【イベントレポート】後継者募集事業者・成約者による公開ミライマッチング

群馬県とバトンズでは、「令和5年度 ミライマッチング×継業イノベーター促進事業」の一環として、「ミライマッチング」で後継者を募集している事業者や成約となった事業者に登壇していただき、トークセッション形式でお話を伺う「後継者募集事業者・成約者による公開ミライマッチング」を実施しました。

こちらの記事では、2024年1月23日（火）に実施した「後継者募集事業者・成約者による公開ミライマッチング」のレポートを公開します。

ミライマッチング紹介（株式会社バトンズ　則竹）

ミライマッチング掲載から成約までの流れと成約サポートの支援内容についてご説明した後、あとつぎを募集されている6つの事業者様をご紹介しました。

トークセッション１（後継者募集事業者：ロッジ岩田渡 宮田様ご夫妻、バトンズ 二木）

群馬県利根郡川場村の民宿第1号「ロッジ岩田渡」があとつぎ募集中！ | 事業承継・M...

＊こちらは群馬県が「令和５年度 ミライマッチング×継業イノベーター促進事業」として実施しています。 「ロッジ岩

——「ロッジ岩田渡」の創業はいつですか？

村役場に勤めていた父が、観光農業の振興に携わる中で川場村をもっと盛り上げたいと考えたことをきっかけに昭和53年の7月にオープンしました。

学生のスポーツ合宿を中心に利用いただいていますが、年を経るうちに、オープン当時学生だった方が先生になられて生徒を連れてきてくれるというようなこともあり、代々ご利用いただけるロッジになりました。

——「ロッジ岩田渡」の特徴とこだわりは？

料理にはこだわっています。米と野菜は自家栽培しており、ごはんや味噌汁はセルフサービスでおかわり自由にしていますので、学生にはとても喜んでいただいています。合宿の場合のお昼ごはんはカレーやチャーハンなどの一品物にしています。また、お客様が玄関から入った時に家に帰ってきたような気分になって欲しいので、アットホームな関係性を築けるような接客を心がけています。

—— どんなお客様が多いですか？

学生が圧倒的に多いです。冬はスキーや登山を目的とした家族連れや団体の方々に多くお越しいただいています。現在はWeb集客などをしていないので、今後そういったことにも取り組んでいただける方にあとつぎとしてお越しいただき、頑張っていただきたいなと思っています。現在はリピーターや口コミのお客様に多くご予約いただいています。

—— 今回、譲渡を考え始めたきっかけは？

夫婦とも年齢を重ねてきたので、私たちが元気なうちに若い方にあとを継いでいただければと考えて後継者探しを始めました。

—— どんな人にあとつぎになってもらいたいですか？

この建物を守っていただける方で、できれば民宿をやっていただける方が嬉しいです。また、希望があれば水田も引き継げます。ロッジ岩田渡があるエリアは「川場村こしひかり 雪ほたか」というブランド米が有名で、私たちも栽培しています。役場の栽培講習に参加すれば、良いお米を作れるようになると思います。

——「ロッジ岩田渡」のあとつぎになる魅力はどんなところだと思いますか？

宿泊者に、川場村を良いところだと思っていただき、水や空気や地酒などが美味しいといって帰っていただくことがとても嬉しいです。お客様に喜んでいただくことが一番やりがいになりますね。

トークセッション２（成約者：珈琲倶楽部沼田店 荒井様、バトンズ則竹）

—— 自己紹介をお願いします。

出身は群馬県太田市で、元々はサラリーマンで板金加工の仕事などをしていました。現在は沼田市で珈琲倶楽部を引き継いで飲食店を経営しています。

—— 荒井さんがM&Aを考え始めたきっかけは？

起業したいと思っていたので、サラリーマンをしつつ起業セミナーなどに参加していました。その中で、M&Aで経営者になるという手段があると知り、挑戦してみようと思ったことがきっかけです。もちろん、起業も手段として考えていましたが、日本には後継者不在企業がたくさんあるということを知って、M&Aという手段を取りたいと考えるようになりました。

