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有限会社のM&A事情とは?方法や注意点を詳しく解説

2021年12月26日

​​近年は日本でもM&Aが普及し、経営戦略の1つとしてM&Aを検討することが一般的になってきました。その傾向は有限会社にも見られます。有限会社がM&Aを行う主な理由の1つが、事業承継です。後継者がいない場合に、M&Aによって別の会社に引き継ぐことで事業を存続させることができるからです。また、人材不足や現在休業状態にあるなど、M&Aを検討する理由は様々です。この記事で、有限会社のM&A事情について見ていきましょう。​ 

 

有限会社とは 

有限会社は会社の形態の1種で、資本金300万円以上、社員数50人以下、取締役1名以上といった条件のもと設立されます。2006年に会社法が施行され、新たな有限会社を設立することはできなくなりました。そのため現在「有限会社」を名乗っているのは、それ以前に設立した会社のみです。株式会社と異なり、決算の公告義務がないことや取締役の任期制限がないという特徴があります。 

有限会社に関するM&​​Aの方法 

​​では、有限会社のM&Aにはどのような方法があるのでしょうか。 

M&Aには大きく分けて「買収」「合併」の2つがあります。
株式譲渡と事業譲渡買収にあたり、会社分割と吸収合併合併にあたります。 

それぞれの方法や特徴について詳しく見ていきましょう。​ 

株式譲渡 

​​株式譲渡とは、買収側の企業が売却側の企業の持つ株式を譲り受けることで進めるM&Aです。

買い手企業は存続会社買収された企業は消滅会社と呼ばれることもあります。​ 株式譲渡には、会社をそのままの形で続けることができることや、許認可等の手続きが比較的簡単であることといったメリットがあります。そのため、中小企業が当事者となるM&Aの多くは株式譲渡の形をとっています。​ 

​​有限会社のM&Aでも同様に、株式譲渡の手法を用いることができます。ただし、有限会社は消滅会社の側にしかなれないことに注意が必要です。​ 

事業譲渡 

​​事業譲渡とは、事業の一部またはすべてを譲り渡すことによって進められるM&Aです。

特定の事業や財産のみを選択して譲渡することが特徴で、売却側は不要な事業を譲り渡すことで選択と集中を進めることができます。どの項目が売買されるのかが可視化されるため、買収側にも予期せぬ不良債務等を引き継ぐなどといったリスクが減るという点でメリットがあります。​ 

ただし、項目ごとに個別の交渉が求められるために手続きが煩雑となりやすく、事業を行うための許認可を取得しなければならないなど、手続き上のデメリットもあることに注意が必要です。​ 

会社分割 

​​会社分割とは、事業の一部または全部をほかの企業に引き継ぐことでM&Aを進める手法であり、会社の組織再編行為にあたります。既存の企業に引き継ぐ場合は「吸収分割」、新たに設立した会社に引き継ぐ場合は「新設分割」と言います。​ 

​​会社分割では、権利義務に関する契約等をまるごと承継できるため、契約を個別に締結し直す必要がありません。また、株式の交付を対価とすることもできるので、買い手企業は必ずしも現金を用意する必要がなく、まとまった資金の調達が難しい場合などでも検討できる方法です。​ 

有限会社は新たに設立することができないので、有限会社を新設して新設分割を行うことはできませんが、分割される側の会社として会社分割のスキームでM&Aの当事者になることは可能です。​ 

吸収合併 

​​吸収合併とは、ある会社の持つ権利義務をすべて別の会社が承継するという形で進めるM&Aの手法です。権利義務を譲渡した会社は消滅し、引き受けた会社が存続します。​ 

吸収合併には、会社が一体化するためM&A後にシナジー効果を発揮しやすいことなどのメリットがありますが、複数の会社を実際に統合する作業は負荷が大きく、事前の計画や準備が必須です。​

有限会社は吸収合併による存続会社にはなれませんが、消滅会社になることができます。​ 

 

有限会社のM&Aに必要な手続き  

ご紹介したように、有限会社のM&Aには4つの方法があります。実際にM&Aを進める際に必要な手続きは、株式を発行していない場合としている場合で異なります。それぞれの実際の手続きについてご紹介します。 

株式発行をしていない有限会社の場合

株式発行をしていない場合、先代の経営者の「出資持分」を後継者の名前に書き換えます。出資持分とは、有限会社に出資した金額に応じて得られる財産権のことです。出資持分は、株式会社における株式と同じ扱いです。そのため、株式と同じように出資持分を評価し、その金額に応じた相続税を収める必要があります。出資持分の評価には会計や財務の専門知識が必要となりますので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

出資持分の名義を後継者に書き換えたうえで、必要に応じて社員総会を開催します。そこで取締役に選任してもらい、はじめて会社の引継ぎが完了します。

株式発行している有限会社の場合

株式を発行している有限会社の場合、経営権を完全に後継者に移したい場合には、すべての株式を承継しなくてはいけません。

現存するすべての有限会社において、会社の定款に定めがない場合でも「譲渡制限株式」となり、株式の譲渡制限が設定されています。意図しない会社の乗っ取り防止や株式の譲渡を防ぐために、会社法によって定められているのです。

株式発行している有限会社の場合は、株主総会を行い、譲渡承認請求と承認手続きをする必要があります。株式については、出資持分の場合と同様に価値の評価が必要です。

 

有限会社のM&Aを行う際の注意点 

次に、M&Aを行う際の評価の手法や、有限会社に特有の注意点を見ていきましょう。

バリュエーションの手法を知る

有限会社にかかわらず、M&Aを行う際には会社の価値を評価する必要があります。これは「バリュエーション」とも呼ばれ、適正な売買価格を決定するためにも重要なポイントです。バリュエーションにはいくつかの手法がありますが、ここでは代表的なDCF法、マルチプル法、修正純資産法をご紹介します。

