1. 事業承継・M&AならBATONZ(バトンズ)
  2. 事業承継・M&A売り案件一覧
  3. M&A記事・コラム
  4. 事業承継・M&Aトピックス
  5. デューデリジェンスの意味とは?目的や注意点を解説!

デューデリジェンスの意味とは?目的や注意点を解説!

2023年07月26日

M&Aの意思決定に欠かせない「デューデリジェンス(DD)」をご存知でしょうか?

デューデリジェンスは、企業の買収や合併、組織再編を行う前に対象企業を調査する、M&Aにおいて必須のプロセスです。精度の高いデューデリジェンスを行うことが、引いてはM&Aを成功に導くと言っても過言ではありません。

今回は、デューデリジェンスの意味とその手順について解説していきます。

 

デューデリジェンスとは

デューデリジェンス(Due Diligence)は、直訳すると「然るべき努力」という意味です。M&Aでは企業間取引に際し、対象となる企業の価値や資産、リスクなどを調査する活動のことを指しています。

デューデリジェンスは買収及び合併する対象企業の価値やリスク・リターンを正しく把握するために、ビジネス、財務、税務、法務、人事といったさまざまな観点から、企業を総合的に査定・評価する目的のもと行われます

専門的かつ法的な知識を要するため、公認会計士や弁護士、経営コンサルタントに依頼することが一般的です。

 

デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスを適切に計画して実行するためには、その目的を理解することが重要です。
ここでは、デューデリジェンスにおける3つの目的について解説します。

 

①売り手企業の状況を正確に把握するため

デューデリジェンスは、買い手企業が売り手企業の状況を正確に把握するために不可欠です。買い手企業にとって、買収のメリット・デメリットを理解することは最重要目的となります。

M&A仲介会社やマッチングサイトで買い手・売り手を探す場合、相手企業について知らないことがあるものです。そのため、買収によって得られるシナジー効果や、潜在的なトラブルのリスクを確認して最終契約を決断するためには、デューデリジェンスによる詳細な調査が不可欠です。

 

②M&A後にスムーズに承継を行うため

デューデリジェンスにより、早い段階で売り手企業の詳細について理解することは、買収後の引継ぎにも役立ちます。

M&Aは成約すればそれで終わりではなく、その後に売り手企業と買い手企業は統合プロセス(PMI)という引継ぎ作業を行います。PMIはM&Aそのものと同じくらい重要なプロセスで、たとえ好条件でM&Aが成約してもPMIで失敗するケースは少なくありません。

スムーズに承継作業を行い真の意味でM&Aを成功させるためにも、デューデリジェンスは重要な意味を持ちます。

 

③売り手と買い手でリスクを配分するため

売り手と買い手で、M&Aに伴うリスクを適切に配分するためにもデューデリジェンスは重要です。M&A成約後に売り手企業に何らかのリスクが発覚した場合、基本的にそのリスクは買い手企業が負わなければなりません

一方、成約前にデューデリジェンスでリスクを洗い出しておけば、最終契約書にリスクを適切に配分できるような条件を盛り込むことで、買い手の過剰なリスク負担を避けることができます。

M&Aを行う際は、デューデリジェンスの段階でリスクを全て洗い出すことが重要です。

 

デューデリジェンスを行うタイミング

デューデリジェンスは、基本合意の締結後に行うのが一般的です。デューデリジェンスは買い手にとって金銭的負担が大きいので、売り手がデューデリジェンスに真摯に協力してくれなかったり、デューデリジェンス実施中に他の買い手候補と交渉されたりする事態は避けなければなりません。

基本合意書には、デューデリジェンスへの協力義務と独占交渉権が盛り込まれているので、基本合意の締結後なら買い手はコストのかかるデューデリジェンスを安心して実施できます。

 

デューデリジェンスの種類

前述の通り、デューデリジェンスはビジネス、財務、人事などさまざまな観点から企業を総合的に査定・評価する活動です。ここでは、代表的なデューデリジェンスの種類について解説します。

