【M&Aに対する従業員の本音】自社が売却されることに「前向き」な社員が過半数
2026年07月28日
2026年07月28日
M&A・事業承継支援プラットフォーム「BATONZ(バトンズ)」を運営する株式会社バトンズ(本社:東京都港区、代表取締役CEO:神瀬悠一)は、従業員300名以下の企業に勤務する20代〜50代の会社員531名(年代・性別均等割付)を対象に、「自社が買収されること」に対する本音を聞く従業員調査を実施しました。
[調査結果ハイライト]
中小企業の経営者の売却決断についてどのように評価するかを尋ねた質問では、「従業員や事業を守るための責任ある決断だと思う」(13.0%)、「どちらかといえば前向きな決断だと思う」(37.9%)を合わせた肯定的な評価が50.9%にのぼりました。「経営者のエゴや金銭目的のネガティブな決断だと思う」など否定的な評価は12.3%にとどまっており、従業員の多くが経営者の重要な決断として受け入れる素地があることが示されました。

勤め先で何らかの理由により経営者が退任し、社内に後継者がいない場合に廃業と売却のどちらを望むかを尋ねた質問では、「会社を解散・廃業する」(16.6%)に対し、「他社に会社を売却・譲渡する」(41.1%)と回答した割合はその約2.5倍にのぼりました。従業員自身も、雇用が失われる廃業よりも、事業と雇用が存続する売却・譲渡を望んでいることが明らかになっています。

自社が他社に買収される(子会社になる)としたら、そのこと自体にどのような印象を持つかを尋ねた質問では、「ポジティブな印象を持つ」「どちらかといえばポジティブな印象を持つ」を選んだ好意的な回答が33.5%となり、「ネガティブな印象を持つ」「どちらかといえばネガティブな印象を持つ」を選んだ非好意的な回答27.5%をわずかに上回る結果となりました。「どちらともいえない」という中立層も30.5%と一定数存在するものの、M&Aをポジティブに捉える従業員が多数いるという結果になりました。

また、従業員自身の帰属意識の強さによって、自社が買収されることへの印象が異なることも明らかになりました。現在の勤め先に対して強い愛着や帰属意識を持っているかを尋ねた質問に「非常にそう思う/ややそう思う」と回答した帰属意識の高い層(n=261)では、自社買収に好意的な回答が54.0%に達しました。
それとは反対に、「あまりそう思わない/全くそう思わない」と回答した層(n=240)では自社買収への好意的な回答は15.4%にとどまりました。会社を大切に思う従業員ほど、M&Aを会社の存続や成長のための前向きな手段として捉える傾向がうかがえます。

買収された後にどのような変化があればよりモチベーションが上がるかを尋ねた質問(複数回答)では、「給与・待遇のベースアップ」(45.0%)が最多で、「労働環境(残業や休日)の明確な改善」(34.1%)、「新しいポストやキャリアパスの提示」(32.6%)が続きました。買い手企業にとっては、待遇面の具体的な改善提示が従業員の活躍・定着を後押しする重要な要素であることが示唆されます。

さらに、現在の勤め先への愛着や帰属意識の高さで比較すると、モチベーションが上がる条件そのものにも違いが見られました。帰属意識の高い層では「新しいポストやキャリアパスの提示」が50.2%で最多となった一方、帰属意識の低い層では「給与・待遇のベースアップ」が57.1%で最多となり、帰属意識の高さによって従業員が重視する動機づけの要素が大きく異なることが示唆されました。会社への愛着が強い従業員にはキャリア機会の提示が、愛着が相対的に弱い場合には待遇改善の提示が、それぞれ響きやすいと考えられます。

もし明日、勤め先が他社に買収されると発表された場合に最も不安に感じることを尋ねた質問(上位3つまで回答)では、「リストラや望まない配置転換」が52.4%で最多となり、「給与や賞与が減額されること」(39.9%)、「新しい上司や経営陣との人間関係」(33.1%)が続きました。従業員は買収の先にある、雇用条件や人間関係の変化に強い不安を感じていることがわかります。

