中小企業支援
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2021/01/25

【廃業を考える前に!】廃業についての基礎知識

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廃業も一つの選択肢、しかしタイミングを逸しないように
今回は、後継者がいない、見つからないという企業さんが採りうる選択肢のうち、 廃業による事業の終了がテーマです。 決して廃業を勧めるわけではありません。しかし廃業とはどういうものかを知っておくことも重要です。 前回、経営状態や経営者の考え、年齢や体調、その他諸々を考慮して、事業を承継するまでどのくらい時間をかけられるかを見積もりましょう。 その結果、時間がない、将来に向けた展望が描けない、他の方法を選択できない、したくないとなると、廃業を選択することになります。 廃業をお勧めするわけではありませんが、廃業も一つの選択肢です。お勧めするわけではありませんが、否定するものでもありません。 一番やってはいけないことは、問題の先送りで対処すべきタイミングを逸してしまうことです。
清算型の廃業・普通清算と法的清算
廃業を検討した場合の選択肢として 「事業」を何らかの形で存続を目指すのか、清算して完全になくしてしまうのかの2つに分かれます。 事業を存続して、そのうえで会社を廃業する場合は、優良な事業を切り離してM&Aで事業譲渡し、残った会社を処理することになります。 今回は、事業を清算して完全に終了するパターンを見ていきます。 事業を清算する。これも大きく言うと2つのパターンがあります。 普通清算と法的清算です。 普通清算とは、会社の財産・資産をすべて現金に換えて、負債・借り入れなどの借金をすべて返済します。それがトントン、あるいはプラスで現金が残るのであれば、ある意味誰にも迷惑をかけずに廃業できる。その手続きが普通清算です。 一方、会社の財産・資産をすべて現金に換えてもなお、負債・借り入れなどの借金を返済しきれないケースも考えられます。 借り入れなどに個人保証を付けていれば、社長個人の財産から返済することになります。 それでも返済できない場合は、法的清算になり、弁護士に依頼して裁判所で法律に則った手続によって処理されることになります。 この場合でも、弁護士費用や予納金というお金が必要になります。規模や内容によって変わりますが、相応の費用かかりますので、行きつくところまで行ってしまうと、この費用も用立てられない。廃業もできない状況になってしまいますので、判断のタイミングは重要です。 このような処理によって会社は消滅、個人も自己破産ということで債務が免除されることになります。
廃業は思ったよりも財産が残らないことも
最初にご案内したように、廃業も一つの出口戦略の一つです。資産超過であれば、迷惑をかけずに事業を終了できます。 しかし、資産を短期間で処分しますので、想像しているよりも低い価格で処分することになると考えておかねばなりません。 商品在庫などは、二束三文になるかもしれません。土地建物も想定通りに売れるとも限りません。 店舗や工場を賃貸している場合、原状回復費用が思いのほか、かかってしまうということはよく聞く話です。 最初は、資産超過で普通清算で進めていて、途中で想定よりも費用が掛かったり、現金化が少なくなって、途中から個人資産を投入したり、法的処理にならざるを得ないということもありますので、慎重に進める必要があります。 お客様や仕入先、外注先などへのフォローも必要ですし、 従業員はもちろん全員解雇になります。そのための退職費用もかかるでしょう。 廃業するのにどのくらいコストがかかるかを見積もりながらシミュレーションすることが必要です。 一般的に、普通清算で残る財産よりもM&Aで売却したほうが財産は多く残ります。 そして廃業は、事業はもちろん、顧客や従業員、実績や信頼、技術やノウハウなど、今まで積み上げてきたものがすべて消失することになります。 この内容は、YouTubeでも情報提供しています。ぜひご覧ください。 https://youtu.be/2I2mIKqps24
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