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福岡で愛される名店の味を東京のコンサル企業が引継ぎ

2021年06月30日

エキスパート・リンク株式会社の代表取締役社長 藤田 隆久様は、2020年11月に福岡県で魚料理を強みとする和食を提供する味の正福をM&Aされました。地域で愛される名店を他業種ながら引き継がれた背景と、今後の事業拡大についてお伺いしました。

中学生で起業!?実家はあとつぎが見つからず黒字廃業へ

エキスパート・リンク株式会社は、東京都で経営コンサルティング事業や予防介護デイサービス施設の運営、ベンチャー投資などを営む 2000年創業の企業です。今回、「味の正福」の暖簾(のれん)を引き継ごうと考えたのは、コロナ禍で一番影響を受けており経営に苦戦している産業を自分たちで運営して、老舗の暖簾を受け継いで飛躍させることができれば「三方(さんぽう)よし」になるのではと考えられたそうです。

全くの異業種からの参入に見える今回のM&A。しかし、藤田様には飲食業に強い思い入れがありました。実は、ご実家が大阪で高級寿司店を営んでおり最盛期で3店舗を展開して年商は5億円まで伸びたそうです。あとつぎとして将来を期待されていた藤田様はというと、なんと中学生で自分でビジネスを立ち上げられたので、仕方なくご両親は親戚に継いでもらおうとしますが上手くいかず廃業。なんと資産超過で現金も数億円という状態で事業を閉じられてしまったそうです。

所縁のある福岡の、地域に愛される名店の暖簾を引き継ぐということ

思い入れのある飲食業。そしてバトンズで出会ったのが福岡県の「味の正福」でした。色々な要素が重なりました。藤田様ご自身は福岡で3年間働かれたご経験があり、奥様も福岡出身。藤田様が九州の銀行の顧問として創業支援・中小企業支援をやっていたこともあり、九州の小規模事業への親しみもありました。また、一緒に仕事をしていた昔の知人が天ぷらの調理や居酒屋運営のノウハウを持っており、その方にいつかグループ内で飲食店をお任せしたいという気持ちもありました。そんな背景が藤田様の背中を押し、M&Aの交渉へ入ることを決められました。

藤田様が「味の正福」の暖簾を引き継ぐと本格的に決められた理由は、知名度と地域とタイミングが一番大きかったそうです。知名度としては、福岡出身の奥様が知っているくらい地元の名店としての名前があったこと。地域としては、福岡は行政を上げた創業支援が盛んな都市。藤田様としては、開業率を上げるのも大事ですが、既存の経営資源を上手く引き継いで次世代へ繋げることも大事だと自治体へアピールしていく必要があると感じていらっしゃったそうです。またタイミングとしては、「味の正福」はちょうど創業45年目。藤田様のお父様は創業44年で家業を辞めており、なぜかこの不思議なタイミングに縁を強く感じたのだとか。過去にあとつぎとしての道を選べなかったことが心に引っかかっていたこともあり、改めてこの機会に暖簾を継いでいく覚悟をされました。

自社グループのM&Aアドバイザーの力もあり、突然の破談からの成約へ

具体的なM&Aの交渉では、グループでM&A仲介を営んでいる株式会社M&Aの窓口の代表取締役 佐藤 健様が藤田様のアドバイザーとして買収をサポートされました。株式会社M&Aの窓口はエキスパート・リンク株式会社の100%子会社としてスモールM&Aに特化した形で手数料を抑えてサービスを提供しています。バトンズの活用もしていますが、地域の銀行や信用金庫、信用組合と密に連携をし、5年ほど前から地域に密着して事業承継支援をしています。また、「士業のためのスモールM&A入門」という書籍も出版しており、士業としてスモールM&Aを手掛ける先駆者集団という一面も持っています。藤田様ご自身も上場企業他の社外役員就任や大学院・ビジネススクール等でも講師として教鞭を取られており、M&Aについてはプロ中のプロ。しかし、交渉中には予期せぬトラブルが起こりました。

 

飲食業は思い入れのある事業で、何より人を大切にされる藤田様。もちろん、「味の正福」の前オーナーへも適正な価格で買収の申し入れをされました。交渉開始後、すぐにコロナ禍となりましたが、価格算定についてはコロナ前を基準とし、EBITDAによる計算方法を用い営業利益も2年分で設定されていたそうです。しかしながら、突然「味の正福」へ接触した、あるM&A仲介会社が営業目的で高めに企業価値を算定し、藤田様の提示していた額の2倍以上の金額を前オーナーへ参考値として渡されました。前オーナーは初めてのM&Aということもあり大変驚き、2020年4月に交渉は一度破談となりました。その後、やはりコロナの影響が長引いたことと色々な事情が重なったこともあり、改めて藤田社長へ連絡が入った結果、無事2020年の11月に譲渡が完了する運びとなりました。M&Aにおいて、譲渡価格の算定は大変重要な問題です。これから会社の譲渡を考える方は、いざという時にトラブルにつながらないよう、実績の多いアドバイザーの力を借りたり、価格算定の手法をいくつか調べて、自分なりに金額の目安を持っておくと良いかもしれませんね。

創業者に事業に関わり続けてもらうという事業承継の新しいカタチ

様々な経緯はあったものの、無事「味の正福」をM&Aされた藤田様。現在は従業員を全員引き継ぎ、女性社長に経営を任せる形で少しずつPMIを進めているのだとか。最盛期には6店舗まで展開していた「味の正福」。現在は博多駅周辺に出店の計画を立てており、将来的には東京都内にも進出を目指しているそうです。また、前オーナーは「味の正福」の通信販売事業を続けられる予定で、今後は藤田様と二人三脚で通信販売事業を伸ばされていく予定なのだとか。これも、藤田様のお父様が寿司店を辞めた後も、お得意様にのみケータリングで事業を継続されていたことに影響を受けて決められたことだそうです。「創業者として事業に関わり続けて欲しい。その姿を世の中の方へ見てもらい、今後の事業承継のロールモデルにしていきたい。」と藤田様はおっしゃいます。人生100年時代。思い入れのある事業に、経営からの卒業後も関わっていける形の事業承継は今後トレンドになっていくのではないでしょうか。

エキスパート・リンク株式会社は、今後も経営理念に則した事業の買収は積極的に進めていかれるとのこと。長期的にはサーチファンドの設立も検討されており、中小企業診断士やMBAホルダーがサラリーマンからの卒業を考えたときに、経営者として中小企業を承継する道筋を作っていきたいと語る藤田様。生活関連サービスのような小さな範囲で運営できて管理していける業態を主に考えており、今回の買収も「まずは自分がやってみなければ」という側面もあったそう。新たな事業に果敢に取り組み、そして主役である経営者を創り続けるという姿に、私たちの人生の選択肢がどんどん広がっていくようで、将来が楽しみになりますね。

バトンズはエキスパート・リンク株式会社と「味の正福」の今後の成長を大変応援しております!

この案件を担当したM&Aアドバイザー株式会社M&Aの窓口の紹介ページ

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