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2021/05/21

特許庁はベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・支援の手引きを公表しています

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特許庁はベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・支援の手引きを公表しています
※このコラムはこちらからもお読みいただけます。 https://aivas.jp/20190702_2172.html 日本特許庁は、2年ほど前に、「ベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・支援の手引き~よくある知財の落とし穴とその対策~ 」(平成30年度 経済産業省 特許庁)を公表しております。 https://ipbase.go.jp/assets/pdf/guidance_20190520.pdf 研究開発型のベンチャー企業にとって知財戦略は事業成長の成否を大きく左右しますが、ベンチャー企業だけでは資金や体制が限られ、十分な取り組みができていないことが多いのです。そこで「投資家にベンチャー企業の知財戦略をさらに支えてほしい」という想いから、ベンチャー企業に投資する投資家に向けて、知的財産の評価・支援の落とし穴とその対策を、リアルな事例を挙げて手引書としてまとめたものが本資料です。 例えば、ベンチャーキャピタル(VC)が大学の研究者とともにベンチャー企業の設立に向けて準備を始めたところ、「共同研究先企業との契約条件で知的財産の活用に制約が附帯され、大学単独でライセンスできなくなる」という落とし穴が紹介されています。その知的財産権が大学単独ではなく、共同研究先企業との共有特許であることが判明し、共同研究先企業が競合の惧れから他社へのライセンス提供に同意せず、会社設立が頓挫してしまったというのです(※)。  ※共有の特許権について他人にライセンスする場合は共有者全員の同意が必要になります。 このように、本資料は、エンジェルラウンド~シードラウンド~シリーズA、B,Cラウンドという各投資ラウンドごとに陥りがちな落とし穴を左ページに紹介し、その対策を右ページに説明するという見開き読み切り型で、投資家に知っておいてほしい知財戦略のポイントを説明しています。 この資料は投資家向けですが、M&Aにおいても、候補先を絞り込んだり評価する際の有益な手引書と言えるでしょう。
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