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2024/07/16

中小企業の生成AI活用事例

記載者情報
中小企業の経営・業務への影響
 生成AIサービスは、 経営者層であれば、事業等のアイデア出しや情報収集など経営判断の支援ツールとして、 従業員では、業務効率化や営業強化のツールとして有効活用することができます。  以下に記す「生成AIを利用する場合の注意事項」を理解したうえで活用すれば、中小企業の抱える経営課題解決の一助となる有力なツールとなり得ます。同時に、生成AIが社会に与える影響は大きく、企業経営の在り方や事業・雇用環境の変化も十分に考えられます。 ■生成AIを利用する場合の注意事項 ①成果物に対する正確性や信頼性  学習データが不十分な場合や偏っている場合、生成される情報が間違っている可能性があります ②法的な規制やコンプライアンス  著作権、知的財産権、個人情報保護法などの法律や規制に適合していることを確認する必要があります ③倫理的な考慮  生成された結果が社会的、文化的、または個人的な価値観に合致しているか常に考慮する必要があります
中小企業の活用状況(東京商工会議所の調査結果)
 東京商工会議所2023年5月に実施した会員中小企業への調査ではChatGPTを含む生成AIの活用状況について、「活用している」と回答した企業の割合が5.7%、「現在活用していないが、今後活用を検討している」は29.6%となりました。  生成AIを「活用している」と回答した企業では、「コンテンツ作成・校正(社内外向け文書、メール・挨拶文等)」の活用が最も多く、57.1%となりました。
中小企業の活用事例
①製造業(理化学機器)/従業員10人 ◇使いはじめたきっかけ  業界・市場情報をChatGPTに聞いたら何が返ってくるか興味・関心があり、2023年2月頃から利用を始めた。 ◇具体的な用途  ・業界課題解決や付加価値向上、新規市場開拓などの情報収集・アイデア出しに活用  ・新規市場の例や市場規模、特定の企業の事業内容・業界シェアなど自分では思いつかないような様々な提案がなされる。単純なウェブ検索と違い、ディスカッションできるのが便利  ・仕入先・発注先発掘に活用  ・「寸法、素材などの条件に合う仕入先を探して」と聞いたら、関西・北陸地方の企業名が表示された。ウェブサイトで調べると、割と条件に近い実在企業だった。当然誤った情報が表示されることはあるため回答を鵜呑みにせず、ヒント・糸口探しと割り切って活用すべき ◇活用における課題  質問を掘り下げていくと、一定の深度で回答が止まってしまう。より深い議論・詳細の情報が出てくるようになると良い。 ②製造業(プラスティック)/従業員22人 ◇具体的な用途  2023年4月頃から、社長も含め本社で生成AIに興味がある社員が使っている。  あいさつ文・お礼状の作成、文章の言い換え・類語の検索、英文の翻訳、ビジネス・事業アイデアの考案等で活用している。  製品設計のための計算にも使用したことがある。  セキュリティの問題や回答に誤りが含まれている可能性もあるため、回答を鵜呑みにしないことを前提に、アドバイザーとして使っている。 ◇活用上の課題  これからの時代、検索力ではなく、質問力が問われる。より具体的に質問・指示をすることが重要であり、それによって回答の質も変わる。 ◇これから活用する中小企業へのアドバイス  ChatGPTは、文章作成・校正・要約が非常に得意なため、日頃から文章の作成に慣れていない業種・職種の人たちに特にオススメする。
最後に・・・
 生成AIは、前述の注意事項を理解することで、以下のようなメリットを享受できます。 ・業務の効率化 ・アイデアの創出 ・顧客満足度の向上 ・コスト削減  これらのメリットを得ることで、コミュニケーションや企画開発をはじめ、さまざまな分野で活用が可能です。企業のイメージや価値の向上にも貢献できるツールですので、ぜひご活用いただければと思います。 <本文注> ※ 出典:東京商工会議所 中小企業のための「生成AI」活用入門ガイド      問い合わせ先:中小PMI支援センター株式会社 コンサルタント           中小企業診断士 杉本達雄 e-mail:info@pmis.jp
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