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2024/02/13

M&A後に従業員が会社を辞める理由

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Ⅿ&A前後に起こる「秘密保持」と「情報公開」の課題
情報開示は、従業員、取引先企業、金融機関など、様々なステークホルダーに対して必要となります。特に従業員に関しては、その心理的ショックや将来に対する不安など影響力が大きいため、タイミングや伝え方、アフターフォローには万全な配慮が必要です。
会社への思い入れが強い中堅層の心理状況
従業員に対する情報開示は、そのタイミングと伝える順番、伝える内容が非常に重要である。しかし実際には、Ⅿ&A後も様々な部分において、経営層の一部にまでしか公開しない「秘密保持」の部分を多く残すことが多い。結果として、同じ部長クラスでも全員招集される会議ではない場合、一部のメンバーだけが知り得る情報となったり、特定部署のメンバーだけが知り得るなど、社内で情報の格差が発生しやすくなります。 今まで長年勤めてきて、会社に対する思いが強く、なおかつ待遇の現状維持を望む40代後半から50代の幹部社員や中堅社員は、その情報格差により、かえって自身の保身のために必要以上に情報収集を行い、先に知らせてもらえないことに心理的なショックを受ける事もあります。この場合、社の風土へ与える影響も大きいため、まずは出来る限り平等に、早めに全員一致で伝える機会を持つことが必要です。 特に、Ⅿ&A後のPMIを行うにあたり、中心となって成功へ導くためにはこの層の協力が欠かせません。少人数の会議で新経営層からの言葉を直接聞く場を持ち、一緒に新しい会社を伸ばしていく、という気概になれるような配慮が必要です。
実は待遇面や将来面だけではない、若年層社員の辞職理由
 20~40代前半の従業員は、即戦力として他社への転職がしやすい層でもあります。また、経営層 や部課長の中堅層が知った後も、「秘密保持」の観点から、情報の開示は一番後回しにされやすい場 合があります。しかも、業種によっては、転職サイトへの登録や周辺他社からの引合いも多いもので す。この層は、待遇面といっても給与の金額というよりも、リモートや拘束時間、業務内容を含めた 環境面に対する重視する場合もありますが、実はモチベーションの下がった中堅の上司の姿を見 て会社の将来性を危惧するパターンも多いです。  ただし、若手の育成、適正配置は今後PMIを進めるうえでも重要です。しかも、良い意味で 旧会社の風土に染まり切っておらず、今まで何が間違っていたから経営不振だったのか、これか らは、何を最大の目標として考えるべきなのか、という新しい経営層の考え方を受け入れやすい ことも事実です。そのため、早いうちにまずは指針を示すこと、新経営層との対話の機会を多く 持つこと、人材育成の考え方を伝えることが大事です。 問い合わせ先:中小PMI支援センター株式会社 コンサルタント 中小企業診断士 永田あゆみ e-mail:info@pmis.jp
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