 

ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスでは、M&A対象企業が取り扱う商品やサービスを中心に、営業戦略、マーケティングといった事業に直結する内容を調査します。買収や合併の場合はシナジー効果の分析、事業統合で生じるリスクの評価もこれに含まれます。

譲受企業(買い手)が自身で行うケースも多いですが、大規模なM&Aの場合は経営コンサルタントに依頼するケースもあります。

 

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスは、別名ファイナンシャルデューデリジェンスとも呼ばれます。対象企業の決算時の財務諸表、過去の業績推移、設備投資、簿外債務、収益性、キャッシュフローなど財務の分野のあらゆる観点から分析を行います

 

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスでは、対象企業の法人税の未払いや債務超過など、過去の財務上のリスクを調査します。株式譲渡や株式交換を実施する際は税務リスクも引き継ぐことになるため、譲受企業が売買を判断する材料として極めて重要です。

 

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスは、別名リーガルデューデリジェンスとも呼ばれ、法律や法務の観点から対象企業を調査します。大規模なM&Aの場合はチェック項目が多岐にわたるため、弁護士に依頼することがほとんどです。

 

労務デューデリジェンス

労務デューデリジェンスとは、対象企業の労務関連について調査します。特に、残業代の未払い労使トラブルの有無は必ず確認するべき事項です。もしM&A成約後にこれらが発覚すれば、買い手企業が残業代を支払ったり、訴訟を起こされたりする恐れがあります。

このほか、就業規則の内容や社会保険等の適用状況、育休・産休制度なども確認しておきましょう。

 

人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスは、人事制度、人材教育、労使や採用など対象企業の人事全般に関する調査をすることです。M&Aの原動力となる社員に関する課題を解決しなければ、統合による相乗効果を生み出すことはできません。

 

ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスは、対象企業の情報システムに関する調査を行うことです。システムの有効性、既存システムとの統合にかかるコスト、新規システムの必要性など、将来的な影響について調査します。

 

セルサイドデューデリジェンス

セルサイドデューデリジェンスとは、売り手企業が自社に対して行うデューデリジェンスのことです。買い手候補との本格的な交渉に入る前にセルサイドデューデリジェンスを行うことで、自社の問題点や強みを客観的に把握できます。

売却価格を最大化する交渉戦略の立案、スキーム選択が可能になるとともに、自社の問題点を事前に修正する磨き上げ作業に役立てることができます。

 

デューデリジェンスの種類は他にも

デューデリジェンスはここまでに解説したもの以外にも、必要と思う分野について適宜実施できます。一般的によく実施されるのは、不動産・環境・人権・技術・顧客・知的財産に関するデューデリジェンスです。

その他のデューデリジェンスは以下の通りです。

DDの種類 内容
不動産デューデリジェンス 対象企業が保有する不動産を調査すること。金銭的価値だけでなく、法的な問題点の有無や立地、老朽化の度合いなども調べる。
環境デューデリジェンス 対象企業の環境面でのリスクを調査すること。土壌汚染・アスベスト・CO2などについて、訴訟リスクがないかなどを調べる。
人権デューデリジェンス ハラスメントや長時間労働など、人権面での問題がないか調査すること。
技術デューデリジェンス 対象企業が持っている技術や製品を調査し、価値を適切に評価すること。
顧客デューデリジェンス 対象企業の顧客に反社会勢力がいないかなどを調査すること。マネーロンダリングなどの金融犯罪対策のために行う。
知的財産デューデリジェンス 対象企業が保有する知的財産の価値やリスクを調査すること。企業価値の多くを知的財産に依存するIT・ベンチャー企業などで重要になる。

 

M&Aを行う際は、状況に応じて必要なデューデリジェンスを行いましょう。

 

デューデリジェンスの流れ

それでは実際に、デューデリジェンスはどのようにして実施されるのでしょうか。
ここでは、手続きの流れを解説します。

 