—— どんな方法で相手先を探していましたか？

パソコンやスマートフォンで検索したり、事業承継・引継ぎ支援センターの後継者人材バンクに登録していました。後継者人材バンクでは、後継者不在企業の経営者が登録者の経歴を見ることができます。経営者側が話してみたいと思えば、登録者側は連絡を受け取ることができる仕組みなので、活用してみると良いと思います。

—— どんな基準で引継ぐ企業を選んでいましたか？

自分一人で運営できる事業であることと、自己資金で賄える事業であることです。サラリーマン時代から副業で結婚式場のアルバイトや居酒屋、焼き芋屋などの接客業をやっていました。やっぱりM&Aをする先として接客業は興味がありましたね。経験があった製造業は設備投資にかなりお金がかかってしまうので避けていましたね。

——「珈琲倶楽部沼田店」を引継ごうと思った決め手は？

生のコーヒー豆を焙煎する機械を先代が自ら開発して特許を取っていました。それが大きな差別化ポイントでしたね。とても魅力的でした。あとは、珈琲倶楽部という名前を残してほしいと言われていましたので、ブランドを引き継げるという意味でも良かったですね。また、名前さえ残してくれれば良いという先代の希望だったので、自由度がとても高かった、ということも引き継ぎを決めた理由の1つですね。

—— M&Aの交渉におけるポイントなどがあれば教えてください。

自分の中でポイントは2つあります。1つ目は財務諸表など数字まわり。2つ目は現物確認の徹底です。珈琲倶楽部は財務諸表などが整っておらずかなり苦労しました。最終的には親族からのヒアリングなどで不足している情報を賄ったのと、お店に朝から夕方まで足を運んで状況を観察して自分で試算しました。また、どういうお客様が何を求めてきているのか、周辺の競合などの状況はどうなのかということを自分の目で確認しました。珈琲倶楽部沼田店は同じエリアでの競合がおらず、ここでなら勝負ができる、と思いましたね。

—— 今後の展望を教えてください。

新しいこととしては、コーヒー豆の焙煎体験や18種類のコーヒー豆のオリジナルブレンド体験を始めました。また、お店にピアノを置いて、音楽が好きな方が夜に集まってお酒やコーヒーが楽しめるような新しい空間を作れないかと挑戦しています。軌道に乗ったら将来的にはフランチャイズ展開もしていきたいですね。

事業紹介（群馬県地域企業支援課 経営・事業承継支援係　清塚）

群馬県地域企業支援課 経営・事業承継支援係の清塚より、群馬県のミライマッチング × 継業イノベーター促進事業について説明しました。

また、群馬県内で親族等から事業の経営資源を引き継ぎ、活用して新たな取組に挑戦するアトツギに、メンターをマッチングし、新規事業・新商品の売り上げ拡大を伴走支援するアトツギベンチャー支援事業についても紹介しました。

支援内容説明（群馬県事業承継・引継ぎ支援センター　原統括責任者）

事業承継・引継ぎ支援センターは、47都道府県に設置された国が設置する公的相談窓口です。中小企業や個人事業主の事業承継に関するあらゆる相談に対応しており、親族内承継・従業員承継・第三者承継（M&A）をサポートしています。

今回は第三者承継支援の一環として、群馬県およびバトンズによるミライマッチングへの取り組みを支援する一方、センター独自の支援や、場合によってはセカンドオピニオンの提供など、事業者様のニーズに合わせたサポートを行っています。

また、「後継者育成支援プログラム by よろず支援拠点」の説明も行い、会社の現状を踏まえ、後継者のニーズに応じたカリキュラムで経営者として必要な知識を学ぶ学習の機会を提供していることを案内しました。

交流会

登壇者と直接コミュニケーションを取ることができる交流会の時間を設けました。荒井様へは起業やM&Aに関わるご質問が、宮田様ご夫妻には実際に引継ぎを検討している経営者の方からご質問があり、積極的な意見交換の場となりました。