらず思考停止状態に陥って、正しくご自身でご判断されない状態であることです。
よくわからないけど顧問税理士に言われるがままに・・・というのではなく、一度ご自身で情報収集をしていただき、そのうえでメリットデメリットをきちんとご検討していただいたうえでご判断していただく必要があると考えます。
顧問税理士のリスク
持分あり医療法人を顧問先に持つ税理士や、医療法人の持分が相続財産に含まれる相続税の申告を担当される税理士は、認定医療法人の適用について1度も納税者にご説明していない場合、リスクがあると考えます。
「そんなマイナーな制度を説明したところで・・・」とか「どうせよくわからんし・・・」と言って放置して申告納税をしてしまったあと、他の税理士からセカンドオピニオンで「認定を受けて持分なしにしていれば2.5億円税金が少なくて済んでいましたよ。」などと言われ、納税者から「ちゃんと説明してくれていればそうしてたのに・・・」などと言われてしまうと最悪賠償問題にも発展しかねません。
提案後の採否はどうあれ、最低限のご説明は1度はしていただくことをお勧めいたたします。
最後に
もしご不明な点やご相談がございましたら、下記からご連絡いただけますと幸いです。
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