回答を年代別に見ると、「リストラ・配置転換」への不安は全世代に共通する一方、「給与・賞与の減額」への不安は年代が上がるほど強まる傾向がみられ、雇用の流動性に比較的柔軟な若い層と、守るべき暮らしがある年代とで意識の差がうかがえます。

買収された後、「この会社を辞めよう(転職しよう)」と検討し始める最大のきっかけを尋ねた質問では、「給与・賞与などの待遇面の変化」(28.8%)が最も多く、「自身のポストや裁量・業務内容の変化」(23.7%)が続きました。企業理念といった抽象的な要素よりも、自身の働き方や処遇がどう変わるかという現実的な部分が、従業員が会社に残るか辞めるかを判断する基準になっていることがうかがえます。

自社が買収されるとしたら、どのようなスタンス・特徴を持った企業に買収されたいかを尋ねた質問(上位2つまで回答)では、「自社の独立性や社風を尊重してくれる企業」(33.9%)がわずかに首位となったものの、「資本力や安定感がある大手企業」(32.0%)がほぼ同水準で続き、二つの理想像が拮抗する結果となりました。

さらに帰属意識別に見ると、帰属意識の高い層では「独立性の尊重」を求める割合が50.2%と際立って高い一方、帰属意識の低い層では「資本力・大手企業」を求める割合が41.7%で最多となるなど、対照的な傾向が見られました。会社への愛着が深い従業員ほど、自社の文化や裁量権が保たれることを望んでおり、買い手企業にとっては、譲渡先選定や統合方針の検討において、従業員の帰属意識に応じたコミュニケーション設計が有効な選択肢になり得ることを示しています。

今回の調査から、従業員にとってM&Aは必ずしも「不安なもの」や「歓迎されないもの」ではないということが明らかになりました。自社が買収されることを好意的にとらえる層の割合は非好意的な層を上回り、経営者の売却という決断についても半数以上が肯定的に評価しています。
後継者不在時には「廃業」よりも「売却・譲渡」を望む声が明確に多く、買収後の待遇・環境の向上に期待を寄せる従業員も少なくありません。一方で、「リストラ・配置転換」や「給与・賞与の減額」への不安は根強く存在し、それらは転職のきっかけにもなることもあるようです。
また、自社への愛着や帰属意識の強さによって、従業員が考える買い手企業への希望が異なる傾向が見受けられました。帰属意識の高い層は、買収後にモチベーションが上がる要素として「新しいポストやキャリアパスの提示」を重視し、理想の買い手企業像には「独立性の尊重」を挙げました。一方、帰属意識の低い層では、「給与・待遇のベースアップ」をモチベーションとし、買い手企業に「資本力」を望んでいます。
従業員が何を不安視し何を求めているのかをあらかじめ把握し、それを譲渡先の選定基準やPMIのコミュニケーション設計に組み込むことが、M&Aを「成立」から、その先の「成功」へと導く第一歩になるはずです。
本調査の結果は、バトンズが発行するM&A専門誌「M&A NewStage vol.2」にも掲載しています。本誌では調査結果だけでなく、M&Aの進め方やPMI成功事例、トラブル事例やM&A有識者のインタビュー記事などもまとめています。
※vol.2は2026/7/31より公開
詳細・雑誌データ版のダウンロードはこちら:https://batonz.jp/lp/document/newstage/
【調査概要】
調査名称:中小企業の従業員531名に聞く「自社が買収されること」への本音調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年3月27日〜同年3月30日
有効回答:従業員300名以下の企業に勤務する20代〜50代の会社員531名(年代・性別が均等になるよう割付)
調査実施機関:株式会社IDEATECH
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
※複数回答の設問は、合計が100%を超える場合があります。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「バトンズ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://batonz.jp/
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