不動産
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2023/04/21

不動産賃貸業を営んでいる方の相続発生、家賃収入の帰属について

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相続発生後の不動産収入の帰属はどうなるのか
不動産賃貸業を営んでいる方の相続で必ず発生する「不動産収入の帰属問題」についてお話をします。 遺言書がある場合には、不動産収入の帰属は遺産の取得者に決定しているため問題になることはないでしょう。 しかしながら、遺言書が無い場合、遺産分割協議を成立させなければなりません。 遺産分割協議には数か月を要することがほとんどであり、その間に発生する不動産収入を誰が受け取るのかは大変大きな問題となります。 また、所得税の確定申告にも関係してきますので、注意が必要です。
遺産分割が決定するまで、そして決定後、遺産は誰のものか
前にも述べたように、遺産分割が完了するまでには、どんなにトラブルが無くても、数か月程度はかかってしまうのが現状です。 遺産分割が決定するまでの遺産は誰のものかというと、「相続人全員の共有状態である」と民法で定められています。 しかしながら、遺産分割が決定した途端、遺産分割の効力は相続開始時、つまり「相続が発生した時点に遡る」のです。
遺産分割協議決定前の不動産収入はどうなるのか
平成17年の最高裁判例に挙げられた実例によると、遺産分割が決定するまでの間の不動産収入の管理を、相続人である妻と子供3人が話し合い、合意の元、妻が管理を続けた、というものがあります。 遺産相続の話し合いが長期に渡り、結局アパートの相続人は3人の子供たちに決まりました。 ここで、「遺産分割の効力は相続開始時、つまり相続が発生した時点に遡る」という決まりから、子供たちは今までの不動産収入も自分たちのものであると主張しました。 しかし母親は長期にわたり管理してきたこともあり、「不動産収入は相続人共有のもの」と主張したのです。 結果、最高裁判所は、「遺産分割が決定するまでの不動産収入は、法定相続分に応じて取得する」と判断しました。 つまり、母親の主張が通ったことになります。
未分割遺産から生ずる不動産所得の収入計上時期について
最高裁判所がこのような判断をしたため、税金上の取り扱いも同様のものとなります。 法定相続分の割合に基いて収入を得たという考えで確定申告を行うこととなったのです。 取り扱いについては、以下の国税庁のタックスアンサーをご参照下さい。 ▶https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1376_qa.htm
遺言書について
遺言書について、少し書き加えておきます。 自筆証書遺言を作成することもできますが、法律で要件が定められており、その内容を守っていない場合はせっかく作成した遺言書が無効となってしまいます。 公正証書遺言(公証役場で公証人と証人二人の立ち合いのもと、公証人が作成する)のメリットとしては、 ・そのような無効な遺言書になる可能性が非常に低い ・自筆証書遺言に必要な家庭裁判所での検認手続きが必要ない ・公正証書遺言の保管場所は公証役場であり、紛失や改ざんの心配がない ・病気などで公証役場に行けなくても、、字が書けなくても遺言書を作れる ・金融機関での相続手続き時、各銀行それぞれのルールがあるものの、公正証書遺言の方がスムーズにできる デメリットとしては、公正証書遺言作成のための、手間と費用がかかる点です。 遺言書を作成するために最も重要なことは何か、よく考え、できる準備を自らのタイミングで進めていくことをお勧めします。
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