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ビジネスデューデリジェンスの意味とは?具体的な進め方と分析手法

2020.12.10

ビジネスデューデリジェンスは、M&Aの実施において非常に重要な役割を持ちます。

しかし、マーケティングやM&Aについて知見がないと聞き慣れない言葉です。詳しい意味や具体的なやり方について、曖昧にしか理解していない方は多いのではないでしょうか。

今回は「ビジネスデューデリジェンスとは?」という基礎的な部分から、ビジネスデューデリジェンスの具体的な手法をご紹介します。

ビジネスデューデリジェンスの意味とは?

まずデューデリジェンス(DD)とは、「DUE(当然)」「Diligence(勤勉)」という2つの英単語を組み合わせた言葉です。M&Aの領域では「M&A対象企業の情報を分析・検討・評価し、企業の価値やリスクを洗い出す調査」を意味します。

ビジネスデューデリジェンスは、複数あるデューデリジェンス工程のうち最初に行われるものです。もしもこのビジネスデューデリジェンスが適切に実施できなければ、取引の難航や破談につながるかもしれません。詳細を見ていきましょう。

ビジネスデューデリジェンスの意味と役割

ビジネスデューデリジェンスとは、M&Aの対象企業を調査し、企業価値を算出することを意味します。具体的な役割は、次の4要素を洗い出すことです。

 

ビジネスデューデリジェンスの役割 確認できる事項
経営判断の客観性の担保 ・偏った評価になっていないか

・信頼できる情報か

将来収益の見込み算出 ・M&Aで本当に収益を挙げられるか

・M&A後の成長の度合いはどれくらいか

事業に内包するリスクの顕在化 M&Aした後にトラブルや経営悪化が起こらないか
事業シナジーの明確化 事業同士の相性はどれくらいよいのか

 

事業が持つ強みや弱み、将来の可能性、リスクなどを調査した後、「本当にM&Aを実行すべきなのか」「収益を挙げるには」といった、事業計画実施の検討や計画の修正を行います。

知識や経験を持つ買い手自身が評価することもありますが、M&A専門会社や会計事務所などの第三者が行うことも多いです。

なぜビジネスデューデリジェンスが重要になるのか

ビジネスデューデリジェンスの実施は、法律上で義務付けられているわけではありません。しかし、「そもそもM&Aをしてよい結果になるのか?」を客観的にジャッジできるビジネスデューデリジェンスは、M&Aの成否に関わる重要な役割を担います。

重要といえる根拠は次のとおりです。

 

・客観的な経営状態を把握することで適切なM&Aが行えるから

・隠れた強み・弱みや将来性なども考慮して総合的に判断できるから

・相手側の意見を丸呑みして騙される可能性があるから など

 

デロイトトーマツコンサルティングが2013年に実施した「M&A経験企業にみるM&A実態調査」でも、次の結果が見られました。

 

・過去に行ったM&Aが成功基準に達していると答えたのは36%に留まる

・M&Aの目的のほとんどがシェアの拡大やノウハウの獲得など利益の追求である

 

出典元:M&A経験企業にみるM&A実態調査(2013年)

 

ビジネスデューデリジェンスが担う役割は大きいといえるでしょう。

ビジネス以外のデューデリジェンスについて

デューデリジェンスには、ビジネスデューデリジェンス以外にもいくつか種類が存在します。

 

デューデリジェンスの種類 概要
法務デューデリジェンス(法務DD) 所有権、許認可、登記関係など法務関係の調査
財務デューデリジェンス(財務DD) 収益性は負債など企業の財務情報の調査
税務デューデリジェンス(法務DD) 法人税などの税務関係の調査
ITデューデリジェンス(ITDD) 管理システム統合などのシステム関係の調査
人事デューデリジェンス(環境DD) 人材やM&A後の待遇などの人事関係の調査

 

企業規模や業種によっては、周囲の自然環境におよぼす影響を分析する「環境デューデリジェンス(環境DD)」や、技術・ブランドなどの知的財産について分析する「知的財産デューデリジェンス(知的財産DD」なども実施します。

 

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ビジネスデューデリジェンスの実務について

ここからは、ビジネスデューデリジェンスではどのような実務が行われているかについて、詳細をご紹介します。

コマーシャルデューデリジェンスによる事業市場分析

コマーシャルデューデリジェンスとは、対象企業および事業を取り巻く市場状況、競争状態、顧客の動向などを調査・分析する工程です。

 

・対象企業の事業に将来性はあるのか

・対象企業のポジションや持続性はどうか

・顧客ニーズを捉えた商品・サービスを展開しているか など

 

上記のような市場性の洗い出しを行い、M&A後のリスクやポテンシャルなどを評価します。

オペレーショナルデューデリジェンスによるリスク分析

企業の市場性や運用成績などの「結果」を見るコマーシャルデューデリジェンスに対し、オペレーショナルデューデリジェンスは、企業の業務フローや生産工程などの「オペレーション・過程」をチェックします。

 

・既存の戦略や業務フローのままで事業の拡大・縮小は可能か

・製造工程の稼働率や効率性は問題ないか

・追加で設備や人材に投資すべきか など

 

「どのように事業を動かしていたのか」「統合後に発生する業務上のリスクは何か」まで追求して分析することで、M&A後に業務がスムーズに進むかがわかります。

 