デューデリジェンスの方針を決定する

まず、デューデリジェンスを実施する分野を決めます。全ての分野についてデューデリジェンスを実施することはできないので、費用対効果を考慮して実施する分野を絞る必要があるためです。

実施するデューデリジェンスの分野が決まったら、会計士や税理士など必要な専門家を集め、チームを作って方針を決定します。零細企業や個人事業主などによる小規模なM&Aではチームを作らずに、財務諸表のチェックや経営者へのインタビューといった、簡易なデューデリジェンスで済ませるケースもあります。

 

売り手企業から受領した資料を精査する

基本合意の締結後、売り手企業は買い手企業へ基本情報となる資料を提出します。

買い手企業はその資料を精査し、ポイントや問題点を洗い出していきます。財務や税務のデューデリジェンスは資料が特に重要な分野なので、しっかりと精査することが大切です。

資料は何もかも請求すると売り手企業の負担になるので、デューデリジェンスに関連する資料を必要なだけ請求する必要があります。

各デューデリジェンスで必要になる主な資料は以下の通りです。

デューデリジェンスの種類 主な必要資料
財務デューデリジェンス 財務諸表、現金出納帳、仕入先元帳など
法務デューデリジェンス 定款、登記簿謄本、取締役会や株主総会の規則・議事録など
事業デューデリジェンス 売上・仕入・在庫に関する資料、顧客リストなど

 

これらを漏れなく請求し、精査しましょう。

 

必要な情報をまとめ、売り手企業に請求する

売り手企業から提供された情報が不足している場合、売り手企業に追加で請求します。最初から十分な情報が得られるのが望ましいですが、実際は資料の精査によって新たに必要な情報が洗い出されることがほとんどです。

請求する資料や質問事項は書面として簡潔にまとめておくと、売り手企業が理解しやすくなり、デューデリジェンスを行う専門家間での齟齬も生じにくくなります。

 

マネジメントインタビューを行う

資料だけでは分からないことに関しては、売り手企業の経営者などに直接インタビューを行います。インタビューは経営者や役員に対して行うことが多いですが、必要ならば経理や人事などを担当している社員に聞き取りをする場合もあります。

インタビューでは質問事項を事前に簡潔にまとめておきましょう。また経営者の人柄や経営理念といったデータでは見えない部分も見ることが大切です。

 

必要に応じて現地調査を行う

製造業や販売業などのM&Aでは、実際に工場や店舗に赴き現地調査を行うこともあります。

現地調査に行く際は、時間帯などに配慮することが大切です。M&Aは成約するまでは秘密裏に進めるのが一般的なので、社員の多い時間帯に大人数で出向くと怪しまれる恐れがあります。

 

最終的な方針を決定する

資料の確認やインタビュー、現地調査によって得た情報を報告書にまとめ、最終的な方針を決定します。もし、デューデリジェンスによって新たなリスクが見つかった場合は、買収価格や契約内容の見直しを売り手企業に持ちかけることも検討しなければなりません。

また、最終契約に関する方針だけでなく、M&A締結後の運営方針もこの時点でできるだけ固めておくと良いでしょう。なお、デューデリジェンスが半分くらい終わった時点で中間報告書も作成すると、チームや企業の間で進捗具合のすり合わせができて有益です。

 

デューデリジェンスを行う期間

デューデリジェンスを行う期間は、一般的には1カ月〜2カ月程度であり、会社の規模や調査内容によっては2週間程度で終わるケースもあります。

期間M&Aの規模に合わせて適切に設定することが重要です。期間が短すぎると調査が不十分になったり、逆に長すぎると成約が遅れてベストなタイミングを逃したり、売り手企業へ過度な負担をかけたりすることに繋がります。

また、デューデリジェンスは売り手企業が非協力的だとスケジュール通りに進みません。売り手企業の協力も、デューデリジェンスのスムーズな進行に不可欠です。

 

