「自分が病気になったとき、診察を受ける病院を自分で探すのではなく、自分の症状を理解し、”診察したい”と手を挙げてくれた病院の中から選べるとしたら。そして、受診後も簡単に病院とのやりとりができて、気軽に相談できる場があるとしたら。それは、患者にとってはもちろん、病院にとっても嬉しいことに違いない」
そんな想いをもって、医療系マッチングサービス「医療の入り口サービス」を立ち上げたのは、現役の医師であり、富山県でクリニックを経営されている永江功治様。本サービスの機能面に可能性を感じ、さらなる拡張を目指して事業買収をなされた永江様に、人生で初めてという今回のM&Aに関する全貌をお伺いしてまいりました。
譲渡企業 | |
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社名 | 匿名 |
業種 | IT |
拠点 | 沖縄県 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受企業 | |
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サービス名 | 医療の入り口サービス |
業種 | IT・医療など |
拠点 | 富山県 |
譲受理由 | 技術力・開発ノウハウの強化 |
「得意分野で力になりたい」やりがいを求めて立ち上げた、医療系マッチングサービス
現役の医師である永江様が、そもそもオンラインのマッチングサービスを立ち上げようと思った背景は、“患者さんと病院のミスマッチを防ぎたい”というものだったのだそうです。
「どんな職業や職種にも得意分野というものは存在すると思うのですが、それは医者も同じです。同じ診療科の医師でも特に詳しい病気は医師によって異なります。今どきは一つの病気毎に専門家がいると言っても過言ではありません。
ただ、医療のような専門性の高い領域は、ホームページに書いてある医師の経歴を見て、患者さんが自分の症状と照らし合わせながら最適な病院を選ぶのが困難であるのも事実です。また、医療業界は規制が厳しく、広告表現にも多くの制限があるため、バンバン広告を打って患者さんを呼び込むことも難しい現状があります。
であれば、患者さんには“自分でホームページを読み解きながら病院を探す”のではなく、“自分の症状を発信すること”にパワーを使ってもらう。そして、広告が打てない病院側には、そんな患者さんたちの中から“自分の得意分野の患者さんを見つけること”に注力してもらう。つまり、患者さんが病院を探すのではなく、病院が患者さんを探すという逆転の発想で、症状に対するマッチングの精度を上げられないか。そう思って立ち上げたのが、医療の入り口サービスというサイトです」と話す永江様。
こうした背景ではじめた「医療の入り口サービス」でしたが、蓋を開けてみると、悩みを抱える患者さんとは対照的に、病院側のユーザーがなかなか集まらないという現状に直面したそうで、「聞いたことのないサイトに自分の病院の名前を載せる、ということに抵抗を感じる開業医の方が思いのほか多いことがわかりました。医療業界は保守的だと思ってはいましたが、想像していたよりも壁は高かったみたいで。そこで、この事業を成長させるためには+αの何かが必要だと考えるようになりました」とのこと。こうして、事業の拡大に向けた永江様の事業買収検討がスタートします。
事業買収の目的は、新規事業のシナジー効果をもたらし、非連続な成長を実現すること
この「医療の入り口サービス」という新規事業を育てるにあたり、事業買収という選択したのは「時短のため」だと語る永江様。一から色々な機能を足していくことを考えると、金銭面では変わらないものの、圧倒的に時間と労力を削減できると感じられたのだとか。
そんな永江様が、最終的に買収を決めた事業は「株式会社Xデザイン」代表の新田様(会社名・個人名共に匿名)が運営されているプラットフォームサイトでした。全国の飲食店を対象にした食券販売のプラットフォーム事業であるこのサービスを見た時に、非常に便利なシステムだと感じられたのだそうです。
「このシステムを活用すれば、自由診療のチケット制導入や、定期検診の前売りが可能となり、現サイトにはない機能拡張ができると感じました。また、今後スケールさせていくとなると、医療業界以外への進出が必須であると考えており、その有力候補として飲食や美容、観光といった日常生活に根ざしたサービスを思い描いていたので、その構想とも非常に相性がよいと感じました。
ただ、既にユーザーがついていて、彼らが購入済みの食券も存在していたので、事業を丸ごと買収するとなると、何かあった時にその責任も負わなければならないという状態でした。そこで、チケットを発行するシステムだけを譲ってもらえないか交渉してみたところ、譲渡元の方から承諾を得ることができまして、無事に成約へと繋げることができました」とのこと。こうして、先方のシステム会社の方との複数回に渡る打ち合わせを経て、本事業の譲渡が実現しました。
交渉は全てメールで完結!一度も顔を合わせることなく終了した、イマドキM&A
驚くことに、永江様は売主様と一度も対面で話すことのないままにご成約が実ったそうで、交渉を進める上でやり難いことはなかったのかをお伺いすると「譲渡元に対する条件を細かく設けてはいなかったですし、情緒的なものも求めていませんでした。それに、私は富山、新田さんは熊本に住んでいたので、実際、気軽に行き来できる距離でもありませんでした。先にお金を払う以上、本当に買えるのかという不安はありましたが、弁護士に契約書を確認してもらって問題ありませんでしたし、新田さんは自身の会社ホームページで自己紹介もされていたので、信頼して良いだろうとも思いました。また、メールの返信が早く的確だったので、熊本まで会いに行く必要を感じなかったです。仮に会いにいって数時間話をしたとしても、完全に不安を無くすことはできなかったと思いますし」とのこと。
また、「これまで事業を買った経験なんてしたことがなかったので、確固たる自分の軸というものを特段持っていなかった、というのもあるかもしれません。この新規事業にシナジーをもたらしてくれるような“何か”を探していたという感じでしたから。もちろん、最低限の条件として、自分の予算内に収まる譲渡金額であることや、自分が新たに投入する工数が少なくて済む完成度の高さなどは設定していました。でも、それ以外は広く遍く売却案件を眺めていて、合理的に物事が進んでいったので、特にやり難いと感じることはありませんでした」とも。
そんな永江様に、最後に今後のご展望についてお伺いすると「この事業を、もっともっと大きくしたいと考えています。現状、医療業界に閉じて展開していることもあって、なかなか思うように成長させられていないのですが、他の業界に染み出していくことで可能性を広げていこうと考えています。このサイトが搭載している地図上にマッピングして募集をかけるという仕組み自体は、他にはない、便利で特別な機能だと思っています。
現在、特許を申請しているのですが、この機能は汎用性も高いので、言語の壁さえ突破できれば世界中の国々を舞台にスケールさせることもできると感じています。今はその準備段階にあるので、これからも面白いシステムがあれば買い取っていきたいと思っていますし、海外で認定される特許も申請していくつもりなんですよ」とのこと。
止め処なく溢れるアイディアを楽しそうにお話しくださる永江様は、未来を描き、それを形にする決断力と行動力を併せ持った素敵な実業家でいらっしゃいました。
永江様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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