公開日 | 2024/03/25 |
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記載者 | 中小PMI支援センター株... |
M&A
デューデリジェンスとは何か デューデリジェンスの基本をわかりやすく解説!
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デューデリジェンスとは何か
デューデリジェンスとは、英語でDue diligenceと書きます。実務では、DD、デューデリ、と略されることもあります。また、デューディリジェンスという表記もあります(以下、デューデリジェンスを「DD」といいます)。
DDは法律用語で、「相当な注意義務」という意味の言葉です。
「相当な注意義務」とは何かというと、ある取引を行う場合に、買い手が事前に相当な注意を払って調査した結果、欠陥が見当たらなかったときには、あとで欠陥が発見されたとしても基本的には売り手の責任にはならないというものです。もちろん、売り手があらかじめ欠陥があることを隠して取引をしている場合は除きます。
M&Aの場合だと、買収後のリスクを検出するために行う監査のことを指しています。したがって、DDはM&Aを実施する場合に重要な役割を果たしているといえます。
デューデリジェンスは誰がやるのか?
では、DDは、だれが主体となって進めるものなのでしょうか?
まず、買収の対象となっている会社(以下、「対象会社」といいます)の買い手はDDを実施することがほとんどです。一般に「バイサイドDD」と呼ばれるものがこれにあたります。
自分が役員になっているなど、よほど中身をよく知っている会社でない限りは、対象会社に欠陥・リスクがあるのかないのか、調査しないとわかりません。
ただ、買い手側が自ら対象会社のことをゼロベースから理解するには、時間がかかりすぎます。そこで、各種方面に明るい専門家に調査の依頼をすることになります。
また、DDは対象会社側でも行うケースがあります。バイサイドDDと区別して、一般に「セルサイドDD」と呼ばれます。
買い手側のDDは、M&Aの取引フェーズの中でも、M&Aの取引成立直前でなされることが多くなっています。
なぜなら、DDにはそれなりの費用がかかりますので、気持ちとしてはすでに買収することを決めており、本当に買収してリスクや問題はないのか、あるいは、買取価格に減額要素はないのかを探すことを目的としてDDが行われるケースが多いためです。DDの結果、リスクが検出された場合は企業価値評価にマイナスの影響を与えることになります。
M&Aの取引の交渉テーブルに乗ってから買い手のDDにより問題を指摘されるよりも前に、売り手側でも自社を調査しておくことで、事前準備をする余裕が生まれます。これがセルサイドDDを行う意義です。
現在、日本ではほとんどセルサイドDDが行われていないのが現状です。しかし、M&Aの交渉においては、売り手側が立場的に弱くなりがちなので、M&Aに備えて、売り手側の方でもDDを行っておく方が賢明だといえます。
デューデリジェンスの種類
さて、DDで調査すべき事項にはどのようなものがあるでしょうか。項目別にまとめると次のとおりです。
●財務・税務DD…正常収益力、実態純資産等の数字に関するリスクの把握、欠損金の把握などの税務リスクの把握を行います。公認会計士、税理士が対応します。
●法務DD…権利関係の確認、訴訟リスクなどの法務リスクの把握を行います。弁護士が対応します。
●事業DD・ビジネスDD…ビジネスモデルの把握、将来計画の把握を行います。中小企業診断士、金融機関が対応します。
●人事DD・労務DD…未払残業代など人事リスクの把握を行います。弁護士、社会保険労務士が対応します。
よほど資金力のある大手企業であれば、すべてのDDを行うことができるかもしれません。しかし、時間や費用との兼ね合いから、どのDDを行うべきか、取引ごとに判断のうえ、いくつかに絞ってDDをするのが通常です。
最も多く行われるのは、財務DDです。理由は、企業価値評価を算定することになるので、買収価格決定に影響を及ぼすためです。税務DDや法務DDは、必要に応じて行われます。
事業DDは、買収後のことを考えるとビジネスモデルについてよく理解しておくにこしたことはないので、通常は自社で把握しきれない場合は行うべきです。ただ、実務上対応できる専門家が多くないこともあり、M&Aの際にはあまり実施されていないのが現状です。
労務DDも同様ですが、法務DDに含めて実施されることの方が多いかもしれません。
そのほか、業界の特性などにより、IT DDや、知的財産DD、不動産DDや、環境DDなどといったDDも行われることがあります。
DDに正解はありません。肝心なことは、対象会社について、どういったDDが必要なのかを見極めるということです。そこは、専門家に相談しながら決めることもできます。
いかがでしたか。DDについて一人でも多くの方の理解が深まったなら幸いです。
【参考図書】宮口徹『税理士のための中小企業M&Aコンサルティング実務』(税務研究会出版局,2019)
問い合わせ先:中小PMI支援センター株式会社 コンサルタント
税理士 中小企業診断士 FBAAファミリービジネスアドバイザー上級資格認定証保持者
藤本 江里子
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