デューデリジェンスにかかる費用

デューデリジェンスにかかる費用は、全て外部委託した場合、中小企業のM&Aで数十万円〜数百万円、大企業のM&Aで数百万円〜数千万円程度といわれています。

全てを外部委託するとどうしても費用がかさむので、自社で行える部分は自社で行う場合もあります。また、費用の相場はデューデリジェンスの種類によっても違います。

例えば、財務・法務・税務デューデリジェンスは士業専門家に依頼するので、それぞれ専門家への報酬が必要です。弁護士に法務デューデリジェンスを依頼する場合、報酬が1時間あたり2万円〜5万円程度、1日単位だと15万円〜40万円程度かかります。

財務・法務デューデリジェンスを公認会計士や税理士に依頼する場合は、1日あたりの報酬が2万円〜5万円になることが多いです。

一方、ITデューデリジェンスはシステムの規模などによって費用が大きく変わります。

【デューデリジェンスの相場】
中小企業のDD:数十万円〜数百万円
大企業のDD :数百万円〜数千万円
法務DD:2万円〜5万円/時間、15万円〜40万円/日程度。
財務DD:2万円〜5万円/時間、15万円〜40万円/日程度。
税務DD:2万円〜5万円/時間、15万円〜40万円/日程度。
ビジネスDD:2万円〜10万円/時間程度。

デューデリジェンスの注意点

デューデリジェンスを行う際は、タイミングと調査範囲の見極め、外部委託先の選定が特に重要になります。また、買い手企業・売り手企業ともに入念な準備を行うことも大切です。

デューデリジェンスでは普段使わない資料を準備するため、あまりに早く準備を始めると社員に怪しまれる恐れもあります。しかし、準備が遅すぎると準備不足になるので適切なタイミングを検討しなければなりません。

調査範囲の見極めは特に重要で、M&Aの規模や予算に合わせて範囲を絞っていきます。

一般的には財務・税務・法務デューデリジェンスを行い、業種や事業内容に合わせて他に必要なデューデリジェンスを追加します。士業専門家に外部委託する時は、デューデリジェンスの経験が豊富な専門家を選定することが大切です。

 

中小企業のM&AはバトンズDDがおすすめ

バトンズDDとは、バトンズが提供するデューデリジェンスサービスです。

39.8万円(税込437,800円)で、中小企業のM&Aに必要なデューデリジェンスを行うことができます。調査は日本M&Aセンターグループのノウハウを活用した調査キットをもとに、経験豊富な専門家により行われます。

デューデリジェンスにかかる期間は、最短で2週間程度です。売り手企業の収益力やキャッシュフローなどの基本的な項目と、事業の将来性や想定されるリスクなどをまとめた調査報告書を作成します。

また、買収後にデューデリジェンスで発見できなかったリスクが発覚した場合に、最大300万円を補償する中小M&A保険「M&A Batonz」が自動付帯されるのも大きな魅力です。

 

 

スムーズなデューデリジェンスがM&Aを成功に導く

デューデリジェンスは買収価格などの条件面だけでなく、成約後の事業運営の方針にも影響する重要なプロセスです。事前にしっかりとしたスケジュールを立てて、スムーズなデューデリジェンスを行うことがM&Aを成功に導きます。

また、デューデリジェンスは売り手企業にとって精神面の負担も大きいので、買い手企業・売り手企業双方がしっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を持って進めていくことが大切です。

 

M&Aや事業継承について、
こんなお悩みありませんか?
M&Aを検討しているが、良い企業に出会えない
小さな会社で、売却先が見つかるか不安
M&Aを進めたいが、何から進めれば良いか分からない
バトンズはM&Aの売り手と買い手を
つなぐマッチングプラットフォームです。
累計5,000件以上の売買を成立させています。
またM&Aを進めるためのノウハウ共有や
マッチングのための様々なサポートを
行わせていただいておりますので、
まずはお気軽にご相談ください。
誰でも会社を売買できる時代に、テレビで話題急増中

事業承継・M&Aトピックス

その他のオススメ記事