現場が稼働することを想定したシミュレーションまで行ってこそ、本当の将来性やリスクが見えてくるのです。

M&A後のシナジー分析・定量化

M&Aの成功には、事業にシナジー(双方が作用しあって効果や成果を高める)があるかが大きく影響します。M&A後のシナジーについて分析・定量化(数値で表す)ことも、ビジネスデューデリジェンスのひとつです。

 

・シナジーおよびディスシナジーの発現時期や頻度はどの程度か

・シナジーの定量化のロジックは合理的か

・シナジーを発生させるための条件や投資コストはどんなものか

 

「M&Aを実行すればお互いにこれだけ利益がある」という部分を洗い出せれば、相手との交渉もスムーズに進むはずです。

次のデューデリジェンスへ

ビジネスデューデリジェンスを進めた後は、次の法務、財務、税務などのデューデリジェンスを行います。

これらのデューデリジェンスの役割は「具体的・致命的なリスクの抽出」です。事業の種類や規模によっては、弁護士や会計士、税理士などの専門家の監修を受けながら、正確に遂行します。

 

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ビジネスデューデリジェンスの手法!具体的にどう分析する?

ビジネスデューデリジェンスを実施する際は、既存のフレームワークを用いることが一般的です。まずビジネスデューデリジェンスでは、大きく分けて2つの環境を分析します。

 

・外部環境分析:自社がコントロールできない外部的要因の分析

・内部環境分析:自社でコントロールできる内部的要因の分析

 

これらの分析に用いられるフレームワークは、「SWOT分析」が有名です。

「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「脅威(Threat)」の4要素を分析します。

ただしSWOT分析を行うには、まず事業、周囲環境、世間の動向などの客観的事実の整理が必要です。

以下ではそれら客観的事実を整理するために使う、ビジネスデューデリジェンスの分析でよく用いる4つのフレームワークをご紹介します。

外部環境分析1.PEST分析

PEST分析とは、外部環境分析のためのフレームワークの1つです。「Politics(政治的要因)」「Economics(経済的要因)」「Social(社会的要因)」「Technology(技術的要因)」の頭文字から取ってPESTと名付けています。

 

・政治的要因:法律や条例、政府などの政治関係

・経済的要因:景気動向や金利、為替などの経済関係

・社会的要因:人口動態や晩婚化などの社会関係

・技術的要因:新技術の開発や普及などの技術関係

 

「法律や条例に反していないか」「顧客ニーズや消費動向はどうか」などのマクロ視点で、M&A対象企業に影響を与える要因を整理します。

外部環境分析2.5フォース分析

5フォース分析(Five Forces Analysis)とは、アメリカの経済学者マイケル・ポーターが提唱したフレームワークです。企業に対するさまざまな「脅威」を整理します。

 

・新規参入の脅威(Enemy):新規参入企業や新規参入にかかるコスト

・競合の脅威(Rivalry):企業間の競争率

・代替品の脅威(Substitutes):似たような商品やサービス

・供給者の脅威(Suppliers):対象企業のサプライヤー

・購入者の脅威(Buyers):顧客の人数や客単価

 

PEST分析よりも経済・経営寄りの外部環境分析です。

内部環境分析1.VRIOフレームワーク

VRIOフレームワークは、主に対象企業の経営資源(資源や情報など)が、市場でどのくらいの価値があるかを分析するものです。

「Value(経済価値)」Rarity(希少性)」「Inimitability(模倣困難性)」「organization(組織)」の頭文字を取ってVRIOとしています。

 

・経済価値:所有する経営資源に経済的価値があるか

・希少性:他社にない、もしくは限られた企業しか保有していない価値か

・模倣困難性:他社が模倣できないもしくは模倣に膨大なコストがかかる価値か

・組織:経営資源をうまく生かせる組織であるか

 

内部環境の中でも、抽象性が高い要素の分析です。

内部環境分析2.バリューチェーンモデル

バリューチェーン(価値連鎖)モデルとは、5フォース分析と同じくマイケル・ポーターが提唱したフレームワークです。

企業の内部で行われる業務の連鎖的な活動の中で、価値やコストが付加・蓄積していくという考えの下で作成されました。

企業の活動を「主要活動(仕入れから生産)」と「支援活動(生産から消費者に渡るまで)」の2つに分類し、それらにかかるコスト・価値・つながりを分析し、価値を評価します。

 

<主要活動>

・購買・物流

・製造

・製品の出荷・物流

・営業・マーケティング

・顧客へのサービス

 

<支援活動>

・全般管理(本社経営・財務・経理・企画など)

・技術開発(研究・開発)

・人事・労務管理

・資材・原料の調達活動

 

これらがお互いに作用して生み出される価値を、M&A対象企業が持つ価値として分析します。

 

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バトンズのM&A支援専門家によるビジネスデューデリジェンスで適切なM&Aを!

ビジネスデューデリジェンスは、M&Aの実施において非常に重要な役割を持ちます。正しく企業の価値を分析することで、適切なM&Aが可能です。

しかし、正確に実施するには事業へのあらゆる理解だけでなく、財務や税務、法律などの専門的な知識を持たなければなりません。

もし「M&Aを検討しているけど、自分1人じゃ難しそう…」と感じたときは、ぜひバトンズに登録しているM&A支援専門家への無料相談をご利用ください。

 

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