ノウハウ

2019.09.20

SWOT分析を活用してM&A時の相乗効果を編み出す!事例とともに紹介!

一般的にM&Aの実施において、買い手にはそれなりの費用が掛かるため、失敗して大きな損失を被らないためにも、交渉に進む上で損失につながるあらゆるリスクを考慮しておかなければいけません。

リスクを最小限に抑えて、期待するシナジー効果(自社になかった経営資源の有効活用)を得るためには、買い手は自社の強みや弱みを客観的に理解したうえで、売り手のどんな経営資源を必要としているからM&Aすべきなのかを明確にする必要があります。

そんなとき有効なのが、SWOT分析という手法です。今回は、M&A時にこのSWOT分析をどのように活用してシナジー効果の想像を分析するのかについて解説します。

 

SWOT分析とは?

SWOT分析とは自社の外部環境や内部環境をシンプルに整理して、客観的な視点で強みや弱みを明確にしていく作業のことです。M&Aにおいては、そのSWOT分析をもとに今後の事業戦略を考案することが可能です。

「外部環境」「内部環境」はそれぞれどのようなことを言っているのでしょうか?以下で詳しくお伝えします。

 

外部環境とは

 

外部環境は自社の経営努力とは関係ない外的な要因からくるもので、「マクロ経済要因」と「ミクロ経済要因」に分類することができます。

マクロ経済要因とは、世界経済や政治介入などマクロ経済の視点から自社に影響する要因です。一方、ミクロ経済要因とは顧客などミクロ経済の視点から自社に影響する要因のことを言います。

外部環境の中でも自社にとってプラスに働く要因は機会(Opportunity)、自社にとってマイナスに働く要因を脅威(Threat)と呼びます。

 

内部環境とは

内部要因は自社が保有している経営資源のことを言います。ヒト、モノ、カネ、情報的経営資源(ノウハウなど)が挙げられます。内部資源について自社にとってプラスに働く要因は強み(Strongness)、自社にとってマイナスに働く要因を弱み(Weakness)と分類します。

外部環境の「機会」「脅威」、内部環境の「強み」「弱み」の英語の頭文字をとってSWOT分析と呼んでいます。

 

どのように分析する?

上記で解説した外部環境と内部環境のプラス要因とマイナス要因を掛け合わせると、4種類の戦略を構築できます。

 

1.  強みと機会(S×O)

自社の強みを用いて機会を得るために何をすべきか

2.  強みと脅威(S×T)

自社の強みを用いて脅威を回避、もしくは対抗するために何をすべきか

3.  弱みと機会(W×O)

自社の弱みを克服して機会を得るためには何をすべきか

4.  弱みと脅威(W×T)

自社の弱みと脅威によって、最悪の状況を防ぐためには何をすべきか

 

このように、4パターンのアプローチを考えられます。

 

自社のSWOT分析をやってみる

では、実際にSWOT分析を行い、自社の弱みを克服するためにM&Aを行った例を紹介します。

とある老舗の化粧品会社Aがあります。世界的に化粧品業界は化粧年齢が低年齢化しており、化粧をする人口は増加していますが、その化粧品会社Aが対象としている市場は国内だけなので、日本国内の人口減少とともに将来的な売り上げや利益が低下すると予測しています。

このような状況に対して、この化粧品会社Aは自社の強み・弱み・機会・脅威を分析して、経営戦略に活かそうと考えていました。

 

化粧品会社にとっての強み(Strength)

【強み】

・熟練の技術を持った従業員が複数いる

・同業種内では剰余金が多い

・ロングセラーの自社商品がある

・スキルや商品に対する知的財産権などがある

 

化粧品会社にとっての弱み(Weakness)

【弱み】

・組織体質が古い

・開発効率が悪い

・認知度が低く、販促力が乏しい

・過去の成功体験に縛られすぎて変化を嫌う

自社の弱みを経営者自身が発見することは非常に難しいと考えられます。同業種や同規模の会社の資料と比較したり、場合によっては、経営アドバイザーなどの経営コンサルタントに相談して自社の弱みを発見する必要があるでしょう。

