PMI
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2024/05/07

M&Aで使える「可視化」ツール【その1】:営業の見える化

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企業の業務を可視化する意味
 M&Aにおいて、デューデリジェンスやPMIで譲渡企業の状況を把握・分析し、契約を成約させ、事業を統合していきます。譲渡企業の状況について、例えば財務状況などは、決算書などの数値を分析することで現状分析や課題の明確化をすることができます(決算書の数値が正しい前提ですが)。  しかし企業の業務は、決算書のように数値化されていない業務がほとんどです。そのような数値化しにくい業務を可視化することができれば、デューデリジェンスやPMIを進めるうえで有効だと思いませんか。特に人に関わる業務は可視化しにくい業務といえます。そのような業務についてある程度数値化できれば、そこにどのような問題があり、譲渡後にどこから改善するべきか、事業統合において社風や社員の意識、業務の進め方などにどのような違いがあるのかを把握することができます。
組織的な営業力の向上
 企業の「営業」業務も可視化しにくい業務のひとつです。営業のやり方、営業ツールの充実度、営業パーソンの習熟度、営業管理などについて、なかなか外部から評価することが難しいものです。そもそも営業力とは何か、どのように評価すればよいか悩ましいところです。  また営業は属人的な要素が強い業務です。営業スキル、営業ツール、営業としての高い意識を融合して営業活動を進めるわけですが、その内容やバランスは人それぞれです。しかし必ずしも優秀な営業パーソンばかりを集めることは容易ではありません。また、営業は属人的なものであると考えてしまうと、営業力の向上を進めることができません。  自社あるいは譲渡企業の営業力をどのように向上させるか、ある程度誰でも一定の営業力を発揮できる環境を整備して、組織的な営業力を向上させることが、売上向上や企業価値向上を進めるうえで求められています。組織としての営業力を評価することが、その後の営業力強化への取り組みにつながり、その第一歩が営業力の可視化です。
営業力を可視化する「営業力診断アンケート」
 私たちが活用する「営業力診断アンケート」は、営業パーソンにWeb上から50の質問に答えてもらいます。質問は、次の5つの軸に沿って行われ、企業の営業力をこの5つの軸で評価します。 1.戦略力:全社経営戦略に沿った、営業方針の構築、強みが生きるターゲット市場・顧客の選定 2.計画力:営業方針に沿った訪問計画(対象と頻度)、訪問時の課題設定と事前準備 3.行動力:訪問計画に沿った十分な訪問頻度、キーパーソンへの接触量、上司の同行頻度、新規顧客リストに基づいた訪問量 4.商談力:顧客の困り事、案件詳細、競合の聴取、最適な提案方法とプレゼン力、クロージング力と勝率 5.管理力:案件進捗と阻害要因の把握・分析、マネージャーの改善指導への関与、マネージャーと担当者のコミュニケーション  営業担当者と営業マネージャーで切り口を変えた質問に答えていただき、そこからこの企業の営業部門としての課題、改善の方向性がレポートされます。ぜひこのような可視化ツールをM&Aの現場で活用してみてください。         問い合わせ先:中小PMI支援センター株式会社 コンサルタント                    坪田 誠治 e-mail:info@pmis.jp
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