ノウハウ

2019.07.23

企業の収益力を表すEPSとは?活用シーンを解説

投資やM&Aを行う際は、さまざまな指標をもとに株式銘柄や企業を分析することが求められます。その際に活用できる指標のひとつにEPS(イー・ピー・エス)があります。

今回はEPSがどんな要因で変動しているのか、また、投資やM&Aでどのように活用されているのかについて解説していきます。

EPSとは

EPSとは、“Earnings Per Share”の略で、「1株あたり利益」という意味で使われています。以下の計算式で求められます。

EPS = 当期純利益(税引き後利益) ÷ 発行済み株式数(自社株は含まない)

このとき、当期純利益は税引き後の純利益であること、分母となる発行済株数には自社株が含まれないことに注意が必要です。

EPSが高ければ企業の収益力が高い、EPSが低ければ収益力が低いと判断されます。たとえば、当期の税引き前の純利益が1億円、法人税などの税金の合計が4,000万円、発行済株式数が200万株の企業の場合、

EPS=(1億円-4,000万円)÷200万株

=6,000万円÷200万株

=30円

となり、1株あたりの純利益、つまりEPSは30円となります。

一般的に投資やM&Aを判断する際、売上高や営業利益、純利益など、企業がどれくらいの売上・利益を上げているかは重要な評価基準です。会社単位の利益の大きさは業種や規模、業績等によって日々左右されています。そこで、EPSを用いてより多角的な評価視点を持って、投資やM&Aの判断をすることが可能になります。

EPSは、これから大きく業績を伸ばして株価を上げていく銘柄を探すときに活用できるだけでなく、企業の経営方針、基本方針の指標としても用いられることがあります。

EPSはどう活用すればいいの?

投資やM&Aにおいて、実際にEPSはどのように活用できるのでしょうか?

企業の成長性を判断する

EPSによって1株あたりの純利益がどれくらい出ているかを見ることで、企業の成長度がわかります。

企業が新規事業への参入や事業拡大を行う際には、増資によって資金を調達する場合があります。増資は一般的に、企業が新株を発行することで、事業の元手となる資本金を増大させるものです。

一方、発行済み株式数が増えることで、1株あたりの利益(EPS)が小さくなってしまう「株式価値の希薄化」を招く場合もあります。

しかし、短期的にEPSが下がったとしても、増資後に企業が利益を上げることができれば、EPSも上がり、株価も上昇します。このような「前向きな増資」が行われた企業は成長性が高いと見ることができるでしょう。

PER(株価収益率)を計算する

PER(Price Earnings Ratio)は、株価が割安か割高かを見極めるための株式指標の一つで、「PER(倍)=株価÷EPS」という計算式によって算出されます。

たとえば、EPSの数値を使って計算したPERが7倍の銘柄があったとして、同業種・同規模の平均PERが12倍であったとすれば、将来的にこの銘柄のPERも12倍まで上昇する可能性があると考えられます。同じく、EPSとPERを活用して株価が将来的に下がる可能性を考えることもできます。

株式銘柄の適正な株価を求める

「株価=EPS×PER(倍)」の計算式を用いて、適正な株価を求めることも可能です。日経平均のPERは10~15倍が妥当とされており、たとえばある銘柄のEPSが100円であれば、適正な株価は1,000~1,500円と見ることができます。

これを活用した投資家が、1,000円以下まで下落した株を割安と判断して買い注文を積極的に行い、株価が上昇するケースがあります。逆に1,500円以上まで上昇したら、割高と見て売却される株が増え、株価が下落する可能性があります。

このように、EPSとPERを活用して将来的な株価の予想を立て、株式の売り買いの判断をすることができます。

EPSを見る時に注意するポイント

基本的に企業が好調なときはEPSが上昇し、状況が悪化しているときはEPSが下落します。

しかし、EPSの活用方法で見たように、何らかの要因で一時的にEPSが下がっても、その後に企業が利益を上げるとEPSも上昇するため、長期的な伸び率を見ることが重要です。 また、企業側にとっては投資家から資金を募るために、できるだけ良く見せようと努力しているところも把握しておく必要があるでしょう。

EPSはどうしたら上がるのか

前述のように、EPSの計算式は「当期純利益÷発行済み株式数」で求められます。分母である発行済み株式数はそのままで、当期純利益が大きくなればEPSの値は大きくなります。確固たる経営基盤があり、売上と利益を増加させている企業のEPSは上昇基調となり、株価も上がります。

また、自社株を買う「株式消却」が行われると、市場に出回る株式が減少します。したがってEPSの計算式の分母である発行済株式数が減少し、EPSが上昇することもあり得ます。

EPSはどうしたら下がるのか

企業が増資などによって新たな株を発行すると、発行済み株式数が増加、結果的にEPSが小さくなります。ただし、増資で一時的にEPSが下がっても、その後企業が利益を上げることができれば株価も上昇していきます。

EPSを活用して、優良企業を見分けよう!

EPSを活用すれば、投資する株式銘柄やM&Aで買収する企業が優良かどうかを判断することができます。ただし、現状のEPSを唯一の指標とすることはリスクが伴います。過去にさかのぼってEPSの推移を見たり、商品やサービスのニーズを見たりして、より多角的な企業分析を行うことが重要です。