創業3年のSES企業がココナラにグループイン|社員の待遇向上をM&Aで実現
2026年08月12日
2026年08月12日
エンジニアが案件を自由に選べる「エンジニア・ファースト」を掲げ、創業3年で急成長を遂げた株式会社フレームキャリア。代表を務める八木澤勇希様は、社員のさらなる待遇向上と選択肢拡大のため、上場企業であるココナラグループとのM&Aを決断しました。本記事では、自社の理念を貫きながら買い手企業とシナジーを生み出したM&Aの軌跡と、M&A後のリアルな変化についてお話を伺いました。
| 譲渡企業 | |
|---|---|
| 社名 | 株式会社フレームキャリア |
| 業種 | IT |
| 拠点 | 東京都 |
| 譲渡理由 | 社員の待遇向上 |


| 譲受企業 | |
|---|---|
| 社名 | 株式会社ココナラ |
| 業種 | IT |
| 拠点 | 東京都 |
| 譲受理由 | 事業強化 |
── 貴社の事業の特徴を教えてください。

SESは、営業が受注した案件にエンジニアを派遣するビジネスモデルです。多くの企業では、エンジニアが案件を自由に選べるケースは少なく、会社からの一方的な配属先指定が不満や離職につながることも多々あります。
これに対して当社は、「スキルアップしたい」「リモートで働きたい」といった一人ひとりの希望に合わせて、エンジニア自身が案件を選べることを非常に重視している会社です。
この経営方針は、本来獲得できたはずの案件が失注する可能性が高まり、売上にマイナスの影響をもたらすと思われるかもしれません。しかし、私はむしろ逆だと考えています。
SESの企業にとって社員は重要な財産であり、社員に辞められることこそ、会社にとって最も大きな損失です。そのため、エンジニアの希望に合わない案件を一方的に割り当てるなどにより退職のリスクを高めることは、経営の面でも合理的な判断とは言えません。
本人に案件を選んでもらい、納得感や責任感をもって働いてもらう環境を作ることは、会社にとってもエンジニアにとってもよりよい選択であるというのが私の考えです。
また、当社はエンジニアへの還元率は単価の80%以上と、業界水準を大きく上回ります。案件単価を公開し、それに連動して給与を設定するといった透明性の高い体制と自由度の高い働き方が、社員の定着につながっています。エンジニア不足が強まる雇用環境のなかで、設立から3年で社員数を数十名規模まで拡大できました。
── エンジニア・ファーストの考え方は、どのように生まれたのでしょうか。
私自身のエンジニアとしての経験が影響しています。SES企業で勤めていた当時、担当した業務で思うようにスキルアップできませんでした。営業担当者に案件の変更を相談しても、希望を聞き入れてもらえないことがありました。
周囲でもそういった声が多くある中で、SESという働き方に疑問を持つようになり、自社開発企業へ転職。しかし、そこでも扱える言語や担当工程が限られ、自分の望むキャリア形成が描きづらい環境でした。
こうした経験から、同じ悩みを抱えるエンジニアを支える側に回りたいと考えるようになったのが、フレームキャリア創業を志したきっかけです。
その後、採用から営業までSES事業に一貫して携われる会社へ転職し、企業運営に必要なスキルを蓄積。その経験をもとに、エンジニアが自分らしく自由に働ける「真っ白なIT企業」をコンセプトに、会社を立ち上げました。
── 順調な成長をしている中で、譲渡を考えたのはなぜでしょうか。
M&Aを選択肢として検討し始めた時点では、譲渡を急いでいたわけではありません。このまま自分で経営を続けるか、M&Aをするか、気持ちは半々でした。
自分のことだけを考えれば、そのまま経営を続けることも十分可能でしたし、そのほうが自由に事業を進められるという思いもありました。一方、社員の雇用環境を考えると、M&Aによるメリットが大きいのではないかと感じていました。大手IT企業のグループに入れば、より条件の良い案件を紹介しやすくなり、給与水準の向上も期待できます。
また、会社の信用力が高まることで、社員が住宅ローンなどを組みやすくなることも期待できます。そのため、譲渡先に求める条件は厳しく設定していました。事業面でシナジーがあり、社員にも納得してもらえる企業と出会えた場合に限り、M&A交渉を進めるつもりでした。
── 企業文化を大切にされている貴社がM&Aで重視したことを教えてください。
譲渡後も、エンジニアが自由に働ける環境は変えたくないと考えていました。そのために重視したことが2つあります。
1つ目は、譲渡後も私がトップに残り、フレームキャリアの経営に深く関わり続けること。2つ目は、買い手企業に当社の考え方を理解していただき、M&A後もコンセプトを変えないと約束していただくことです。
譲渡先となったココナラには、こうした方針を十分に理解していただきました。そのため、グループイン後もフレームキャリアらしい企業文化や働き方を守ることができています。

