東京のダンススクールをM&A！前オーナーの「哲学」に惹かれ、新たな領域で再起業

「初心者が誰も挫折しない」をモットーに、楽しみながら踊れるアットホームなダンス教室を提供する株式会社カーネリアン。事業のステップアップと、前オーナーの「選択と集中」を目的にM&Aに乗り出した本企業を譲り受けたのは、M&Aで起業に挑戦する古川裕也様です。
過去には二度の起業経験をもち、直近ではスタートアップ企業への投資業務に従事していた古川様が、どのような経緯でカーネリアンの譲受に至ったのか。M&Aによる起業にチャレンジした背景やこれまでのキャリアとともに、お話を伺いました。

二度の起業経験を経て、M&Aで再度経営者の道へ

ITエンジニアやWEB制作・広告運用等でキャリアを積まれた古川様は、2011年に広告・IT関連の事業で起業。その後タイ・バンコクに移り、ITコンサル事業で二社目の起業へと挑戦されます。

2017年からは日本・東京に戻り、VC・スタートアップアクセラレーターとして従事された古川様は、個人でも中小企業の経営支援、デジタルマーケティング支援に取り組まれていました。

「IT・広告系の事業で起業をし、その後バンコクでITコンサル事業を立ち上げました。数年経営を続けてきましたが、結果として事業を畳まざるを得ない状況になりまして。失敗を経験して精神的にも立て直す時間が必要だと感じたので、一旦日本でお勤めの仕事に戻りました。そんなときにお声がけいただいたのが、前職のベンチャーキャピタルになります。」

東京に戻った古川様は、世の中のルールに変革をおこすようなスタートアップ企業の近くで仕事がしたいと思い、スタートアップ投資事業に就職。さまざまな成長起業のサポートに携わりながら、スタートアップ企業が陥るさまざまな課題を目の当たりにします。

「スタートアップ企業と聞くと、キラキラした華やかな世界を思い浮かべる人も多いと思いますが、実態はそうではありません。泥沼にハマって抜け出せなくなってしまう会社や、キャッシュが足りずに立ち行かなくなっていしまっている企業などがごまんといるのが現状です。

私は、そういった企業を再度成長軌道に乗せるためのサポートを行うバリューアップチームに所属していたのですが、企業再生の分野には前々から興味があり、自分自身でも経営者として参画して伸ばしていきたいと思い、M&Aを検討するようになりました。」

心が高まったダンススクールの事業。その理由とは？

M&Aでの起業を目指し、バトンズに登録をした古川様。未経験業種も視野に入れながら、3つの基準を設けて譲渡案件を検討されていたそうです。

「引継ぎ先を検討する際にまず重視していたことは、自分のスキル・経験を活かして成長させられる事業であるかという点です。具体例を上げると、集客面に課題があり、デジタルマーケティングを駆使して売上を伸ばせそうな会社や、業務改善の余地があり、DXで利益拡大が望めそうな会社などです。

私がこれまでにデジタルマーケティング支援やITコンサルなどでキャリアを積んできたので、その経験を活かして事業を伸ばすビジョンが描けるかどうかを見ていました。

2つ目は、ある程度自走している事業であることです。先ほどいったように、私の強みはITを駆使した業務改善や集客改善にあると思っています。そのため、現場が経営者以外の方々で回っていて、自分が経営改善に集中できる状態がベストだと考えていました。」

自走している事業の基準として、売上3000万円を下限ラインとしていたという古川様。3000万円未満であれば個人のスキルで稼げる範囲内であると想定し、経営者がプレイヤーとして入りすぎていない事業を見極めるひとつの基準としていたそうです。

また、今回のダンススクールに出会う前、古川様は他のダンススクール案件で交渉を行い、条件が折り合わなかったという経緯がありました。それまでダンススクールの事業を重点的に検討していたわけではなかったものの、その時のことが頭の片隅に残っていたそうです。

「譲渡案件を探す際、自分が情熱を注げる分野かどうかというのも重要でした。ここに関しては、自分の感覚的なものが大きいので案件を見ながら色々と模索しました。その中で出会ったのが、ダンススクールの譲渡案件です。

私も過去にダンスをしていましたし、周りに現役でダンスをしている友人もいました。ダンススクールの譲渡案件を見た時、そのテーマに心が躍ったのを覚えています。

ただ、最初に交渉したダンススクールは、自分では事業を良くするのが厳しいだろうという内容でして。その案件は交渉から降りることにしたのですが、ダンススクールという事業は頭の片隅に残っていました。そんなときに出会ったのが、カーネリアンの譲渡案件になります。」

