公開日 | 2021/01/22 |
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記載者 | 株式会社イノベーション・... |
中小企業支援
【事業承継で使える制度】経営承継円滑化法と特例事業承継税制
バトンズ認定アドバイザー
認定バトンズDD調査人
【バトンズベストアドバイザー2020受賞】 神奈川県を中心に地域密着でM&Aおよび事業承継支援で活動。 年間80社以上の経営相談を元に事業の継続・発展をご支援。
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経営承継円滑化法と特例事業承継税制の関係
前回、特例承継計画について提出期限は、あと2年ですというお話をしました。
今回は、その特例承継計画が関連する、経営承継円滑化法、および特例税制についてご説明いたします。
まず、基本となる法律で経営承継円滑化法があります。
これは法律名の通り、中小企業の事業承継、経営の承継を推進するために作られたものです。
3つの柱があり、1つが、民法特例、2つ目が金融支援、3つ目目特別税制です。この3つ目の特別税制が事業承継、自社株式の承継における相続税や贈与税の支払いを猶予し、免除するというものです。
今回はこの特別税制についてご案内します。
現在この制度は2階建てのようなイメージになっています。
もともと経営承継円滑化法という現行制度があり、その上に期間限定(10年間)の
特例事業承継税制という制度があります。
特例事業承継制度は、現行制度の使いづらい部分を軽減して利用しやすくしたものです。前回の特例承継計画というのは、こちらの期間限定の利用しやすい制度を使うために必要なものです。
どちらも、贈与税・相続税を、一時支払いを猶予して、最終的に免除、税金の支払いをゼロにするというものですが、現行制度は、発行済み株式の2/3まで、かつ相続税は、そのうちの80%までという制限がありました。その残りの分は、課税対象です。
この2階建ての2階部分である特例税制では、全株式が100%対象になります。
また、現行制度では、5年間平均8割の雇用維持が要件として存在しました。
何らかの理由で、平均8割の雇用を維持できないと、猶予が停止され税の支払いを求められることになります。5年先のことまでわからない、ということでこの制度を使うことを躊躇する経営者も多かったと思います。
それを特例税制では実質的に除外しました。
その他にも細かいところで要件や対象を緩和、拡大して使いやすくしているのです。
特例税制における猶予から免除の流れ
実際に、税の支払いを猶予して、免除するとはどういうことかというと、
現経営者が特例承継計画を提出して、後継者に株式を贈与したとします。
適切な手続きをすると、ここで贈与税が猶予されます(あくまで猶予です)
現経営者(一代目)が亡くなると、贈与税が猶予から免除になり、相続税が対象になります。しかし、その相続税も猶予(あくまで猶予)されます。
そして、二代目経営者の後継者(三代目)に株式を贈与、あるいは相続すると、ここで相続税が免除となり、税負担がゼロになります。
この特例税制は10年間の期限付きですから、おそらく三代目以降に関しては、この特例税制は適用されないかもしれません。その時は、現行の経営承継円滑化法が適用されます。あるいは、もしかすると将来的に別の特例税制がつくられるかもしれません。
どちらにしても結構先の長い話です。
今回の経営承継円滑化法、および特例税制は、
自社株式の価値が上がり、結果的に贈与税や相続税が高額になって自社株式を後継者に承継できない。という問題を解決するためのものです。
しかし、将来の長い期間にわたって、手続きを強いられ、そのことを意識しながら経営をしなければなりません。
自社株式の株価対策はこれ以外にも様々あります。
株価の状況や代表者の事情などを踏まえ、いくつかの選択肢を十分に考慮してから活用の判断をすることをお勧めします。
この内容は、YouTubeでも情報提供しています。ぜひご覧ください。
https://youtu.be/pMyWVWy4Ulc