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2021/04/09

韓国の知的財産権金融の額が2兆ウォンを突破

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韓国の知的財産権金融の額が2兆ウォンを突破
※このコラムはこちらからもお読みいただけます。 https://aivas.jp/20210219_2593.html 2021年2月4日の韓国特許庁のHPによりますと、韓国の知的財産権金融(IP金融)の額が2兆ウォン(約1900億円)を突破したとのことです。 https://blog.naver.com/kipoworld2/222231393234 (韓国語) IP金融とは、知的財産権(IP)に基づいて資金を調達するもので、IPの評価を通じて金融機関がIP担保融資・IP保証融資・IP投資の類型で企業に資金を提供することです。韓国特許庁によると、IP金融の規模は全体として2019年に1兆ウォンを達成し、2020年には前年に比べて52.8%急増して2兆640億ウォン(約1970億円)を達成しました。金融の類型別で企業に供給された金額を見ると、知的財産権を担保にして実行するIP担保融資が1兆930億ウォン、知的財産権に基づいて保証書を発行するIP保証が7,089億ウォン、優秀な知識財産権を保有している企業または知的財産権に直接投資するIP投資が2,621億ウォンとなっています。 IP金融を拡大することにより、有形財産の担保が不足していたり、信用格付けが低くても、特許を基盤としてイノベーションを推進する中小・ベンチャー企業に資金を集中的に提供し、COVID-19で困難を極めている韓国企業の経営難克服に貢献しています。 韓国特許庁が紹介するIP担保融資の実例によりますと、中小企業G社は、COVID-19ワクチンの開発に関連する臨床試験に資金を必要としローン限度額の超過に苦しんでいましたが、遺伝子切断技術の特許7件を担保にして、運営資金20億ウォンの融資を受けワクチンの開発を進めているとのことです。 また、韓国特許庁が紹介するIP保証融資の実例によりますと、オンライン広告プラットフォームの開発スタートアップG社は、最近売上高が発生していないものの、オンライン評価を通じて発行されたIP保証書により銀行融資を受け、円滑な会社運営が可能になったとのことです。韓国特許庁等が、特許番号や権利者名を入力すると当該特許の定性的な特許分析評価が提供されるという自動価値評価オンラインシステムSMART3を開発したことは、弊所のコラムでも2017年に紹介しました。 https://aivas.jp/20171222_1414.html このオンライン評価システムを活用した保証(ソウル信用保証財団などによる信用保証)が2,500億ウォンに到達し、前年(1,730億ウォン)に比べて44.5%増加したとのことで、これは速やかな評価で資金をタイムリーに確保しようとする需要が増えたためであると解釈されています。 韓国特許庁が紹介するIP投資の実例によりますと、LED・半導体材料を生産する中小企業であるL社は、素材に関する特許の価値に基づいて、ファンドから、2013年に16億ウォンの投資を受け、7年後の2020年には太陽電池用材料(TMA)で世界1位の企業に成長したとのことです。 韓国特許庁の産業財産政策局長のPark Ho-hyung氏は、「IP金融が成長期に入っているため、金融市場内で自発的に成長していくことが重要だ」、「韓国特許庁は、金融市場に高品質のIP価値評価サービスを提供するなど、革新的な技術を持つ企業に対する金融市場の資金調達が活性化するよう、全力を尽くしていきたい」と述べています。 韓国・中国では知的財産権の価値評価に基づく融資・投資が盛んに行われており、うらやましい限りです。
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