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M&Aで買収した会社を経営するということ~PMIの重要性を理解する~

2020.11.24

PMI(ポスト・マージャ―・インテグレーション)とは、M&A後の経営統合のプロセスを指します。

買い手が会社を買収するということは、たとえば「さらなる利益を得たい」「会社大きくしたい」といった目的があるはずです。その目的を達成するためには、M&A後に買い手と対象企業の従業員・取引先などとどのようにビジネスを運営していったらいいのか、というところがPMIの出発点となります。

PMIは最終契約前に対象企業のリスクを洗い出すデューデリジェンス(DD)と並び、M&Aの成否の鍵を握る重要なプロセスです。今回は買い手が理解すべきPMIの重要性と、その具体的な取り組みについて解説します。

なぜ会社を買いたいのか。企業買収の目的

まずは買い手(=あなた)が企業買収に至った動機について考えてみましょう。

冒頭でも触れたように、企業を買収または合併する場合は何らかの目的があるはずです。

たとえば、個人の買い手の場合で考えると「サラリーマンを続けたくない」「大きく儲けたい」「会社を経営することが夢だった」といった目的が挙げられるでしょう。

「なぜ会社を買いたいのか」という動機は人それぞれで、何が正解というものはありません。しかし、M&Aで企業を買収することはゴールではなく、「会社を経営する」という新たなスタートです。

のちのち会社を経営していくうえで大変な場面に立たされたとき、この「なぜ会社を買いたいと思ったのか」という動機が大きなモチベーションになります。

買収によって手に入れたいものは何かを明確にする

買い手は企業を買収して手に入れたいものがあるはずです。たとえば、「企業経営を成功させて大きな富を得たい(利益)」「経営者としてスキルアップしたい(経験)」「対象会社の商品やサービスを使ってお客様を喜ばせたい(称賛)」などが手に入れたいものとして挙げられるでしょう。

これら手に入れたいものとは、買い手にとっての「成功の形」にほかなりません。成功の形を具体的にイメージして、定義することが、企業の運営をスタートさせるにあたっての重要なプロセスとなります。

目的達成までのグローモデルを作ろう

先ほど定めた企業買収の目的達成までのグローモデル(実現のためのプロセス)を、4つのステップに分けてご紹介します。

目的を明確にする(Goal)|STEP1

企業を買収しようとした目的、企業経営によって手に入れたい成功の形を具体化することが、目的達成の第一歩となります。

自分の現在地を知る(Reality, Resources)|STEP2

自分が持っている、または持っていない経営リソース(資金、時間、スキル、人望など)を棚卸しして、持っているものはさらに磨く、持っていないものは手に入れるというステップです。

手段を選択する(Option)|STEP3

会社を買収して経営していくと、途中でさまざまな選択を迫られる局面が訪れます。その局面においてどのような選択肢があり、何を選択していくのかということを考えるステップです。

諦めない意思を持つ(Will)|STEP4

達成したい目的、成功の形を必ず手に入れるという強い意思を持つことは、会社を経営していくための重要なエンジン、原動力となります。

目的達成の手段とポイントとは

ここからは、企業買収の目的と成功の形を手に入れるために、どのような取り組みが必要となってくるのか、取り組みの際に何がポイントとなるのか、具体的に解説します。

1人では成功できない|ポイント1

会社を買収するに至った動機や手に入れたい成功の形、あるいはそれらを達成するためのグローモデルは、会社を経営していくうえでの重要なモチベーションありながら、あくまでも買い手(=あなた)の都合に過ぎません。

買われた会社には、歴史があり、その歴史を築いた前社長(前オーナー)と従業員がいて、会社を信頼してくれている取引先がいます。

会社は、買収さえすれば放っておいても勝手にお金を生んでくれるというような魔法の箱ではありません。買い手が海よりも深い愛情と当事者意識を持って関与して、はじめてこれまで通りに機能する「生き物」です。

会社を会社たらしめているのは従業員と取引先なので、それらの人々にこれまで以上に喜んでもらうことを第一に考えましょう。

一見遠回りのようですが、そうすることが買い手の目的を達成するための一番の近道となります。

守ってから攻める|ポイント2

会社を買収した買い手としては、会社を大きくしたいだとか、投資回収を急ぎたいといった気持ちが先行しがちですが、そのような「攻め」の前に、まずは会社の守りを固めることが鉄則です。

売上や利益の向上を求めるあまり、企業買収の直後から無理に仕事のやり方を変えたり、コストカットを推進したりするやり方でM&Aが施工した事例は過去にもありません。性急な変革は従業員の不安を煽ったり、混乱を招いたりして、かえって売上や利益を減少させるリスクを孕んでいるからです。