── M&Aを検討された際、譲渡先探しはどのように進めましたか。
BATONZへの登録と、知人からの紹介、またFAにも依頼しました。そのなかで、BATONZは反響数が圧倒的に多く、候補企業の顔ぶれも魅力的でした。トップ面談は15社前後実施し、そのうち3〜4社が上場企業でした。
ココナラのような知名度の高い上場企業からお声がけいただけるとは思っていなかったので、驚きましたし嬉しかったですね。私自身も過去にココナラを利用したことがあったので、それだけ身近な企業とご縁があることに新鮮さを感じました。
── 多くの候補企業から声がかかった理由をご自身でどのように分析していますか?
まずは、SES業界全体の需要が高まっているタイミングだったことが一因だと思います。そのうえで、当社はエンジニアの採用が順調だったことを評価していただいたのではないかと思います。加えて、バックオフィスの人件費やオフィス代などの固定費を抑え、効率的な経営ができていたことも評価いただいた点だと思います。
── ココナラの鈴木社長と初めてトップ面談をしたとき、どのような印象を持ちましたか。
第一印象は、良い意味で社長らしくない方だと感じました。とてもフランクで、こちらの話にも丁寧に耳を傾けてくださいました。私たちの考えに寄り添ってくださる方だと、面談を通して感じました。
ただ、当時はほかにも候補企業があったため、すぐに譲渡を決められませんでした。フレームキャリアは、自分の子どものように大切に育ててきた会社です。簡単に決断できるものではなく、慎重に考える必要がありました。
── 最終的にココナラを選んだ一番の理由は何だったのでしょうか。
最も重視したのは、「社員にとってメリットのある会社かどうか」です。その観点で、ココナラにはグループ内にフリーランスエンジニア向けのエージェントサービスを運営する「ココナラテック」がありました。
常時20,000件以上を保有するココナラテックの案件を紹介してもらえれば、受注単価の向上が期待できます。単価が上がれば、社員の給与にも還元しやすくなります。また、上場企業のグループに入ることで、会社の信用力や安心感が高まる点も魅力でした。
── 現在、M&A後の効果をどのように感じていますか。
大きな成果は、社員に紹介できる案件数が増え、仕事の選択肢が広がったことです。一人ひとりの希望に合った案件を、以前よりも提案しやすくなりました。その結果、受注単価も上がっており、社員の待遇改善につなげられています。
また、社員からは「プライベートで金融機関の融資審査が通りやすくなった」という声も聞いています。上場企業のグループに入ったことで、社会的な信用力の面でもメリットが生まれています。
ココナラテック側も、当社が加わったことで大きな変化がありました。クライアントに対してフリーランス人材の提案が中心だったところから、正社員のエンジニアも提案できるようになっています。双方にとって相乗効果が生まれています。
── PMI(M&A成立後の統合プロセス)によって、社員の管理体制や働き方に変化はありましたか。
「待遇が良くなった」「案件の選択肢が増えた」などのプラス面のみで、社員への影響はほとんどありません。M&A後も、これまで通り自由度の高い働き方を続けられています。会社全体についても、現時点で大きな変化はありません。
私自身は、現在は週2日程度ココナラに出社し、本社やココナラテックの方々と定期的にコミュニケーションを取っています。また、これまでの採用経験を生かし、ココナラテックの採用責任者も務めています。具体的には、スカウティングや候補者との面接、給与体系の見直しなどを担当しており、グループに関わる仕事が加わりました。
フレームキャリアは、ココナラテックから大きな恩恵を受けています。だからこそ、私もこれまで培ってきた採用ノウハウを共有し、グループに貢献したいと考えています。
── M&Aで八木澤様自身の経営者としての変化も感じているでしょうか?
経営者として日々成長を実感しています。上場企業は株主への説明責任があるため、数字に基づいた経営を徹底しています。私も経営会議などに参加するようになり、「このような論点で議論を進める必要があるのか」と気づかされることが多くあります。
これまで知らなかった経営の考え方や意思決定の進め方に触れる機会も増え、毎日が勉強です。多くのことを学びながら、経営者としての視野が広がっていると感じます。
── 最後に、今後フレームキャリアをどのように成長させていきたいですか。
今はココナラテックの業務にやりがいを感じています。「ココナラグループをより良くするために何ができるか」「自分の経験をどう生かせるか」を常に考えています。
ココナラグループの一員として誇れる会社にしたいですし、将来的には、グループ内で最も利益を上げる会社に成長させるのが目標です。
フレームキャリアやグループ全体については、実現したいことがまだまだたくさんあるので、会社とグループの成長に全力を注いでいきたいですね。
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