M&A
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2021/02/03

【M&Aを考えたら】自社の魅力の見つけ方(ビジネスモデル編)

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サプライチェーン・バリューチェーンで考える
M&Aを考えたら、自社の魅力の見つけ方 ビジネスモデル編です。 ほとんどの経営者の方は、「自分の会社の強みとは何か」はいつも考えているテーマであり、「うちの強みは、コレだ」と明確になっている企業も多いと思います。一方、うちの強みって何だろう、あるいは、なんとなくわかっているつもりだけど、真剣に考えたことがないなぁという企業もあるかもしれません。 そんな企業の自社の強み、魅力を見つける、再発見する、あいまいだったものを明確にする、そのためのヒントにしていただければと思っています。 いろいろな視点から強みは何かを考えるわけですが、ビジネスモデルから考えてみましょう。 ビジネスモデルとは何か、いろいろな定義があると思います。いわゆる「儲けるしくみ」がどのようなものか、ということです。 今日は、サプライチェーン、バリューチェーンと言われる部分から考えてみたいと思います。 企業は、仕入先や得意先、その先のエンドユーザーなど多様な他者とのかかわりあいの中で存在しています。その関わり合いの中で、自社がどのような価値を提供しているのか、どのようなポジションにいるのかを確認する中で、強みや魅力を見つけようということです。 まず、自社を中心に仕入先・外注先の企業をリストアップ、さらにその手前の仕入先の仕入先をリストアップ、そして自社の得意先をリストアップ、さらに得意先の得意先をリストアップしましょう。それを図にして表しながら、これらの企業がどんな特徴を持つ企業なのか、業界内でどんなポジションにいる企業なのかを考えてみてください。 もう一つは、仕入先からの仕入れ、得意先への納品の流れの中で、自社はどのような機能(組織)があるのか、自社の得意な、強い機能はなにかを考えてみてください。
仕入れ先と得意先との関係で考える
仕入れ先と得意先の関係でみてみるのもいいかもしれません。 例えば、多くの仕入先から特定の得意先に商品やサービスを提供しているケースもあれば、特定の仕入先から多くの得意先に収めているケースもあるかと思います。 様々な仕入先からある要素を組み合わせて商品にして、特定の顧客の幅広いニーズに応えている、そんなビジネススタイルが見えてくるかもしれません。 では、その組み合わせのノウハウが自社の強みではないかというように考えることはできないだろうか あるいは逆に、特定の仕入先から多くの顧客に収めているようスタイルであれば、 営業力が強いのではないか、顧客の特定のニーズに応えることが差別化できているのではないか、そこに強みはないだだろうか、と考えられないでしょうか。 利益率や顧客内のシェアがわかるとさらに特徴が考えられるかもしれません。
得意先との関係を見える化する
例えば、 自社の顧客を利益率と顧客内シェアでマッピングして考えるのもよいと思います。 一般的に利益率が高いということは、差別化できている、付加価値が高いと言えます。あるいはローコストで提供できる自社の得意商品といえます。 利益率は高いが顧客内シェアが低い象限 特定の商品が特定のニーズに合致している可能性があります。 その特定のニーズとはどのようなものか、自社の製品のどこがマッチしているのか、等を考えてみるのもよいでしょう。 利益率は高くないが、顧客内シェアは高い象限 その顧客内で自社が幅広く採用されている。その理由は何なのか、営業の力なのか、納期や品質管理面なのか、など色々と考えてみましょう。 利益率と顧客内シェアは、あくまで一つの例であり、 どの角度から分析したら、どんなことが言えるのかをいろいろと試してみましょう。
部品製造業で気づきの事例
ある製品の部品製造の企業の例です。 縦軸を開発要求度、カスタマイズを求められる程度。 横軸をコスト要求度の程度とし、 円の大きさを売上の大きさ、円の色を青が受注率50%以上、赤が50%未満として、主要な顧客をグラフ内にマッピングしてみました。 最初は、カスタマイズは得意ではない、その分大量生産低コストは得意だ、そこが強みだとお聞きしていました。 その言葉通りであれば、開発要求度が低く、コスト要求度の高い象限に円が集まるはずですが、事実は違いました。 逆にカスタマイズ要求が高くても受注率は低くないのです。 自分たちが思っているよりも、開発要求に対するカスタマイズ対応力は強いということです。 このように、実態を表やグラフに可視化してみると気が付いていない部分に気づくということがあります。 もともとは、この企業に営業力強化をテーマとしたコンサルでご支援した際にこの表を作成して、営業戦略を考える資料としたのですが、 M&Aで買い手にこのような表をもとに自社の特性や強みを説明してもおもしろいと思います。 ビジネスは、自社1社で完結することはありません。 様々な関連する他者との関わり合いの中で、あるポジションを自社が得ているからビジネスが成立し、自社が継続しているのです。 自社がどのように他者とかかわっているのか、それらの他社はどんな特徴やニーズを持っているのか、自社はどのようにそれらに応えているのかを考えてみることで気づくことがあると思います。 また、他社との関係を図やグラフなど、見える化して俯瞰してみることで気づくことがあると思います。 ぜひ、試してみてください。 この内容は、YouTubeでも情報提供しています。ぜひご覧ください。 https://youtu.be/UHXX4sn_Npg
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