中小企業支援
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2021/03/02

5分でできる企業の健康診断 ローカルベンチマーク(ロカベン)の活用法

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ローカルベンチマークは、財務と非財務から企業の経営状態を自己評価できます。
ローカルベンチマーク(通称ロカベン)ってご存知ですか? 企業の経営状態を簡易に診断する、いわゆる企業の健康診断を行うツールです。 健康診断の項目として、 財務情報と非財務情報を入力して評価します。 今日は財務情報を中心に紹介します。 決算書3期分(できれば4期分)を用意して、決算書にある数字を入力するだけで、自社の簡易な財務分析ができ、業界平均と比較することができます。 決算書にある数字をExcelに入力するだけなので、それこそ5分で出来ます。 簡易な分析ですが、これで自社の改善すべき点がどのあたりにありそうか、どのレベルまで改善すべきかのメドをつけることができます。 事業承継における後継者との事業計画作りや M&Aによる売却を考えた際の事業の磨き上げ、 M&Aで買収した企業の経営改善などに活用できると思います。 まず、経済産業省のサイトからローカルベンチマークをダウンロードしましょう。 「ローカルベンチマーク」 「経済産業省」で検索すればすぐにわかります。 Excelのフォーマットがダウンロードできますので、それを開くとブック形式で、いくつかのタブからできています。 入力は、3つのシートです。 1つが、「財務分析」の入力シート 2つ目が、「商流・業務フロー」の入力シート 3つ目が、「4つの視点」の入力シートです。 財務分析の入力シートで 会社名や所在地、業種、従業員数などの基本情報を入力し、 売上高や営業利益、売掛金、負債、借入金などの額を決算書を見ながら入力すれば完了です。 入力後に隣のシートを見ると、財務分析結果がチャートとともに表示されます。 評価の軸は、 売上持続性として、売上増加率 収益性として、営業利益率 生産性として、労働生産性 健全性として、EBITDA有利子負債倍率 効率性として、営業運転資本回転期間 安全性として、自己資本比率 を使っています。 年度ごとに、数値と業界平均との比較、点数付けがされていますので、強化、改善するポイントの把握に使えますね。 具体的な改善活動に進めるためには、この数値を算出している計算式を知ると、そこから改善の方向性が見えるかと思います。 売上増加率は、当期の売上高と前年度売上高の比率 営業利益率は、営業利益と売上高の比率 労働生産性は、従業員一人当たりの営業利益の額です。 EBITDA有利子負債倍率は、返済すべ借入金に対して、返済の原資になる利益や減価償却費がどのくらいの割合かを示すものです。 計算式は、(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費)です。 これは低ければ低い方がよいです。状況によりますが、一つの目安として10倍以内にしておきたいものです。 この数値を改善するには、第一には営業利益をしっかりとだすためにどうするかになります。 営業運転資本回転期間は、例えば商品を仕入れてから売り上げて回収して現金化するまでの期間を表します。 計算式は、(売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商です。 これは、早く現金化できればそれだけ資金繰りが楽になりますから、短いほうがよいです。 改善に向けては、回収期間の短縮や在庫の圧縮、リードタイムの短縮などが考えられます。 本来は、この財務分析とともに非財務データと合わせて対策を考えることになります。 まずは、財務分析で健康診断、そして磨き上げへの第一歩としてみてはいかがでしょうか。 この内容は、YouTubeでも情報提供しています。ぜひご覧ください。 https://youtu.be/m8B0EW_s9wM
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