「大人初心者がダンスと自分を好きになる」前オーナーの哲学が詰まったダンス教室

カーネリアンが運営するダンススクールは、渋谷・高田馬場・新宿・代々木の4地区8スタジオを拠点とし、「K-POPクラス」「アイドルクラス」「アニソンクラス」「ミュージカル」「ブレイクダンス」など、15種類ものクラス分けと難易度分けがあり、ニーズにあったダンスレッスンを受けることができます。

前オーナーの齊藤様と面談を行い、ダンススクールのレッスン風景も見学した古川様は、齊藤様の事業への想いとレッスンの空気感に触れ、また交渉を進めるほどに事業への確信が強まっていったと言います。

「なんとなく『良さそう』という気持ちだったところから、齊藤さんの話を聞けば聞くほど、事業を知れば知るほど確信に変わっていきました。齊藤さんと初めて会ったときの印象は、営利色が少なく、『誰に何を提供するのか』という事業の核に真摯に向き合っている方だという印象でした。

齊藤さんは『大人のダンス初心者が安心してダンスを楽しむことを提供する』という事業の軸を持っていて、カーネリアンはまさにそれを体現されていました。スタートアップで言う所のPMF（Product Market Fit）があったので、買い手としては事業の核に対して非常に安心することができました。」

ダンス経験がある古川様は、ダンススクールというと「いかにかっこよく踊れるか」を追求し、生徒が先生のダンスに必死についていくというイメージが強かったといいます。そういった中では、初心者が気軽に参加するのは難しく、ハードルが高い競技となってしまいます。

そんなイメージとは裏腹に、初心者に対する丁寧なケアと、会員の方々が楽しそうに踊るカーネリアンのダンスレッスンを拝見した古川様は、事業に対して社会的意義の高さを感じ、買収を決断をする大きな後押しになったといいます。

「例えば、初めて参加する方だと途中でレッスンについていけなくなるだけでなく、水を飲んで良いタイミングさえわからなかったりすると思います。カーネリアンではインストラクターの方々がこまめに『お水飲みましょうか！』『わからない所ありませんか？』と声かけを行うなど、未経験でも楽しめる環境をみんなで作っていて素晴らしいと感じました。さらに会員の方々も初めて体験に来た人に対して積極的に話しかけてくださる姿勢にもとても好意がもてました。

実は、交渉中に他のダンススクールも複数体験レッスンを受けさせていただいたんですが、カーネリアンは群を抜いて参加者へのケアが優れていると実感しました。コミュニティイベントにも参加させていただき、会員の方々が楽しそうにダンスに取り組んでいる様子を肌で感じ、社会的にも価値が高い事業であると確信しました。」

*コミュニティイベント（Carnelian Dance Night、通称CDN）の様子

その結果として、カーネリアンは参加者の継続率が88%と、家庭環境の変化や引越し等でやむを得ず退会する人を含めても、非常に高い数値を誇っています。前オーナーがもつ事業への哲学に共感し、それを体現するダンススクールを体感された古川様は、カーネリアンを譲受する決断へと至ります。

バトンズを通じた様々な出会い。古川様のM&Aを後押し

写真：左から齋藤様、古川様、立野様

今回、バトンズを通じてM&Aのご成約を実現された古川様。バトンズを利用してみての印象とご感想について、以下のように話しています。

「バトンズは、カスタマーサクセスに真摯に向き合っているイメージがあります。M&Aに関する動画コンテンツが充実していたり、セミナーも定期的に開催してくれていたり。また、初めてバトンズに登録したときは、これほど沢山の案件があるのかと驚きましたが、今では不動産サイトで物件を見るような感覚で閲覧しています。

実は今、バトンズさんを通じて知った藤田精(ふじた たくみ)さんが運営する『M&A買収王の投資・経営サロン』というオンラインサロンに入会しています。藤田さんの豊富なM&Aに関する知見を拝借させていただき、非常に有益な学びの機会を得ています。M&Aの成約に加え、素晴らしい出会いにも恵まれ、大変感謝しています。」

M&Aはこれまで歩んできたキャリアとは知識体系が違い、新しく学び直す機会になったという古川様。今回の経験により、M&A自体が事業戦略の新たな打ち手として加わり、選択の幅が広がったと話しています。

また、交渉を進める中で弁護士や融資の専門家、税理士やダンスのインストラクターなど、さまざまな方のサポートを受けながらM&Aを成立させた古川様。M&Aは、チームを作ってひとつのプロジェクトを進めるような感覚があり、そこで学んだマネジメント方法やプロジェクト推進方法は今後にも活きる良い経験になったとおっしゃっておられました。

