M&A
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2024/03/11

重要事項説明の無いM&A業者とは付き合うな!

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M&A支援機関登録制度ご存知?
2021年はM&A業界にとって、2つの新しい出来事がありました。 1つは、仲介ビジネスの健全化を業界自主努力で行っていこうという趣旨のもと、「一般社団法人M&A仲介協会」の設立、もう1つが「M&A支援機関登録制度」のスタートです。 前者についてはいずれ取り上げますが、今回は後者の「M&A支援機関登録制度」に関係してです。 M&A支援機関登録制度とは、中小企業庁が取りまとめた「中小M&A推進計画」をきっかけに、「中小M&Aガイドライン」の理解及び普及を促し、中小企業が、より一層円滑にかつ安心してM&Aを手段の一つとして選択できる環境の実現を目指して、始まりました。 弊社(ビジネスサクセション株式会社)も当初より登録していますが、この制度には登録要件があり、それは、「中小M&Aガイドライン」の遵守の宣言を行うことです。
中小M&Aガイドラインとは?
2020年3月に策定された中小M&Aガイドラインでは、「後継者不在の中小企業向けの手引き」部分と、「M&A支援機関向けの行動指針」部分とに分かれていて、M&Aの基本的な事項や手数料の目安を示すとともに、M&A業者等に対して適切なM&Aのための行動指針も提示しています。 その中小M&Aガイドラインが2023年に改訂され第2版となり、それに併せて「M&A支援機関登録制度」の登録要件も第2版に適したものとするよう改正されました。 第2版における主な改定内容は下記です。 (1)仲介者・FAの手数料の整理 M&A専門業者の手数料に関し、実務上多く用いられる算定方式(レーマン方式)について依頼者である中小企業において留意すべき点を明記し、また、設定されることが多い最低手数料について、その金額の分布状況や適用事例を紹介しています。 (2)M&A専門業者の質の確保・向上に向けた取組 支援の質の確保・向上に関し、M&A専門業者には、依頼者との間の契約上の義務を履行し、職業倫理を遵守することが求められる旨を明記しました。 そのためには知識・能力の向上、適正な業務遂行を図ることが重要であり、個々のM&A専門業者や業界に求められる取組を紹介しています。 (3)仲介契約等の締結前の書面による重要事項の説明 仲介契約・FA契約に関し、M&A専門業者は、契約締結前に契約に係る重要な事項を記載した書面を交付(電磁的方法による提供も可)して、明確な説明をすることを明記しました。 また、説明すべき重要な事項を見直すとともに、説明を受ける相手方、説明者、説明後の重要な検討時間の確保等も明記しました。 (4)直接交渉の制限に関する条項における留意点 直接交渉の制限に関する条項の留意点に関する項目を新設し、制限される候補先、交渉目的及び期間に関する留意点を明記しました。
重説のないM&A業者と付き合うな!
上記改定内容のうち、特に「(3)仲介契約等の締結前の書面による重要事項の説明」が重要です。 不動産の売買を参考にされているようですが、M&A業者と売り手や買い手が契約を結ぶ前に、その「仲介契約やFA契約」について、特に重要な項目を別紙である「重要事項説明書(重説)」を使ってM&A業者が説明することになります。 弊社では既に実施していますが、M&A支援機関の登録業者においては、2024年4月から義務化されます。 中小企業の皆様にとっては、今後、M&A業者と取引をする前に、重要事項説明があるかないかを、その業者の信頼度を図る一つの指標とされることを強くお勧めします。 因みにM&A支援機関登録業者かどうかは、下記に会社名を入力すると誰でも無料で検索できます。 ◇M&A支援機関登録制度|登録期間データベース https://ma-shienkikan.go.jp/search 登録さえされていない業者は論外かもしれません。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
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