企業買収後は現状を正確に把握したうえで、これまでと変わらない形でビジネスを回すこと、つまり守りを固めることからはじめましょう。従業員に変革を求めるような「攻めの取り組み」は、守りを固めてからでも遅くはありません。

異文化コミュニケーション|ポイント3

会社における「文化」とは、その会社が持つ特有の価値観や言葉、行動規範のことです。会社を買収した新オーナーの文化と、その会社に前から居た従業員の文化は大きく異なります。

異文化同士のコミュニケーションを成功させるには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

言葉の文化が違うことを認識する

買い手と従業員の間では、普段当り前に使っている言葉でも意味が違うことがままあります。たとえば、「チャレンジ」という言葉一つ取っても、それが「全く手の届かない目標」のことを指す会社もあれば、「手に届く数値」を指す会社もあります。

会社や環境によって言葉の定義が違うことは当り前という考えを前提として、丁寧な意思疎通を心がけることが大切です。

新しいものを一緒に作っていく感覚を持つ

買い手の従業員に対する一方的な提案が最適解とは限りません。それが最適解かどうかは相手次第です。従業員と一緒になって新しいものを想像するプロセスが両者の一体感を醸成、信頼関係を構築します。

「錦の御旗」を立てる

錦の御旗とは、買い手と従業員の共通の目標を指します。両者が一緒になって目指せる経営ビジョンを立てることで共通認識が生まれ、一体感が醸成されます。

会社を推進させていくエンジンをどうやって動かすか

企業が成長するための最大の推進エンジンは、従業員のモチベーション、主体性であり、これをどうやって動かすかが、買い手=新オーナーが考えるべきことです。

従業員は新オーナーを「お手並み拝見」のスタンスで見ています。そのような状態から新オーナーが従業員を味方につけてPMIを推進していくためには、「認めて」「期待して」「任せる」という丁寧なコミュニケーションの積み重ねが重要です。

ここまで述べたように、会社を経営するにあたって「コミュニケーション能力」は必須のスキルとなります。

従業員のモチベーション向上の秘訣。クイックヒット施策

企業買収の直後の従業員は、経営者が交代して不安を抱えています。新しい経営者、つまり買い手であるあなたは、小さくてもポジティブな変化を積み重ねて、従業員のモチベーションの向上に務める必要があります。これを「クイックヒット施策」といいます。

以下は、実際に企業を買収された方が実施されたクイックヒット施策の事例です。

 

  • 経営方針の発表
  • オフィスの移転
  • パソコンの一新
  • コピー機の入れ替え
  • 全社員へメールアドレスの付与
  • 名刺のデザイン替え
  • 経営者と従業員との飲食機会の設定
  • 個別面談
  • 社員賞の創設と表彰

 

経営者が変わった直後に仕事のやり方を大きく変えたり、無理なコストカットを推進したりすることは、従業員を疲れさせ、最悪の場合は退職者が続出するリスクがあります。

「攻めの経営は守りを固めてから」と述べたように、まずは従業員がポジティブな経験を積み重ねることが大切です。従業員がポジティブになれば、コストをかけない小さな施策でも構いません。経営者は会社の最大の推進エンジンである従業員のモチベーションを向上させるため、お金やアイデアといったリソースを惜しみなく投入しましょう。

目的を明確にして買収後の計画を実行しよう

最後に、M&Aの最終契約を結んだその日から、会社を買ったあなたが次の日から何をやるべきかについてお伝えします。M&A後に新しい経営者と従業員との信頼関係を構築するための重要な期間とされる約3ヶ月間のことを「PMIの100日プラン」といいます。

ここまで述べてきたように、買い手と従業員との間に信頼関係が構築されるまでは、従業員の感情の振れ幅が大きい施策には着手しないことが鉄則です。そこで、バトンズは買い手が対象となるプレミアム会員プラン(個人・個人事業主は月額4,900円、法人は月額9,800円)内で無料提供している『バトンズM&A買収・経営講座』の受講をお勧めしています。

『バトンズM&A買収・経営講座』は、買い手が知っておきたいM&A知識、M&Aの進め方やノウハウ、そして、M&A後の経営ノウハウを動画で体系的に学べる講座で、M&A後の100日間で取り組むべきことのチェックリストをダウンロード形式で配布しています。M&Aの目的を達成するためにも、これからPMIに取り組もうとしている買い手の方は是非一度、チェックされてみてください。

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