 

化粧品会社にとっての機会(Opportunity)

【機会】

・化粧年齢の低下で、従来はターゲットにしていなかった若い世代(10代)が化粧品を購入するようになっている

・近年は肌の手入れをエチケットとして気にする男性も増えてきており、メンズ用のコスメブランドが増えてきている

 

化粧品会社にとっての脅威(Threat)

【脅威】

・少子高齢化により国内の化粧人口が減ってきている

・お隣の韓国はコスメ大国であり、通販で韓国コスメを買う顧客層が増えてきている

・米中の貿易摩擦により政府が規制を行い、輸出入が減少している

 

SWOT分析の結果から考えられるアプローチ

1 自社の強みを用いて機会を得るために何をすべきか(S×O)

・経営資源に余裕があるため、新規事業へ参入するための設備投資を行い、10代向け、または男性向けの化粧品開発を行うことで、新たな市場のニーズを取り込む

・ロングセラー商品の改良に取り組むことで、既存の顧客層の更なるファン化を促しつつ、ロングセラーの派製品を開発するなどして新たな顧客層のニーズを掴む

 

2 自社の強みを用いて脅威を回避、もしくは対抗するために何をすべきか(S×T)

・韓国コスメに対抗するため、オンライン通販で実店舗以外でも自社商品を購入できるようにする

・少子高齢化の日本市場で成長を続けるため、ロングセラー商品を高年齢層向けに改良して顧客層を開拓する

・ベテランの従業員のスキルや自社商品に対する知的財産権を大手企業に引き継いでもらうことで開発効率と販促力を改善し、海外ブランドに対抗する

 

3 自社の弱みを克服して機会を得るためには何をすべきか(W×O)

・旧体質の組織を刷新し若返らせることで、ニーズが高まっている10代向け商品やメンズ商品の企画・開発に取り組む

・従来の開発ラインを見直し開発効率を向上させることで、新商品開発に取り組むための余力を確保する

・人的リソースを整理して停滞している組織の風通しを良くすることで、新商品開発のための企画を提案しやすいような職場環境を作り出す

 

4 自社の弱みと、ネガティブな外的要因からくる最悪のシナリオを防ぐには何をすべきか(W×T)

・組織体質が古いが故に変化を恐れ、変化の速い海外競合との競争に負けないよう、新企画を社内公募したり、マーケティングに注力する

・過去の成功体験に縛られすぎて、新しいことへの挑戦が阻害されないよう、若手を重要ポストに登用するなどして人材育成に取り組む

 

分析結果をM&Aに生かす

化粧品会社Aは、自社の弱みである「組織体質が古い」「開発効率が悪い」「認知度が低く、販促力が乏しい」「過去の成功体験に縛られすぎて変化を嫌う」を克服するためには、新しい人材と組織体制の刷新が必要と判断。

それを克服するために、化粧品会社Aは研究所を所有している同規模の化粧品会社とのM&Aを行い、開発力の向上を目指すため優秀な人材を獲得しました。これにより、商品開発力を強化することができ、新しい挑戦をしやすい環境を得たことで競合に負けない競争力を身につけることができました。

このように、SWOT分析を行うことで、M&Aの目的を明確にし、成功の確率を上げることができるのです。

 

【まとめ】SWOT分析で経営戦略を決める

 

SWOT分析について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

M&Aを行う際は、その目的を明確にすることが何よりも大前提です。SWOT分析を行うことで、

・どのような機会を得たいのか、どんな脅威を回避するためのM&Aなのか

・自社の強みのさらなる強化ポイントとは、また、どんな企業であれば自社の弱みを補ってくれるのか

を整理することができます。自社を客観的に見直すことで、M&Aの成功確率を格段に上げることができるでしょう。ぜひ、経営戦略立案の際に参考にしてみてください。