| 公開日 | 2025/07/24 |
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| 記載者 | 株式会社事業パートナー九... |
M&A
M&Aトラブル(8)M&Aのリスク管理:表明保証と買手DD
認定バトンズDD調査人
「経営改善・事業再生」を専門にしています。企業状況(財務・事業)を的確に把握し、会社の「将来の進むべき方向」を明確にし、M&Aを含め有効な策を提案し推進します。
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表明保証と買手DD
今回は、M&Aのリスク管理の中で重要な「表明保証」と「買手DD:デューデリジェンス」の関係について紹介します。
M&Aにおいて「売手の表明保証」と「買手DD:デューデリジェンス」は、契約の信頼性と責任範囲を形成する両輪のような存在です。
以下にそれぞれの位置づけと、両者の関係性、さらには買手がDDを実施していない場合の「表明保証違反」の立証リスクについて考察します。
表明保証の位置づけ(売手側)
役 割
表明保証とは、売手が契約締結時点において、
・「自社の財務情報は正確である」
・「訴訟リスクは存在しない」
・「許認可は有効である」
などと、事実関係について「真実かつ正確である」と保証する条項です。
目 的
・買手が安心して買収判断を下せるようにする
・万一虚偽や不実表示があれば、損害賠償等を請求できる根拠になる
=売手に一定の責任を負わせる「事後的な保険機能」
DD:デューデリジェンスの位置づけ(買手側)
役 割
買手がM&Aの対象会社について、法務・財務・税務・労務・IT・ビジネス面から多角的に調査を行い、
・潜在リスクの有無を洗い出す
・表明保証でカバーできない「見えないリスク」を先に把握する
目 的
・リスクの把握・対策
・買収価格の調整根拠
・契約条件(表明保証の文言)の形成材料
=買手による「事前的なリスク回避装置」
表明保証違反とDD未実施の関係
「表明保証で明記でDDを未実施」の場合の問題点
買手が適切なデューデリジェンスを行わずに契約し、後になってリスク(例:簿外債務、訴訟、許認可の不備など)が発覚した場合、表明保証違反を理由に損害賠償を請求しても、以下のような障害が生じる可能性があります。
ケース別に考察:
▶ ケース1:表明保証で明記 → 買手がDDを怠った
・裁判等では「買手側にも調査責任(善管注意義務)があったのに、怠っていた」と判断される可能性あり
・「信頼していた」というだけでは、損害賠償が一部しか認められないことも
➡ 表明保証違反を問えるが、損害賠償の範囲や責任割合が限定されるリスクあり
▶ ケース2:DD実施済・売手の不実表示があった
・買手がDDを尽くした上で発見できなかった情報が、虚偽であることが判明した場合は、売手の責任が問われやすい
➡ 表明保証違反の立証がスムーズで、買手保護の判断が下されやすい
実務的な対応策
売手側
・表明保証の内容を明確にし、開示資料で例外事項(Disclosure)を誠実に記載
・買手にDDの機会を適切に提供する(=後から「知らなかった」と言わせない)
買手側
・必ず適切なスコープでデューデリジェンスを実施
・発見されたリスクは表明保証に反映させる or 契約条件で担保(補償・価格調整など)
表明保証とDDは「セット」でリスク管理
M&Aにおける表明保証は、契約の中核をなす非常に重要な条項ですが、それを活かすも殺すもDD次第です。
・DDは「攻め」の調査
・表明保証は「守り」の責任担保
どちらか一方が欠けると、後の紛争リスクが格段に高まります。
したがって、M&Aを進める際には、売手・買手ともにこの2つの関係性を理解し、リスクに備えた設計が不可欠です。
M&Aは、「売手の誠実さ」と「買手の調査力」があって初めて成功します。
表明保証とデューデリジェンスは、その両者の信頼関係を契約で担保する仕組みです。
私たちは、売手に寄り添うセルサイドアドバイザーとして、買手とのトラブルを未然に防ぐため、表明保証と情報開示の設計支援も行っております。
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