財務・税務
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2024/10/15

プロが教える!実務で使えるリアルな役員退職金の知識

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基本編~まずは仕組みを理解する
●役員退職金の支給限度額は次の算式により求められます。 役員退職金の支給限度額(目安)=最終報酬月額×勤続年数×功績倍率(1~3倍) ●税金の取扱いは次の通りです。 <会社側>法人税  具体的に確定した日の属する事業年度で損金計上→未払計上可(2~3年以内に支払う場合のみ) <役員側>(※以下は原則的な取扱いですので、例外もあります。) (1)生前退職=所得税(退職所得控除、1/2課税、分離課税)→今後改正の可能性あり!    ①退職所得控除(勤続年数1年未満の端数切上げ)     20年以下→「40万円×勤続年数」(勤続年数2年未満は80万円)     20年超 →「800万円+(70万円×(勤続年数-20年)」    ②1/2課税=退職所得の課税所得は「(退職金額-退職所得控除)×1/2」     ※勤続年数が5年以下の場合など、1/2課税が適用できない場合もあります。    ③分離課税=他の所得と合算されず、退職所得のみで計算  (2)死亡退職=相続税 500万円×法定相続人数までは非課税(別途、弔慰金も支給可)
役員報酬と役員退職金の比較(具体例)
報酬について、役員報酬のみ(A)と役員報酬と退職金(B)に分散させてケースを比較すると・・・ (A)役員報酬125万円/月×12ヶ月×40年間=6億円 (B)役員報酬100万円/月×12ヶ月×40年間=4.8億円と役員退職金1.2億円 ⇒役員退職金がある(B)の方が約3,100万円手取が増えます!  (退職金の実質税率が低く、さらに社会保険料もかからないため)
よくあるご質問
Q1.社長から会長になったら、退職金は支給できますか? ⇒給料を50%以下にするなどの一定要件を満たせばOK→ただし、社長時代と実態が何も変わっていなければ、否認されます(否認事例多数)。 Q2.功績倍率は絶対に3倍までしか認められないのですか? ⇒3倍までなら調査で否認されることは少ないです。逆に3倍を超えれば、否認リスクは高くなり、不服審判等になれば、覆すことはかなり困難です。 Q3.非常勤役員に退職金は支給できますか? ⇒金額にもよりますが、支給自体は可能です。 Q4.会社からの退職金と小規模企業共済を同時にもらってもよいのですか? ⇒ダメではありませんが、退職所得控除の計算上、税金が増え、手取額が減ります。可能であれば、会社の退職後、小規模共済をもらうまで5年空けてください。 Q5.生命保険を解約して役員退職金を支給し、株価を下げたいのですが? ⇒全損保険では効果が出ませんので、できれば終身保険、なければ1/2損金等の保険を解約して下さい。
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