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社内起業から10余年。約1年の期間を経て実現した、通信系企業の会社譲渡

2023年03月07日

都内で通信機器の設備工事業を行う「日本テクノ株式会社」は、大手ゼネコンを主要顧客として、売上規模1億超を誇る中小企業です。代表取締役社長を務める田中宏様が本企業を設立されたのは、今から15年ほど前。長きに渡って歩んでこられた経営人生は、M&Aという形で幕を閉じることとなりました。

逆境にあっても、常に前向きな姿勢で顧客のことを想いながら会社を育ててきた田中様が、どんな経緯でM&Aを検討され、成約に至ったのか。これまでのビジネスキャリアとともに、詳しくお伺いさせていただきました。

 


 

譲渡企業
社名 日本テクノ株式会社
業種 IT
拠点 東京都
譲渡理由 後継者不在

 

 

譲受企業
社名 SIS株式会社
業種 IT
拠点 東京都
譲受理由 人材確保、技術力・開発ノウハウの強化

 


分社化を機に独立。「お客様に支えられた」紆余曲折の10余年

Photo by iStock-1339404760

もともとサラリーマンとして勤務されていた田中様が、日本テクノの代表となられたのは2008年のこと。会社の一事業部だった通信事業を、スピンオフする形で経営をスタートされました。

「私が入社したとき、会社はもともと貿易関係の事業をしていたのですが、社会の変化に伴い通信事業なども行うようになりました。私はその事業部で責任者を任されていたこともあって、分社化する際に社長を任されることになりました。」

もともとの事業を独立させるということもあり、これまでの延長線上のように見える分社化ですが、やはり「経営」となれば伴う責任もプレッシャーも段違いだったと田中様は話します。

「今まで経営経験なんてありませんでしたから、戸惑うことばかりでした。事業部としてやっている間は、資金面などそこまで責任を負うことはありません。もちろん、気にはしますが。経営者は、社員の人生も含めて全責任を負うわけなので、重みが全然違いました。『社長なんてやるんじゃなかった』と思うことも多々ありましたよ。今だから言えることですけどね。(笑)」

二度の経営危機を乗り越えるも、後継者へ引き継ぎたいという気持ちが強まる

Photo by iStock-1180562750

経営者としてのプレッシャーを感じながらも、ここまで事業を続けてくることができたのは『お客様に恵まれて、支えていただいたから』だと話す田中様。

一度お取引があれば、その後もリピートしてくださったり、口コミで評判を広めてくださったりするお客様に数多く出会い、特に広告宣伝をしなくとも、お取引件数は順調に伸びていったのだそう。それでも、経営人生の中で二度、存続の危機はあったと田中様は振り返ります。

「今思うと、2回ほど危機はありました。一つは、メインでお取引していた大手ゼネコンのお客様が離れていってしまったこと。競合企業がうちの担当社員を引き抜いて、そのまま取引ごと持っていかれまして。仕方がないので、必死で新規開拓に努めて何とかも持ち直しましたが、当時はどうなるかと思いました。私はポジティブな性格なので苦労したという気はしないのですが、会社の危機ではあったなと思います。

もうひとつは、後継者候補として育てていた従業員と決別したこと。時間の経過とともに様々な経験を重ねる中で、お互いの価値観が擦り合わず、結果として退社してしまいました。」

事業が独立し、田中様が社長業をスタートしたのは55歳の頃。後継者候補が去っていってしまったときには『もう一度頑張ろう』という気力も湧いてこなくなってしまったと、田中様は話します。

「歳のせいか、そのときにエネルギー切れになってしまって。そのころから、他の誰かに任せて引退しようという思いが強くなりました。そんなことを考えていたら、バトンズの鈴木さんから電話を頂戴しまして。そこから、金融機関に相談にいき、正式にバトンズを紹介されました。

他にも3社から声がかかっていたのですが、手数料が最低2,000万というような会社ばかりで。うちの会社の規模で手数料をそんなにとられてしまったら、手元には何も残りません。その点、バトンズさんは良心的な手数料だったので、利用しようと決めたんです。」

「第一印象で決めていた」一度は頓挫するも、約1年にわたる交渉を経て成約へ

Photo by iStock-1362181407

そんな田中様が「第一印象で決めていた」と話す譲渡先は、SIS株式会社。実は、SISとの商談は契約締結直前で一度頓挫してしまったそうなのですが、それでも諦められなかった田中様は自らバトンズに問い合わせて、2度目の交渉をスタートされたのでした。

「そもそも一度頓挫してしまったのは、先方の銀行担当者に問題があったようです。真意は分からないのですが、本来であれば買収に必要な資金調達の稟議さえ通してくれればよかったのに、自分の手柄になるよう、複雑なスキームで本社に申請したようで、最終的に融資が通らなかったみたいで。

そのまま宙ぶらりんの状態が4、5ヶ月続いて、バトンズ担当の辻本さんに『先方との商談の場を再度設けてほしい』とお願いしたんです。そして、その後は銀行の担当者も変わって、ようやく成約・調印することができました。

実は、譲渡時期がズレてしまったことと、その間の業績が芳しくなかったことが要因で、売却金額は初回より下がってしまいました。その点に関しては残念な気持ちもありますが、これが私のご縁だったのかなと思っています。」

「譲るなら同業の会社に」残った従業員の働きやすさを考えた選考基準

Photo by iStock-1309115995

一度頓挫してしまったものの、再度交渉を依頼しようと思われたSISの魅力とは何だったのか、田中様にお伺いすると
「譲渡先の検討基準には、もともと『同業に譲りたい』というのがありました。なぜなら、後に残る従業員のみんなが働きやすい環境を作ってあげたいと思ったからです。

そういった会社は少なくありませんが、その中でもSISさんは、柔和で細かいところを気にされない会長の岩田さんと、細かいところまで徹底管理されている弟の社長さんとが、絶妙なバランスをとりながら経営されているのが印象的でした。なので、対峙している顧客群は違うけれども、きっと事業を軌道に乗せてくださるだろうと思えたんです」とのこと。

こうして長い交渉期間を経て、無事にご成約された田中様。今後は事業の引き継ぎを行いつつ、自由度の増した時間を楽しまれるそうです。

「4月いっぱいまでは顧問として引き継ぎを行う予定です。それも週3回程度の出社になりますし、以前よりは自由度が増しましたので、落ち着いたら趣味に没頭したいと思います。これまでのプレッシャーからようやく解放されて、一息ついているところといった感じでしょうかね。

周囲には『働き続けた方がいいのではないか』とも言われたりもしますが、まだ自分の中でやる気が起こらなくて。もう少し落ち着いたら、ゆっくり考えてみたいと思っています。」

長年の大きな大役を終え、和やかな笑顔でお話しくださった田中様。これから、次なる楽しみをゆっくりと探されていかれるようです。

田中様と日本テクノ株式会社の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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