その中の一人で、M&Aのアドバイザーとしてサポートされたのが「株式会社ファルコン・キャピタル」の立野様。立野様のサポートについて、古川様は以下のように振り返ります。

「立野様には非常にお世話になりました。自分の住んでいる地域までお越しいただき、交渉面でも良いサポートをいただきました。とくに、事業を引き継いだあとの経営面について色々と親身にアドバイスをいただけたことは、非常に心強かったです。Dリーグというダンスのプロリーグの観戦に招待いただいたりと、細かい配慮もいただいてありがたく思っています。」

自身の経験とスキルを活かした経営改善。その先に見据えるさらなる事業展開

前オーナーの齊藤様は現在も取締役として残り、古川様と二人三脚で事業のさらなる成長を目指しています。経営者として新たなキャリアをスタートさせた古川様に、最後に今後のビジョンについて伺いました。

「まずは、自分の強みを活かして集客面やDX改善を進めていきたいと考えています。講師の方々に1on1の機会を設けてヒアリングを行ったところ、さまざまな要望や課題が出てきました。例えば、レッスンを受けるためには紙のスタンプカードが必要だったり、入会手続きで口座引落の手続きを書面で行うことが必須だったり。

講師の方がレッスンに集中できる環境作りや、利用者が負荷なく入会・参加できる管理体制を整えることは、今後の課題です。また、やっぱり新しい方が定期的に入ってくる方がスクールが活性化しますし、講師の方々も教え甲斐が高まると思うので、集客面は力を入れて頑張りたいですね。

他には、企業様の健康経営や離職率低減の文脈で、法人向けに体験レッスンの提供を検討しています。私も経験があるのですが、デスクワークをしていると運動機会をなかなか自分で創出できず、家と会社の往復で1日が終わってしまう、という方も多いのではないでしょうか。

現代はとくに運動不足が進んでいると思うので、我々のダンスレッスンに触れてもらうことで、オフィスワーカーの健康促進のお手伝いができればと思っています。このような課題をお持ちの企業経営者様や人事・総務のご担当者様はぜひお気軽に意見交換についてご相談ください。」

中期的な展望には、会員向けの物販販売や、ヨガ・フィットネス分野への事業拡張に入れているという古川様。創業6年目、齋藤様が個人事業としてスタートしてからは9周年を迎えるカーネリアンは、新たな経営者を迎え入れ、次なるステップへと走り出しています。

株式会社カーネリアンと古川様の今後のさらなる成長を、バトンズ一同心より応援しております！

株式会社カーネリアンについて（古川様より会社紹介）

2016年に開業、2019年に法人化した当スクールは、「楽しく踊って “なりたい自分” になる大人初心者のためのアットホームなダンススクール」をコンセプトとして、真に大人のダンス初心者の方に優しいダンススクールを運営してまいりました。
現在、渋谷、新宿、高田馬場、代々木（6月以降）と、社会人の方にアクセスのよい場所で開講しております。

 

当スクール独自の試みとしては、クラブで踊れるようになるための「クラブデビュークラス」、セクシーで魅惑的な体つきになるための「セクシーボディメイククラス」、憧れのミュージカル俳優になりきる「ミュージカルクラス」や推しになりきる「K-POPクラス」「アイドルクラス」など、「なりたい自分になるための目的別クラス」を設置し、ダンス初心者の方の習いたいダンスとミスマッチが起きにくい仕組みを提供しております。

 

また、当スクールではダンスはお互いが仲良くなるためのツールとして捉えており、毎年「Carnelian Dance Night（略してCDN）」として会員限定の交流会を行うことで、会員様同士が新たな人間関係を構築できる場づくりにも注力してまいりました。当スクールで出会ったことで、なんでも話せる友人、楽しみを分かち合える趣味仲間、生涯のパートナーになられた方を多数輩出しております。

 

カーネリアンはダンススクールでありながら、ただの「ダンスを習う場」ではなく、多方面において会員様の人生をよりよくするための支援を目標としております。

• アニソンクラス
• ミュージカルダンスクラス
• クラブデビュークラス
• アイドルクラス
• セクシーボディメイククラス
• K-POPクラス
• その他ストリート系（ヒップホップ、ブレイキン等）

カーネリアンでは、バラエティ豊富な50以上のクラスが開講しております。「おすすめクラス診断」では、あなたにピッタリのクラスをご提案します。ぜひご覧ください。