公開日 | 2023/12/04 |
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記載者 | FPスマイル&リッチ株式... |
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新NISAで失敗しないために ・・・「長期分散投資」に騙されないポイント! 【前編】
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首をかしげる? 新NISAにまつわる怪しげな宣伝文句
2024年1月からスタートの新NISA制度が様々なメディアで取り上げられています。
株式市場も年初から好調な滑り出しをみせており、新NISAマネーの流入効果も現れている様子です。
そんな一方で、金融機関の口座獲得競争も昨年来かなり過熱し、怪しげな宣伝文句や「専門家風」解説者など、少々首をかしげてしまうような場面や煽りコメントなども散見されました。
「新NISAが良い!」と手放しで煽っているコメントは本当に多数目にしました。
確かに新NISAは制度として良くなったというのは否定しませんが、それはあくまでも前のNISAと比較して前より使いやすくなったというだけのことです。別のコラムにも書きましたが、新NISAにもデメリットは存在します。
NISA口座では損失を出した時の「救済」がありません。課税口座ならば「損益通算」や「損失の繰り越し」といった「救済」があり、投資に不慣れな初心者や、「投資で損するのが怖い」という人にとっては、課税口座の方がメリットが大きいと思われます。
課税口座の中でも特定口座の「源泉徴収あり」を選択すれば、投資の利益に関する課税関係は源泉徴収で完了しますので、手間を嫌う人にとっても使いやすい口座であろうと思われます。(※「救済」を必要とする際には確定申告が必要です。)
ほかにも目にした事例として、「新NISAが始まるので、これで一般個人の資産形成ができるようになりました!」と、投資未経験者を相手にこんなことを言っている人がいました。まるで株や投資信託による個人の資産形成が初めて解禁でもされたかのような言いぐさです。
言うまでもないのですが、個人の資産形成は、これまでのNISAでも、それ以外の課税口座でも実行できていたわけで、新NISAでないと資産形成ができないなんてことはありません。
ところが、こういう煽りコメントの影響でしょうか、「老後資金が2000万円とか3000万円とか必要らしいから、NISAを始めないといけないんでしょう?」と、投資に詳しくない方のこんな声も見かけました。老後資金対策は大切ですが、この方は目的と手段を取り違えています。
老後資金対策として始めるべきは「資産形成」であって、必ずしも「NISA」でなくてもよいのです。でも、世間では「NISA、NISA」と連呼されていますから、NISAが資産形成の唯一の手段であるかのように勘違いされているケースもあるようです。
資産形成において口座選択はとても重要です。「みんながやっているから」とか「聞いたことがあるから何となく」といった安易な気持ちで新NISAを選択するのではなく、ご自身の性格やリスク耐性に合った口座選択が必要です。新NISA一辺倒ではなく、様々な口座の使い分けや、資金配分の工夫など、考える余地はいろいろあります。
投資初心者の方には、新NISAのメリットだけでなく、デメリットや新NISA以外の口座の特徴など、資産形成の基礎的な知識を深めたうえで「資産形成の第一歩」を踏み出していただきたいです。
「長期投資なら安全」は本当か?
さて、新NISAの解説として「長期分散投資だから安全」という説明をよく見かけます。
でも、それって本当でしょうか? ここではまず、長期積み立て投資について検証してみましょう。
長期積み立て投資の安全性を説明する人は、ほぼ例外なく過去のデータを持ち出してきます。
過去数十年の株式相場のチャートなどを示して、長期で積み立てればこれだけ資産が増えるのだと説明します。
でも、それはあくまでも「過去」のことであって、未来を保証するものではありません。
長期投資なら期間が長いほど安全だとも言います。複利効果によって資産が増えるので、それはその通りだとは思います。
ただし、こういう説明をする人は、過去のデータとして30年~40年以上の長期積み立てのデータを持ち出してきます。
でも、人によってはそんなに長く積立できるとは限りません。60歳の人が長期積み立てを始めて30年~40年も経ったら90歳とか100歳になってしまいます。
また、例えば子どもの教育資金のために積み立てをするなど、目的とゴールが決まっている場合、30年も40年も投資することにはなりません。仮に10年くらいの計画で積み立てをして、いざ必要な時に限って運用成果がマイナスになっていたらどうでしょうか。
「もっと長期で続ければ大丈夫ですよ。あと20年続けましょう」・・・そんなこと言えるでしょうか?
このケースでいえば、子どもの教育資金のために積み立てたお金ですから、運用成果がマイナスだったとしても、大学の入学金や学費のためにどうしてもそのタイミングで払い出すしかありません。しかも、厄介なことに新NISAでの積み立てでは損失への「救済」が無いので、マイナスを補填する術がありません。金銭的にも心理的にも大きなダメージを受けることになります。
このように、「長期積み立てなら安全」というのは、あくまでも投資家の年齢や目的・条件などが限定される話なのです。
にもかかわらず、誰にでも通用する話のように説明されることが多いので注意が必要です。無責任な解説を鵜吞みにせず、投資家それぞれが自分にとってはどうだろうかと冷静に見極めて判断していくことが求められます。
また、そもそもの話になりますが、30年、40年、それ以上先の未来のことなど、現時点から予測するには限界があります。金融市場、世界情勢、自然や地球環境がどうなっているかなど、それらを正確に読むことなんて不可能です。ところが、長期なら安全という人は、こういった側面には全く触れることなく、机上の数字・データだけで安全を強調します。
投資である以上、絶対安全などということはあり得ません。それでも将来のための資産形成を考えると「単なる貯蓄」よりも「投資」を選択する方が望ましいと思います。
投資のメイン・シナリオはプラス収支になるもので構いません。資産が増える希望のもてるシナリオの方が夢があって楽しいでしょう。
ただし、万が一のネガティブ・シナリオも想定には入れておくべきです。積立投資が上手くいかなかった、メイン・シナリオ通りにならなかったという場合でも、ライフプランに影響することのないよう、前もって準備ができている人こそが賢い投資家といえるでしょう。
将来の払い出しの時の出口戦略まで見通した複数のシナリオを想定して、大事なお金を育てていって欲しいと思います。
後編へ続きます
当コラムは【後編】へ続きます。
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