M&A
47
2023/12/18

M&Aアドバイザーがチェックする項目の一例

記載者情報
M&Aへの思い
第三者承継(M&A)をご検討されている方は、下記のようにお考えではないでしょうか。 <譲渡企業> 自社や事業の価値を適正に判断して欲しい。トラブルなく成約したい。 <譲受希望の方> 譲受後にやりたいことをイメージし、合う事業を譲り受けたい。 譲受後にトラブルが発生する可能性がある事業は避けたい。 今回、M&Aアドバイザーがより良い御成約に向けてご支援する際、必ずチェックしているポイントの一例をお伝え致します。
『貸借対照表』でのチェックポイント
貸借対照表ですが、会社によっては実際と差がある場合があります。 故意では無く、長年経営されていく上で発生した事柄が積み重なって、乖離してしまっている場合もあります。 正しく現状把握するためにも、M&Aアドバイザーは下記の項目を確認しています。 譲渡額にもかかわってくる項目でもありますので、入念にチェックされることをお勧め致します。 <チェックポイント一例> 1.計上されている資産は実在しているか 2.帳簿価額と時価に大きな乖離がないか 3.過去に貸倒となった売掛金が計上されたままになっていないか 4.簿外資産がないか 5.簿外負債がないか 6.社長が個人保証(人的保証)しているものはないか 7.社長の自宅など物的保証しているものはないか 下記一例は、可能性として考えられるものを掲載させて頂いております。 ・過去に適正に減価償却していない機械や車両等の資産 ・新しい機械の購入時、古い機械を下取りに出したが、消去仕分けが漏れてしまい、古い機械が資産に計上されたままになっている ・購入した時と現在の時価が大幅に乖離する土地や有価証券 ・売れ残り在庫の経年劣化等での評価額減算 ・返品されてきた商品の在庫計上漏れ など
売却をしない資産
上記をチェックする際、【売却対象外となる資産】が無いかも併せてチェックが必要です。 資産として計上されている社長が使用している車両を、承継後も使用したいという希望があれば、売却対象外の資産として譲渡契約書に明記する必要が出てきます。 最初から売却対象外としておくことが重要で、交渉序盤であれば譲受希望の方の理解も得やすい場合が多いのですが、財務調査も終え、譲渡額も確定した交渉終盤で伝えることになると、条件が悪くなる可能性や譲受希望の方の印象も悪くなってしまいますので、注意が必要です。
簿外資産とは?
例えば、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)に加入している場合、掛け金は多くの会計処理上全額費用扱いですが、40か月以上払い込んだ後に解約した際は、今まで払い込んだ掛け金の全額が戻ってきますので、簿外資産として考慮が必要です。 他にも、解約を前提とした似たような仕組みの経営者保険と呼ばれるものも考慮が必要ですので、事前に把握しておくことをおすすめいたします。
簿外負債とは?
小規模な会社でよくある簿外債務は、「退職金負債」と「社会保険未加入負債」です。 退職金規程がある場合、現時点で既に発生している退職金額を規程計算式に則り概算把握しておき、譲受希望の方に事前に伝えておくべきです。 残念ながら社会保険未加入の会社も現実的には存在していますので、該当する場合は、そのことも譲受希望の方に事前に伝えておくべきです。 株式譲渡で会社を承継した場合、承継後は簿外負債だけではなく、会社への訴訟案件やそれにまつわる損害賠償請求など、基本的にはすべて譲受企業側が責任を負うことになります。 そのため、可能性があるものは事前開示が重要といえます。
連帯保証
社長個人が借入金やリースで個人保証している場合、一覧にしておき「人的保証及び物的保証を外すことが承継の条件である」と、事前に条件として開示しておくことも必要です。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
関連コラム