まずは、DCF法(割引キャッシュフロー法)です。

これは、会社や事業が将来生み出すと期待される価値を現在価値に換算することで、企業価値を評価する方法です。対象の企業の中期的な事業計画等がなければいけませんが、将来性のある事業を営んでいる場合などによく用いられます。

マルチプル法は、非上場企業の価値評価で用いられることの多い手法です。

業種や規模等が類似している上場企業を選定して、その企業の時価総額を特定の指標で割ることで評価倍率を計算します。この評価倍率をもとにし、対象の企業価値を評価します。

マルチプル法で算出した企業価値は必ずしも完璧な指標とは言えませんが、比較的容易で客観的な判断ができるのが特徴です。

 

修正純資産法とは、帳簿につけられた資産を時価に直して再度評価し、1株あたりの時価純資産額を求める方法です。

通常、有限会社のM&AでDCF法やマルチプル法を利用することは少なく、ほとんどの場合に修正純資産法が用いられます。これは、有限会社が規模の大きい組織ではなく、将来性が跳ね上がる可能性等も一般的には低いため、簡易な手法が望まれるケースが多いためです。

有限会社は上場できない

M&Aを行った後、会社を上場したいと考える経営者もいるかもしれません。しかし、上場会社になるためには株式を自由に売買することができなければならず、株式の譲渡に制限のある有限会社はそのままでは上場することができません。この点には注意する必要があります。

上場を目指す場合は、定款を変更して株式会社に変更し、有限会社から株式会社へと登記の変更の申請をするなど、一定の手続きをしなければいけないことを覚えておきましょう。

 

有限会社の事業承継の成功事例

最後に、有限会社の事業承継の成功例を見てみましょう。

タクシー会社の事例

まずは、タクシー業界で事業拡大を目指す木下様と川島様の事例です。

木下様はタクシー会社を母体として複数の事業を営む有限会社の代表、そして川島様はタクシー事業を営む株式会社の代表です。お二人の会社はどちらも福岡県を地盤としていましたが、全国展開を目指すべく、共同出資により栃木県を地盤とするタクシー会社を譲り受けました。

タクシー業界では、既存の営業区域に近いエリアでのM&Aを進めることが一般的です。今までのノウハウを生かすことができるだけでなく、情報の入手や事業の管理もしやすいからです。しかし、現在ではネットでの情報収集も容易となったため、今後の全国展開も視野に入れ、まったく異なる地域でのM&Aに挑戦しました。

成約につながった理由の1つに、タクシー業界を変えたいという想いが先方のオーナー様と一致したことが挙げられます。ネットを利用することで、今まではつながることのできなかった会社ともつながることのできる機会が増え、よりM&Aの門戸が広がっているようです。

参照:https://batonz.jp/learn/7824/

 

排水処理機器管理会社の事例

次に、排水処理機器の製造とメンテナンス業を営む有限会社の代表・佐藤様の例を見てみましょう。

先代の急逝により30代で会社を引き継いだ佐藤様は、その後30年以上の長きにわたり技術を磨き、会社を存続させてきました。大切に育ててきた事業を次世代に承継する決意をしたのは、ご自身が年齢を重ねて限界を感じることが増える中、事業が今後も持続的に成長するためには、新しい技術を取り入れてデジタル化にも柔軟に対応していける人物に任せた方がいいのではないか、と考えたためです。

多くの企業と面談を重ねる中、バトンズのアドバイザーを通して出会ったのが、地下水から飲み水を作る事業を行う会社の代表・新宅様です。汚れた水をきれいにする、という佐藤様の事業とも技術的に共通点が多く、技術や想いを引き継いでくれるだろうと感じたことが決め手となって、M&Aの成約につながりました。

事業をスムーズに続けるためには、人と人とのつながりも承継することが大切です。佐藤様は譲渡後も、2年という長い期間をかけて引き継ぎを行う予定です。

参照:https://batonz.jp/learn/7849/

 

学習塾の事例

最後に、東京杉並区で創設70年の学習塾を経営する有限会社の経営者・谷口様が個人実業家の石川様に事業を譲渡した例を見てみましょう。

谷口様の経営する学習塾は、義父の矢島郁郎先生が戦後間もない頃に開いた寺子屋です。親子代々に渡って通塾する生徒が多かったため、矢島先生の後継者として学習塾の経営を引き継いだ谷口様は、ご自身も70歳と高齢に近づく中、学習塾を後世に残すべくその手段を検討していました。しかしお子様はすでに別の道に進まれていたため、家族内での承継は難しい状況でした。

そこでM&Aという選択肢と出会いバトンズに登録したところ、多くの問い合わせを受ける中で意気投合したのが石川様でした。谷口様は面談の段階で、石川様が学習塾の将来をすでに真剣に考えている様子に心を動かされ、事業を託すことに決めました。マネジメントや経営の知見があるだけでなく、誠実で真面目な人柄も決め手となりました。

バトンズのサポートにも背中を押され、谷口様は石川様との取引を成約されました。今後は経営からは退き、講師という立場で引き続き学習塾に関わっていかれるとのことです。

参照元:https://batonz.jp/learn/7256/

まとめ

一部制約はあるものの、有限会社はおおむね通常の中小企業と同じスキームでM&Aを行うことが可能です。有限会社は業歴が長いため、小規模ながらもほかにない技術や知見を有している会社も多く、事業展開などのためにM&Aを考えている他社の経営者に対してアピールできる強みとなる可能性もあります。後継者がいないため事業承継の方法に悩んでいる場合などは、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

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