買収
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2021/01/27

買い手支援税制3つ~2021年度税制改正大綱より~

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国の親族内承継への諦め
2015年に国が予測した2025年シナリオが下記です。 中小企業経営者の高齢化から、3社に1社が後継者不在で倒産や廃業となる ↓ その数は、個人事業主も含めると、全事業者数381万者のうち127万者 ↓ 上記が全て倒産や廃業となると、「650万人の雇用喪失」「22兆円のGDP消失」 親族内承継だけに頼っていては、上記が現実のものとなるため、「親族外承継=M&A」を国も積極的に推進していこうとなり、「M&A補助金」や「M&A融資」、「M&A減税」が現在行われようとしています。 今回はその中の「M&A減税」における、「買い手支援税制」を3つご紹介します。
買い手支援税制3つ~2021年度税制改正大綱より
まず1つ目は、「設備投資減税」です。 M&A後に、買収企業との統合を図るために「共通システムの導入」や効率化を図るための「機械装置の購入」などを行った場合に、下記の減税措置となります。 「投資額の10%を税額控除」又は「全額即時償却(100%償却)」 (資本金3000万円超の中小企業者等の税額控除率は7%) ※「経営力向上計画」の提出が条件となっています。
人材投資減税
2つ目の買い手支援税制は、「人材投資減税」です。 従業員の給料を増加させた企業向けに「所得拡大促進税制」が現在あります。昨年比給料増加額の15%が税額控除されます。 その所得拡大促進税制の上乗せ措置として、M&Aで会社を購入し従業員給料を増加させた企業については、設備投資減税と同じ、「経営力向上計画」の提出を条件に、「税額控除率15%を25%に引き上げる」減税措置が予定されています(給与等支給額を昨年比2.5%以上引き上げた場合、1.5%以上の引き上げは15%の税額控除)。
買収対価の費用化(経営資源集約化税制)
企業を買収すると、通常は、その買収対価は一切費用にならず、全額資産計上となります。 しかし、買収後に、思わぬ隠れ負債の発覚などがあるかもしれません。 そこで、買い手支援税制として、「買収対価×70%を一括損金算入」できる制度が創設される予定です。 ただし、5年経過後、5年間をかけて益金算入が必要となります。 例えば、5,000万円で会社を買収したとすると、買収年度に、「5,000万円×70%=3,500万円」を一括損金算入できます。 その後、隠れ負債の発覚等で損害が発生すれば、この時点で益金算入となり損益通算となりますが、特に損害が発生しなかった場合には、5年経過後から5年間をかけて、「3,500万円×1/5=700万円」を毎年益金算入となります。 上記支援策の活用を含めて、毎月戦略的マッチング会議を行う「M&A顧問」サービスを開始しました。 ご興味ある方はご覧ください。 https://www.business-s.jp/main_contents/menu_00/komon/komon.html ※今回の内容は、国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。 ※上記は執筆現在(2021.1.27)での情報ですので、今後の動向により変更される可能性がありますので、ご注意ください。
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